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第5回「災害時の心のケア」(平成30年8月)

更新日:2018年10月11日

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6月には大阪府を中心とした地震があり、7月には西日本豪雨災害が起きてしまいました。
被災された方々、いまも不自由な生活を余儀なくされている方々に心よりお見舞い申し上げます。
 
さて、私の外来では一連の災害の後、「地震後、子どもがこわがって(親から)離れたがらない。」「大雨の音で眠れず、その後も不眠気味だ。」といった内容の相談が増えました。
 
災害のような非日常な出来事は誰でも不安なものですが、発達障害をもつ子どもたちにとってはひときわ不安が高まる経験です。
 
例えば自閉スペクトラム症(ASD)の特性があるお子さんの場合、元々イレギュラーな出来事が苦手で、急な物音にも敏感な方がいます。
 
地震のような「全く予期しないタイミングで」・「揺れる・大きな音がする(緊急アラームなども含めて)」ことはかなりの恐怖体験でしょう。
余震はいつ起こるか分からないものですから「終わり」という見通しが明確でないことも、このタイプの子どもにとっては不安材料になります。
ですから、多くの子が時間経過とともに不安が和らぐのに対し、ASD児の場合は不安の高い状態が長引きます。
 
対応として大切なことは、周りの支援者(保護者・教員など)がじたばたせず子どもの不安な気持ちをしっかり受け止め共感することです。
 
「なんだ、そんなことか。。」と思われるかもしれませんね。
しかし外来で相談を受ける際、いつまでもビクビクしているわが子に対し心配を通り越してイライラしている保護者をよく見かけます。
「不安状態は長引く」ことを想定内と考え、「もう大丈夫だって!」と根拠の無い言い聞かせではなく、「まだ怖いんだね。でもいつも一緒にいるから心配ないよ。」「1週間たったら余震の確立は○%くらいだよ。ほとんどないね。」等と安心感を持たせる声かけが有効です。
 
気持ちが不安定な時期に、災害のことを早く忘れさせたい思いから子どもをイベントやレジャーに誘うのは得策ではありません。
 
むしろ変化の少ない規則正しい日常を過ごすことをおすすめします。
朝起きてから夜眠るまで、だいたいどんな一日か見通しが立ち、実際その通りに淡々と過ごすほうが安心感を取り戻しやすいと思います。
家族も一緒に規則正しく過ごすとより良いでしょう。
 
一旦落ち着いたようにみえても、また恐怖体験を思い出し、不安がることもASD児にはしばしばみられることです(フラッシュバックと呼ばれたりします)。
 
特にきっかけがなくても脈略なく突然パニックになることもあります。
 
その際も周囲の冷静な対応(共感し、安心感をもたせる)が大切です。
 
発達障害をもつ子どもたちは、日常生活、ふだん生きている世界(多数派、つまり定型発達の子ども向けに作られた世界)でも何かと不安要素が多いのです。
 
ですから、災害時だけでなくイレギュラーな事態では、「不安だらけの世界」になってしまいます。
 
本人のつらそうな様子や周囲を困惑させる言動の背景には、こういった事情があることを知っておいていただけると幸いです。

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