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令和6年度西宮市施政方針

更新日:2024年2月22日

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令和6年度西宮市施政方針演説(令和6年2月21日)

目次

令和6年度西宮市施政方針

 本日ここに、西宮市議会第5回定例会の開会にあたり、新年度予算案をはじめ諸議案の提案とともに、私の施政方針を申し上げ、議員各位並びに市民の皆様のご理解とご支援を賜りたいと存じます。

はじめに

 はじめに、本年の元日に能登半島を襲った地震でお亡くなりになった方々のご冥福をお祈りするとともに、ご家族の皆さまにお悔やみ申し上げます。また、被災された方々には、心よりお見舞い申し上げます。
 29年前の阪神・淡路大震災において本市が甚大な被害を受けた際には、多くの自治体からご支援をいただきました。その際に寄せられた支援に報いるべく、現在、本市からも被災自治体へ応援職員を派遣し、避難所運営支援などの業務に携わっています。1日も早い復旧・復興を願って、積極的に被災地への支援を行ってまいります。
 昨年は、本市のアイデンティティーとも言える文教住宅都市宣言から60年、平和非核都市宣言から40年、環境学習都市宣言から20年の節目を迎え、11月には市民とともに未来を見据えた式典を開催することができました。また、令和7年4月には市制施行100周年の更なる大きな節目を迎えることとなります。その100周年に向けて事業展開を推進するためのロゴマークとキャッチフレーズを広く公募し、都会でありながら自然あふれる美しい西宮市を表現したロゴマークと、「たのしみや、にしのみや」という、楽しげで趣ある言葉を選定しました。応募者の方々から寄せられた西宮のイメージが、自然と調和し、洗練されたまちであるということを改めて確認できました。市政を預かる立場として、100周年を一つの節目としつつ、その先の西宮の未来は明るく希望に満ちたものであるというメッセージ、そして施策を具体的な形にしていくことが私に課せられた使命と自覚し、市政のかじ取りを担ってまいります。
 
<本市を取り巻く社会情勢の変化>
 そうした中ではありますが、私たちを取り巻く環境は日々大きく変化を続けています。長期間にわたり、行動制限をはじめとした感染症対策等にご協力をいただいたコロナ禍から、ようやく一区切りとなりましたが、不安定な国際情勢や慢性的な人手不足と合わせ、物価や資材の高騰が続いています。
 また、少子高齢化が急速に進展し、経済優先から成熟社会となっている我が国においては、価値観の多様化が進むとともに、これまで以上に地球環境問題の深刻化が進み、一人ひとりの自覚と主体的な取組がより求められる状況にあります。自分たち自身が変わっていく、進化していく必要性を理解しつつ、前に進んでいきたいと思います。
 
<財政構造改善の取組>
 本市市政においても、未来に向けて進化していかなければなりませんが、そのために必要なものは、行政経営改革と、今年度新たに掲げた財政構造改善の取組です。
 行政経営改革は、令和2年度から3年ごとの区切りとして前期、中期、後期とした取組を進めてきたもので、OPEN、SMART、RELIABLEの三つの視点から、「市民とともに新たな価値を生み出す市役所改革」として旗を掲げ、市の業務改善や人材育成などの取組を進めているところでございます。
 しかしながら、令和4年度決算では、収支不足を補填するため財政基金から多額の取崩をすることとなり、その結果、実質単年度収支が42億円の赤字となりました。このままの財政運営を続けると、今後も多額の収支不足が見込まれ、基金が大きく目減りし、近いうちに枯渇してしまうことも有り得ることから、昨年秋に、財政構造改善基本方針を策定し、「令和6年度から10年度の5か年をかけて、単年度で40億円以上の収支改善を目指す」との明確な財政目標を定め、取り組むことといたしました。
 持続可能な市政運営を行うためには、一時的な財政対策を行うのではなく、財政を圧迫する要因、つまり財政構造そのものに切り込むことが必要です。これまでの行政経営改革に加え、現在策定中の西宮市定員管理計画等と相互連携を図りながら、財政構造改善に向けた取組を、強い危機感を持って進めてまいります。
 これまでに財政構造改善基本方針に基づく取組の大枠として取組の項目と概ねの効果額をお示ししたところですが、実施期間の当初からすぐに効果が得られるものと、プロセスを踏むため効果を生み出すまでに数年を要するもの、今後の調整を経た中でより具体的な形となっていくものがあります。それぞれの目標とする効果額は、現時点においては幾分の幅はありますが、こうした取組を積み重ねることによって、目標年度である令和11年度以降には年40億円以上の改善により収支均衡が図られるよう取り組んでまいります。
 この取組をしっかりと行うことによって、本市の財政が危機的状況に陥ることなく、安定した市民サービスを受けられる、そう誰もが思える状況に導くことが私の使命と認識し、全力を尽くす覚悟です。
 
