エムポックスについて
更新日:2025年9月19日
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エムポックスとは
オルソポックスウイルス属のエムポックスウイルスによる急性発疹性疾患の感染症で、1970年にヒトでの感染が発見されて以来、中央アフリカから西アフリカにかけて地域的な流行がみられていました。
2022年5月以降、欧米を中心にクレード2のエムポックスが流行し、国内でも2022年7月に1例目の患者が確認されました。
2023年以降はコンゴ民主共和国を中心としたアフリカ諸国でクレード1のエムポックスの流行が報告され、国内でも2025年9月に初めてクレード1の患者が確認されました。
2003年から「感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律(感染症法)」上の四類感染症として位置づけられ、2023年5月26日に「サル痘」から「エムポックス」に名称が変更されました。就業制限、入院勧告等の措置及び医療費公費負担の制度はありません。
症状と経過
潜伏期間
通常6~13日(最大5~21日)
症状
発熱、頭痛、顎下・頸部・鼠径部のリンパ節腫脹などの症状が0~5日程度持続し、発熱1~3日後に発疹(皮疹)が出現します。
皮疹は顔面から出現し、体幹、四肢へ広がり、徐々に隆起して水疱、膿疱、痂皮となります。
エムポックスでは手掌や足底にも皮疹が出現することなどが、水痘との鑑別に有用とされています。
小児例や、曝露の程度、患者の健康状態、合併症などにより重症化することもあります。
感染経路
動物由来感染症であり、自然宿主はアフリカに生息するリスなどのげっ歯類と考えられています。
接触感染
感染した人や動物の皮膚病変、体液、血液との接触(性的接触を含む)、患者が使用した寝具等との接触等により感染します。
飛まつ感染
患者と長時間、近距離で対面することで、飛まつを吸い込んで感染することがあります。
治療方法
解熱剤などの対症療法が基本となり、多くの場合は2~4週間で自然に治ります。
抗ウイルス薬のテコビリマットが薬事承認されており、特定臨床研究が実施されています。(同研究に同意され、担当医が治療研究のための基準を満たすと判断した場合)
エムポックスを予防するには
- 天然痘ワクチンが約85%の発症予防効果があると言われていますが、一般には流通していません。
- 患者の接触者については、同ワクチンの有効性及び安全を検討するための臨床研究が開始されています。(同研究に同意され、一定の基準を満たす場合)
エムポックスを疑う症状があったら
- 感染を疑う症状がある場合は、医療機関に「エムポックスの可能性がある」とご相談ください。
- 医療機関を受診する際は、マスクの着用、皮膚病変部位をガーゼなどでおおう等の対策をしてください。
関連リンク
エムポックス患者とエムポックス疑い例への感染予防策(国立健康危機管理研究機構)(外部サイト)