蚊が媒介する感染症「ジカウイルス感染症・デング熱」について
更新日:2020年4月1日
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蚊が媒介する主な感染症である「ジカウイルス感染症」や「デング熱」は、病原体を持った蚊にさされることによって感染する疾患です。日本における媒介蚊はヒトスジシマカで、活動期は5月中旬~10月下旬、冬季に存在はしません。
近年、アジア・中南米を中心に流行が見られ、デング熱に関しては2014年、約70年ぶりに国内感染例が報告されました。これらの蚊が媒介する感染症に関しては、国内においては有効なワクチンが存在せず、予防には蚊に刺されないように防蚊対策を行うことが重要です。
【厚生労働省】蚊媒介感染症について(予防啓発ポスター・リーフレット)(外部サイト)
主な蚊媒介感染症
ジカウイルス感染症について
ジカウイルス感染症は、ジカウイルスを持った蚊がヒトを吸血することで感染します。感染したヒトから他のヒトに直接感染するような病気ではありませんが、輸血や性行為によって感染する場合もあります。また、感染しても全員が発症するわけでなく、症状が出ないか症状が軽いため気付かないこともあります。ジカウイルスは母体から胎児への感染を起こすことがあり(先天性ジカウイルス感染症)、小頭症などの先天性障害を起こす可能性があります。妊婦及び妊娠の可能性がある方は、可能な限り流行地域(※)への渡航を控えてください。現在、日本国内での感染は報告されていませんが、アフリカ、中央・南アメリカ、アジア太平洋地域で報告があります。特に、近年は中南米等で流行しています。
症状
軽度の発熱、発疹、結膜炎、筋肉痛、関節痛、倦怠感、頭痛などが見られます。これらの症状は軽く、2~7日続いて治まります。
性行為による感染予防について
性行為感染及び胎児への感染のリスクを考慮し、流行地域に滞在中は症状の有無にかかわらず、性行為の際にコンドームを使用するか性行為を控えることを推奨します。また、流行地域から帰国した男女は、感染の有無にかかわらず、最低6か月間(パートナーが妊娠している場合は妊娠期間中)は性行為の際にコンドームを使用するか性行為を控えることを推奨します。
- 厚生労働省「ジカウイルス感染症について」(外部サイト)
- 国立感染症研究所「ジカウイルス感染症とは」(外部サイト)
- 厚生労働省検疫所(FORTH)「渡航時におけるジカウイルス感染症への注意について」(外部サイト)
デング熱について
デング熱は、デングウイルスに感染しておこる急性の熱性感染症です。ウイルスに感染した患者を蚊が吸血すると、蚊の体内でウイルスが増殖し、その蚊が他の人を吸血することでウイルスが感染します。ヒトからヒトに直接感染する病気ではなく、感染しても発症しないことが多く、予後は比較的良好な感染症です。
しかし、デング熱患者の一部は、まれに重症化してデング出血熱やデングショック症候群を発症することがあります。この場合、早期に適切な治療が行われなければ死に至ることがあり、2016年には海外から帰国した方が死亡する事例も発生しています。
流行地は、熱帯や亜熱帯の全域で、東南アジア、南アジア、中南米で患者の報告が多く、その他アフリカやオーストラリア、南太平洋の島々でも発生があり、日本の最も近い流行地は台湾です。
症状
発熱、頭痛、筋肉痛、皮膚の発疹、嘔気・嘔吐などが見られます。
治療法
特異的な治療法はなく、対症療法を行うことになります。
予防方法~蚊を増やさない!蚊に刺されない!~
蚊を増やさないようにする
- 水のたまり場所が蚊の幼虫の発生源になります。蚊は、水辺に産卵しますので、自宅周辺のバケツや空き缶など容器に溜まった水を捨てるなど、住まい周辺の水たまりを無くしましょう。
- 雨水ますは、網戸など目の細かいネットを敷いて蓋をしておくと蚊の発生を抑えます。
- 蚊(ヤブカ類)の防除方法等、詳しくは西宮市環境衛生課(電話:0798-35-0002)にお問い合わせください。
蚊に刺されないようにする
- 蚊に刺されそうな場所では長そで長ズボンなど肌の露出が少ない服装を着用し、裸足でのサンダル履きは避けましょう。
- 薄手の衣類の上から、足首、首筋、手の甲などの小さな露出面でも吸血されることがあるため、虫刺され防止薬を適切に使用しましょう。
- 網戸を閉めて屋内への蚊の侵入を防ぎましょう。
- 海外の流行地域に出かける際は、現地において長そで長ズボンなど肌の露出が少ない服装を着用し、虫除けスプレーや蚊取り線香などを使用する等、蚊に刺されないよう予防対策に努めてください。
流行地域から帰国された方へ
すべての蚊が病原体ウイルスを保有しているわけではないので、蚊に刺されたことだけで過分に心配する必要はありません。ご心配な場合は、帰国された際に空港等の検疫所にご相談ください。また、帰国後に心配なことがある場合は保健所にご相談ください。なお、発熱など症状がある場合は医療機関を受診してください。
日本では、媒介蚊であるヒトスジシマカがほとんどの地域に生息してます。このため、仮に流行地域でウイルスに感染した発症期の人(日本人帰国者や外国人旅行者)が国内で蚊に刺され、その蚊がたまたま別の人を刺した場合に感染する可能性は低いながらもあり得ます。そのため、流行地域からの帰国者は、症状の有無にかかわらず、虫よけ剤の使用など蚊に刺されないための対策を少なくとも2週間程度は特に注意を払っていただくことを推奨します。