 本市の最上位計画である第5次西宮市総合計画については、令和6年度より後期基本計画期間が始まります。この計画の体系に沿って、新年度に実施する主要な事業・施策及び財政構造改善に係る取組をご説明いたします。

1  住環境・自然環境

 まず、基本計画の第1部「住環境・自然環境」についてです。
 都市部である阪神間に位置しながら、山川海の自然が近い本市は、利便性と自然が調和したまちづくりが評価されてきました。まちとしての価値や魅力を高めていく取組を続けていくことで、住みたいまちとしての評価を維持していきたいと考えます。
 臨海部においては、本市の諸課題を俯瞰的に捉えて、臨海部土地利活用の検討を進めており、各埋立地における大規模公園について、総合公園としての一体的な価値の向上を目指してまいります。
 鳴尾浜にある市民緑化ボランティアの活動施設である花工房は、鳴尾浜臨海公園南地区の再整備にあわせて、交通の便が良いまちなかの西田公園に移転し、市民が参加しやすい緑化活動の拠点として整備します。
 市民一人当たりの身近な公園面積が特に少ない上ケ原小学校区において、生産緑地を活用した新たな公園の整備に着手するほか、施設が老朽化している弁天公園のリニューアル工事を実施します。
 阪神西宮駅の北側地区では、民間主導による駅前の拠点市街地の形成に向けて道路や公園を再編し、交通結節機能の向上を目的とした駅前広場整備や安全で快適な歩行者空間の確保、新中央図書館を含む公民複合施設の整備による土地の有効高度利用など、本市の都市核にふさわしい賑わいと活力のある駅前空間の再整備を公民連携で進めてまいります。
 また、市役所本庁舎周辺地区では、ウォーカブルなまちなかづくりを進めることとし、本庁舎前の空間について、居心地がよく、フレキシブルに活用できる、魅力ある空間へのリニューアル工事を実施してまいります。
 阪急武庫川新駅については、尼崎市や阪急電鉄と協調しながら、駅開業に向けて取り組んでまいります。あわせて、周辺の都市計画道路等の整備も地域の意見を踏まえながら順次、進めてまいります。
 コミュニティ交通では、名塩地区において、これまでの試験運行を経て本格運行が開始される予定です。また、甲陽園地区と山口地区での試験運行も実施されており、引き続き、これらの取組について、支援してまいります。
 これまで実証実験を行ってきたシェアサイクル事業について、本年4月から本格実施に移行します。今後も更に利便性を高め、新たな交通手段として定着するよう取り組んでまいります。

