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第40回 「不登校児童のこころの経過」(令和4年10月)

更新日:2022年12月23日

ページ番号:41510014

本コラムで何度か不登校の子どもたちのことを取り上げました。
以前にもお伝えしましたが、発達障害やその傾向をもつ子どもは
そうでない子に比べ不登校に至るリスクは高いと思われます。
 
原因は本当に様々ですが、
要するに「本人の特性と学校という環境のミスマッチ」が生じやすいのです。
 
さて、外来診療を通じて、多くの不登校児童に当てはまる「一連の経過」というものが見えてきました。
 
今回はその「不登校児童のこころの経過」についてお話したいと思います。

経過1「戸惑い期」
不登校に至る過程で、
何か特定のエピソード(友達とのトラブル、担任との相性等)をその原因だと考える方が多いのですが、
実は集団生活が始まった当初から子どもは戸惑い、違和感を感じています。
早い子は保育所や幼稚園の時期からですが、
本格的に集団活動・一斉指導が始まる小学校入学時に感じていることが多いようです。

経過2「過剰適応期」
「戸惑い期」に周囲にヘルプを出せる子もいますが、多くの子はなんとか慣れよう、頑張ろうとします。
頑張りの結果、一定の力のある子は問題なく過ごせるようにみえることもあります。
親や先生も「やればできる。」と安堵します。
しかしこの時期は長続きしません。
実態は言わば「背伸びすれば息継ぎできるくらいの深さのプールにずっといる」ような状態ですから、
頑張りもいずれは限界が訪れます。

経過3「登校渋り期」
子どもは学校に行くことを拒みはじめます。
「過剰適応期」に一時うまくいきかけたこともあり、親としてはできれば学校に行ってほしいところです。
なんとかなだめすかして登校を促しますが、子どもの抵抗はより強まることがほとんどです。

経過4「完全不登校期」
親は子どものしんどさをようやく理解し(もしくは根負けし)、
無理に登校させない方針にしたところ、子どもはほぼ全く学校に行かなくなります。
完全に学校に行かなくなった直後の子どもにしばしば見られるのが、
親への暴言暴力、ゲーム依存、昼夜逆転、無気力、などといった問題行動や情緒不安定さです。
このような言動の背景には学校に行けない自分に対する自責の念や、
親への猜疑心・注意引きなどの感情があるように思えます。
親は自分の対応に自信が持てず、親自身にとってもこの時期は大変つらい時です。

経過5「家庭安定期」
一定期間の不安定な時期を経て、
子どもは学校には全く行かないものの家庭において安定して過ごせるようになります。
今の自分の状況について肯定的に捉えられるようになり、
親や周りの大人に対しての信頼感が育ってきた証拠だと言えます。
この時期は「今のままでいい。」と本人は思っているため、登校を再開することはあまり期待できません。

経過6「再始動期」
家庭中心に安定した生活を継続する中で、子どもが自ら外の経験を求めるようになります。
この時期が来たら、本人に見合った外部経験の場を提供していきます。
学校への限定的な登校再開や、学校以外の選択肢を検討することになります。
経過5から6に至る時間はケースバイケースですが、
経験的には数年という単位を覚悟しておいた方がよいと思います。


私はこの一連の経過を、子どもにとって避けられない自然な経過のように感じています。不登校児童への支援とは、それぞれの時期を適切にサポートし、この経験を子ども(親も)にとって傷ではなく、財産に変えていくことではないかと思っています。

では、それぞれの時期にどのようなサポートを行うとよいのでしょうか。

次回に続きます。

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