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【香櫨園】香櫨園海水浴場

更新日:2022年1月25日

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1 にぎわう海水浴場

夏は海水浴!高度成長期まで、阪神間の海は海水浴を楽しむ人で埋めつくされていました。なかでも香櫨園浜と甲子園浜は駅から近く、施設も整い、また景勝地として人気の高い場所でした。


打出の浜から始まった

 阪神電鉄が神戸線を開業したのは明治38年です。開業1年の春を過ぎた頃、誘客施設として海水浴場を開設することになりました。白羽の矢が立ったのは「打出浜」。沿線の中間地点の白砂青松の景勝も優れ、何より「打出」という名が縁起がよいことから決められ、浜寺とともに関西において最初の海水浴場でした。

 しかし、打出浜の海中は牡蠣(かき)の殻や築堤の崩れた石で怪我をしたり、小魚に刺されたりなどで別の候補地を探すことになります。

明治40年 香櫨園海水浴場開設

 「香櫨園の浜は西に東に白砂の長汀(ちょうてい)と連り、前には千鳥通ふ淡路島の姿を眺め、遠くは水や空なる彼方に紀淡の連峰を望みて、波静かに足元を洗ふ景勝に候」(大正3年3月「郊外生活」より)

2 香櫨園海水浴場全景

 明治40年7月、打出の東隣り、香櫨園浜に美しい白砂がひろがる海水浴場の施設を移すことになりました。

 香櫨園浜には、幕末期、外国船への防備として築造された「西宮砲台」がありました(写真2中央やや左奥)。明治17年の火災により外郭部のみが残っていたのを、明治41年、阪神電鉄が1万1千円余りで払い下げを受けます。

 明治43年、屋上に鉄柵を設け、電灯で飾り、海水浴客の納涼台(ビヤホール)として数年間ですが開放されました。砲台の周りは遊園地となっており、露店も多く建ち並んだといわれます。


海辺で音楽を奏でる

 大正3年、公会堂(写真2左の建物)と展望台(写真3奏楽堂の手前)、その西側の奏楽堂(写真2・3中央のとんがり屋根)が整備されました。

3 移設された奏楽堂(大正14年)

 明治40年、阪急電鉄夙川駅の南の片鉾池に「香櫨園遊園地」がありました。約1万坪の丘陵地を利用し、博物館、動物園、奏楽堂、運動場等がある関西唯一の遊園地としてにぎわいましたが、経営不振となり大正2年閉園となりました。

 奏楽堂と博物館はそのまま香櫨園の浜へ移されます。博物館は「阪神館」と改めて公会堂(余興場)になりました。木造の大きな建物で、阪神電鉄のうたう「郊外生活」を楽しむため移住してきた知識人たちの園芸展や写真展などが開催されました。

 海辺の奏楽堂では楽団による生演奏が行われるなど、阪神地域のモダンな雰囲気が感じられます。


4 室戸台風の被害に遭った奏楽堂(昭和9年)

 しかし、奏楽堂は昭和9年の室戸台風により倒壊しました。

 奏楽堂跡地前には、昭和10年7月、市役所の福利厚生施設「ビーチハウス(海浜休憩所)」が開設されます。


戦争の影響

 毎年大勢の客でにぎわっていた海水浴場ですが、戦争の影響で昭和18年に閉鎖されます。

 三棟117室のシーハウスは在郷軍人の合宿訓練所に使われ、翌年には陸軍の無線特科隊兵舎となり、付近に高射砲陣地などもでき、様相が大きく変わりました。そして、昭和20年5月、空襲で焼失しました。

 戦後、海水浴場が復活するのは昭和22年。またにぎわいが戻ってきます。

海を満喫

5 海を一望 海水浴場の遊園地

 昭和27年頃の写真を見ると、海水浴場には阪神パークのヘリコプター塔に似た遊具があります。埋立地もまだない広々とした海を眺めるのもまたひとしおでしょう。



6 浜辺で釣り

海水浴のかたわらで釣りを楽しむ人もいます。



7 浜辺の釣堀

浜辺に釣堀もあります。


昭和30年代後半にはいると、海水汚染が目立つようになります。昭和36年ごろは西宮砲台の西隣に「マリンプール」ができています。海で泳ぐのはもっぱら大阪や神戸などの遠方から来る人々だったといいます。
8 海水浴場にプール


野鳥の楽園

9 野鳥の楽園(昭和57年)

 昭和40年、香櫨園海水浴場は甲子園海水浴場とともに閉鎖されることになりました。その後昭和50年代には、海の水をきれいにする取り組みが功を奏し、ウィンドサーフィンを楽しむ人が集い、野鳥が飛来する楽園へと姿を変えました。


<参考文献>

『輸送奉仕の五十年』(阪神電気鉄道株式会社/昭和30年4月1日発行)

『阪神電気鉄道百年史』(阪神電気鉄道株式会社/平成17年12月27日発行)

『郊外生活』第3号(阪神電気鉄道株式会社/大正3年3月発行)

『明治・大正のふるさとを語る』(浜脇校区老人クラブ連合会/昭和49年9月1日発行)

『酒都遊観記』(酒都遊観記刊行委員会/昭和49年9月25日発行)

『西宮市公報』第103号(昭和10年7月20日)

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