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第41回 「不登校児童のこころの経過とその対応」(令和4年12月)

更新日:2023年5月9日

ページ番号:86903637

第41回 「不登校児童のこころの経過とその対応」(令和4年12月)

前回コラムで紹介した「不登校児童のこころの経過」の時期別にどのような対応がよいのか考えていきましょう。
尚、このコラムで取り上げているのは「発達障害、その傾向のある子どもと不登校」の関係についてです。
いじめや虐待などの明らかな原因があっての不登校児童にはあてはまらない可能性があります。ご留意ください。
 
経過1「戸惑い期」
 
集団生活を経験しはじめる早期(就学前)から登園渋りや母子分離不安を強く認める子どもの場合、
その子の知的発達や社会性の発達段階と集団の規模・目標が合っていない可能性があります。
幼児期はできる・できないよりも「人と関わるのは楽しい。」という気持ちを育むことが重要です。
小人数の集団から慣れる、個別の目標を立てる等の対応で、
子どもが安心して楽しい気持ちで過ごせる環境を提供しましょう。
 
経過2「過剰適応期」
 
行き渋りがあったり教室でしんどそうな様子だった子どもが、一見落ち着いて学校で過ごせるようになった時も
「頑張りすぎていないかな?」という視点を忘れないようにしましょう。
周囲の理解があり子どもの成長も相まって順調に学校に通えるケースは良いのですが、
家ではイライラしていたり、ふさぎ込んでいる、甘えや注意引きの行動が目立つなど、
学校と家庭での様子にギャップを感じるときは要注意です。
 
経過3「登校渋り期」
 
この時期の子どもは「限界に近く疲れている」と考えた方がよいです。
しばしば「多少無理してでも登校させないと休み癖がつく」という考えを持つ方がおられますが、
私の考えではこの時期から必要な休息をとる方が良いと思います。
親子で登下校する、早退する等も悪くないですが、
いっそ計画的な休日(欠席)を設けて親子でゆっくり過ごすのもいいでしょう。
 
経過4「完全不登校期」
 
できれば経過1~3時期から、親は子どもの本音をよく聞き
気持ちを尊重する対応を心がけておくことが好ましいです。
計画的な欠席からだんだん学校にほとんど行かない状況になったとしても、
それはそれだけ休息が必要だったということです。
不登校初期に家で暴れたり怠惰になる子は、
親の態度の急変(学校に行きなさい→休んでいい)に戸惑ったり不信感、
時には怒りを感じているようです。
しばらくはゲーム依存のようになったり、昼夜逆転の生活になることもよくあります。
この時期は、物を壊したり自分や人を傷つけること以外は容赦しましょう。
親子の信頼関係を重視し、本人が望んでいないことはしないことです。
 
経過5「家庭安定期」
 
学校には行かないものの、こころは一定安定しているこの時期は、
毎日同じようなスケジュールで淡々と過ごしましょう。
できれば親も仕事や趣味などやるべきこと・やりたいことをしてください。
 
学校の様子や予定は保護者と担任間で確認し、本人が興味を示すようであれば伝えていくとよいですが、
望まない場合は伝えなくてもいいと思います。
学校外の外部経験の情報(フリースクールなど)も収集してよいですが、
本人に提供するのは経過6まで待ちます。
 
経過6「再始動期」
 
子どもが学校や外の経験に興味をもつ様子がみられたら、
「こんな方法、場所があるよ。」と伝えてみましょう。
この時期には子どもは「もう自分の望まないことを大人は押し付けない」
という信頼感が育っているはずなので親からの情報提供に対して前向きに捉えてくれると思います。
はじめは短時間、少人数などのハードルの低い外部経験からが無難です。
そしてトライ&エラー、何が子どもに合うのか試行錯誤しながら進めていきます。
ここからは子ども主体のトライになるはずですから、多少エラーがあっても大丈夫です。
親や先生を自分の応援団だと思っている子どもはトライを続け、自分なりのゴールを見つけるはずです。
 
最近の調査結果では不登校状態の小中学生は全国で「約24万人」です。
この数字が示しているのは、不登校児童とはいけないことでも劣っていることでもなく
「既存の公教育では合わない子ども」というひとつのカテゴリーだということではないでしょうか。
今回子どものこころの経過ごとの対応をお示ししましたが、
このカテゴリーの子どもたちも参加できるような公教育の見直しと、
学校以外の受け皿の充実が喫緊の課題と考えています。
 
※こども未来センター診療所の開所状況はホームページ、公式twitterで随時お知らせしております。引き続きご参照ください。

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