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令和7年度国際交流事務研修生だより4

更新日:2025年12月19日

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 令和7年度国際交流事務研修生として8月25日から12月19日まで、鐘一沁(しょういっしん)さんが中国・紹興市から西宮市へ派遣され、市役所や西宮市国際交流協会で西宮市の行政や国際交流、日本文化や日本語について研修を受けておられます。研修生だより最終回は、西宮で思ったこと、感じたことなど、研修生活を総括していただきました。

研修生だよりNo.4

 

 西宮で迎える冬の冷たい空気の中、四か月にわたる研修生活が静かに終わろうとしています。来西前は、今回の研修がどのようなものになるのか、正直なところ、はっきりとした輪郭を描けずにいました。しかし、今振り返ると、この四か月は国際交流事務に関する知識を得る期間というよりも、自分自身の国際交流や民間交流に対する見方が、少しずつ変化していく過程そのものであったように感じています。
 研修を通じて接したのは、単に行政業務の一端ではなく、「なぜその仕事が存在しているのか」「誰のために機能しているのか」を常に意識した現場の姿でした。市議会から防災、教育、環境、文化、国際交流まで、分野は異なっていても、そこに共通して流れていたのは、市民一人ひとりの生活に目を向ける視点でした。外から見れば当たり前に見える制度や仕組みの背後に、長い時間をかけて積み重ねられてきた努力と信頼があることを、現場での研修を通じて初めて実感しました。
 特に印象に残っているのは、西宮における国際交流が日常の中に自然に組み込まれている点です。多言語防災対応、多言語教室、国際文化イベントや市民講座の開催など、どの場面においても「異なる文化を受け入れるための工夫」がさりげなく存在していました。研修生という立場で参加する中で、私は次第に「外国人として支援される側」から、「地域の一員として関わる側」へと意識が移っていくのを感じていました。
 こうした経験を重ねる中で、私の中に浮かび上がってきたのが、西宮市の多文化共生を一つの枠組みとして捉える視点でした。私が体験した西宮市の多文化共生は、異文化理解を基盤とし、行政・事業者・地域が連携しながら、包容力と信頼関係を育み、若者に対しても国際的な学びの環境を整備しつつ発展していくシステムであると考えております。それは理念として掲げられているだけでなく、日々の実践として積み重ねられていることを、現場での研修を通じて学びました。
 ある晩、西宮の街を歩きながら、「清水へ祇園をよぎる桜月夜、今宵会う人は、皆美しき」という短歌が、ふと心に浮かびました。京都でもなく、桜月夜でもない西宮の冬の夜において、ここで出会った人々の優しさが、日常の中で自然に生まれたものであったからこそ、より美しく感じられたのだと思います。

 四か月という時間は決して長くはありません。しかし、今回の研修で得た視点や問いは、今後も私の中に残り続けるものです。帰国後は、西宮で学んだ国際交流のあり方を、自身の研究や講義にも応用していきたいと考えています。
 最後に、この研修の機会を与えてくださり、日々丁寧に関わってくださった西宮市の皆様に、心より感謝申し上げます。ここで得た経験を胸に、また別の場所で新たな絆を紡いでいけるよう、歩みを続けていきたいと思います。

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