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第3回「療育について」(平成30年6月)

更新日:2018年7月10日

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初診で子どもの発達特性、診断について保護者に説明することは前回お伝えしました。診察のなかで家庭での関わり方の助言や、保護者からのご質問にもお答えしています。診断を知ることは大切ですが、発達特性を理解した上でどうわが子と関わるとよいのか、特に家庭ですぐにできることや困りごとへの対策を保護者と一緒に考え、お伝えすることが重要と考えています。
 
診察でのフォローのほかに、お子さんの状態に応じて「療育」を提案する場合があります。
 
こども未来センター診療所で行っている療育内容は職種別で、「理学療法」・「作業療法」・「言語療法」があります。それぞれの療育内容はホームページ内でもご紹介していますので参照ください。
 
さて、「治療」と「療育」の違いは何でしょうか?
 
体の病気、体調不良の際にはお薬を飲んだり、時には手術をしたりといった「治療」を受けますね。「治療」は症状を無くし、病気を根治させることを目的にしています。
 
一方、「療育」は弱点や困難を軽減させることは目的のひとつですが、症状を無くすことは目的にしていません。その人なりのやり方で生活上の困りごとに対処できるようにサポートすること、一人ひとりの成長のペース・スタイルを尊重し、促すことが「療育」の目的です。
 
療育と聞くと、「苦手なこと・できないことを特訓してできるようにする」トレーニング的なイメージをもたれるかもしれません。
 
意外かもしれませんが、療育で大切にしているのは「好きなこと・得意なことを伸ばす」ことです。得意なことで自信をつけてこそ苦手なことにも取り組む意欲が生まれるからです。実際の療育現場も明るい雰囲気で、笑い声もよく聞かれますので「遊んでいるのかな?」と思われるかもしれません。子ども自身は遊びと同じくらい楽しんで療育に取り組んでいます。
 
療育を担当するスタッフは高い専門性を持っていますので、子どもの「できること」「できそうなこと」「まだできないこと」を見極めます。できることの発展とできそうなことへのサポートを行い、できないことへの見通しを考察しています。
 
また、療育では子ども本人に対するアプローチだけでなく、保護者を中心とした家族支援の視点を重視しています。家族が精神的に安定し肯定的な関わりができることが、子どもの発達に大きく影響すると考えるからです。
 
療育を通じて家庭環境の調整をお願いしたり、子どもへの理解を深めてもらえるよう助言を行っています。
 
現在のところ身体障害(脳性まひなど)・発達障害(自閉スペクトラム症など)について、医学的に根治させる治療法はありません。生まれもった特性を無しにする療育方法も開発されていません。ですが、適切な時期に療育的介入を始めることで子どもの発達が促されることは証明されています。
 
療育を通じて子どもの特性を理解し、その子のライフステージで予想される問題を未然に防ぎ、対処法を考えることができます。安心できる環境下で、生き生きと持っている能力を発揮してもらうことが療育スタッフの願いです。
 
療育をどのくらいの頻度で、いつまでやるのか?という質問をよくお受けします。こども未来センター診療所では、お子さんの状態や年齢を考慮し療育計画をご提案しています。頻度・回数は一般にみなさんが想像されるより少ないかもしれません(発達障害の場合、月1~2回程度)。より多くの方に療育を経験していただくためでもありますが、これまでの経験から、やみくもに長時間療育を行うよりも無理のない頻度で行うほうが効果があると感じているからです。
 
また、療育がなくても家庭や学校園などの日常生活の中で成長できることが理想と考えています。このため、家庭・学校等で過ごす時間が有意義であるように助言やホームプログラムの提案を行い、一定回数の療育後に休止期間を設けて経過をフォローしています。
 
(ただし、進行性の身体障害のように療育がなくなると発達が退行する恐れのある方は、継続した療育を実施しています。)
 
今回は療育の総論的な話をさせていただきました。次回はより具体的な例をあげてお話したいと思います。

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