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第29回 「兄弟姉妹へのかかわり方」(令和2年12月)

更新日:2021年1月15日

ページ番号:15219161

新型コロナウイルスの流行は未だ収束が見通せない状況です。
感染予防のため外出を控え、子どもたちは家にいる時間の長いご家庭も多いことでしょう。
 
外来診療の際、
親御さんから「兄弟のもめ事が多く、仲裁することが大変」「弟(妹)への暴言暴力がひどい」
など“家庭での兄弟喧嘩に対する対応”についての相談を多く受けます。
 
ふたり以上お子さんのおられる家庭であれば、子ども同士のもめ事は珍しいことではないでしょう。
発達障害やその傾向をもつ子どもの場合も同様ですが、
多くの場合どちらかといえば加害側で他の兄弟に攻撃的になる傾向があります。
諍いはしばしばヒートアップし、(本人もですが)親や他の兄弟にとって深刻な悩み事になりえます。
 
家庭だけでなく学校など「外の場」でも他害がひどい場合は、
その子の特性・障害の程度に対し周りの大人の理解や対応は適切かを確認しましょう。
医療機関・福祉機関に相談するのもよいでしょう。
 
もし子どもが学校や幼稚園等に通っていて、外の場ではおとなしい・攻撃性など全くみられないようでしたら、
「外の場では頑張っている反動」が原因と思われます。
ストレスのはけ口として最もターゲットになりやすいのが「兄弟(特に弟・妹)」です。
 
仮に自閉スペクトラム症をもつAくん(兄)がBくん(弟)に対し
執拗にちょっかいや喧嘩をふっかけるとします。
学校ではおとなしい子です。
親はどう対応すればよいのでしょうか?
 
まず日ごろからAくんの本音(学校のことについて)を聞けそうであれば確認しましょう。
何も言ってくれなくても、Aくんの特性を考えると学校では色々我慢していることがあると分かります。
外の場での頑張りを推測し、労いの言葉をかけるだけでもいいと思います。
そしていつも彼が家庭において加害側であっても「イライラしてたんやな。」「~が嫌でむかついたんやね」等、
「(加害行動は肯定しないが)そうしたくなる気持ちはわかる」という姿勢を示しましょう。
Aくんには「親にはわかってもらえている」という安心感を持ってもらうことがまずは重要です。
 
弟Bくんへの配慮も重要です。
Aくんに対し上記のような対応を粘り強く続けても学校生活が続く限りしばらくは兄弟喧嘩を繰り返します。
 
Bくんに対しても日ごろのストレスについて共感し労ってあげてください。
聞いてくれそうであれば兄の事情(悪気だけではない)についても伝えるとよいでしょう。
 
喧嘩になったらどうするのかについて家庭内であらかじめ約束しておきましょう。
「手が出たら、Aくんはクールダウンの部屋にいく」「嫌な気持ちになった時点でBくんは親を呼ぶ」等です。
喧嘩になってしまったら言い聞かせることは困難です。
物理的にふたりを離すしかないのでそれも事前に約束しておき、淡々と親は約束を実行してください。
大声で怒鳴ったりお仕置きをするなど恐怖で事態を収束させることはやめてください。
(効き目はないですし、虐待とみなされます)
 
学校など「外の場」で子どもを見守る立場の方は、
もし家庭での子どもの様子(保護者からの報告)にギャップを感じるときは
「もしかしてここ(学校)では頑張り過ぎているのかな?ほんとはちょっとしんどいのかな?」
という視点で関わり方を再考してみてください。
「家で甘えているだけ」「親や家庭環境がよろしくないから」で済ますことは危険です。
事態を楽観視し校内での支援を再検討しない場合、近いうちに学校でも暴れるか不登校になるでしょう。
 
子どもが長く外の場で「健全に」頑張れるためには、周囲の大人の理解がとても大切です。
 
※こども未来センター診療所の開所状況はホームページ、公式twitterで随時お知らせしております。引き続きご参照ください。

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