2  子供・教育

 次に、基本計画の第2部「子供・教育」についてです。
 次代を担う子供たちは、私たちの希望であり、未来だけでなく今においても、社会の主役であると考えています。安心して子育てができる環境づくりに向けて、地域がつながり、社会全体で子供を育み、子育てを支えていく機運を醸成することが大切であり、あわせて、子供たち自身が社会の担い手であるという意識と、その子供たちの声を踏まえたまちづくりを進めていくための基盤となる「(仮称)宮っ子つながり支える条例」の制定に着手してまいります。
 「西宮市幼児教育・保育のあり方」に基づく取組については、先にアクションプランPart2を作成し、新年度に着手する浜脇ブロックに引き続いての公立幼稚園と公立保育所の再編について具体的な取組をお示ししたところです。残るブロックについても令和6年度中の取りまとめを目指してまいります。また、公立、私立、幼稚園、保育所を問わず、本市の幼児教育・保育の質の向上につなげるため、更なる充実を目的とした幼児教育・保育センター機能を担う体制整備の具体的な検討に着手します。
 保育ニーズは依然として増加しており、今後の少子化も見据え、既存施設を有効活用しながら、待機児童の解消を目指します。また、医療的ケア児の受入体制の整備も進めてまいります。
 これからの教育には、激しく変化し続ける社会情勢の中、想定外の事象と向き合い対応する力や、不透明な未来を切り開き、たくましく生きる力をどのように育むかという視点とともに、ウェルビーイングの向上や持続可能な社会の実現という視点が重要です。そのため本市では、子供一人ひとりのかけがえのない価値を尊重し、個人の能力を最大限引き出すことを重視することで、生涯にわたり自らの能力を高め、あるいは得意な分野の才能を伸ばすとともに、自己実現を目指す意欲や態度、そして自主的精神の育成に努めます。あわせて、これからの教育を支える基盤的なツールとしてICTは必要不可欠であることを認識し、本市の教育理念である「夢はぐくむ教育のまち西宮」を基本に、学校・家庭・地域が緊密に連携し、自主的・自律的で創意工夫のある学校教育を進めてまいります。
 共生社会の形成を目指して、障害のある子供と障害のない子供との交流及び共同学習を更に進め、誰もがともに学べる環境づくりに取り組んでまいります。支援員や看護師の配置など障害の状態に応じた専門性のある支援体制を構築し、合理的配慮の基礎となる環境整備を進め、障害の重度・重複化や多様化していく児童生徒に対する支援の充実を図ってまいります。
 学校施設については、「西宮市学校施設長寿命化計画」の見直しを進めるとともに、効率的かつ効果的な建替・改修を推進し、引き続きトイレの洋式化や体育館の空調整備にも取り組んでまいります。

3  福祉・健康・共生

 次に、基本計画の第3部「福祉・健康・共生」についてです。
 「西宮市高齢者福祉計画・西宮市介護保険事業計画」に基づき、特別養護老人ホームの整備を進めるとともに、老朽化が進んだ既存の特別養護老人ホームに対して、建替えのための改築補助制度を新たに設けます。
 医療的ケア児等とその家族が個々の状況に応じた支援が受けられるように、医療的ケア児等コーディネーターを配置いたします。また、支援に携わる各分野の関係機関等で構成する協議の場を設置し、医療的ケア児等への支援の課題把握と対応策の検討を行ってまいります。
 市立中央病院と県立西宮病院の統合再編新病院「(仮称)西宮総合医療センター」については、昨年7月より建設工事に着手しており、令和8年度上半期の開院を目指します。統合までの間、中央病院では、経営改革プランに基づく経営改善の取組を継続し、地域医療支援病院として市民の命と健康を守る役割を果たしてまいります。
 統合再編後の中央病院跡地については、令和4年度に活用方針を公表しましたが、市の財政状況を勘案し、改めて活用方針について検討してまいります。
 本市では、健やかかつ安心して子供を産み育てられる環境を作るべく、様々な施策を展開してまいりました。長らく、地域の民生委員、主任児童委員の皆様のご尽力により、乳児のいる全ての家庭を訪問する「健やか赤ちゃん訪問事業」が実施され、子育て家庭と地域をつなぐ役割を担っていただきました。そうした中、国において妊婦・子育て家庭への伴走型相談支援と経済的支援の一体的実施が制度化されたことから、子育てひろばや子育てコンシェルジュの専門スタッフが訪問を実施することとなり、新たな体制で子育て家庭を見守ることとなりました。
 出産・子育て応援給付金については、現金による給付でスタートいたしましたが、電子クーポンによる給付に切り替えて、迅速な支給と市民の手続き負担の軽減を図ります。
 また、自治体情報システム標準化等による業務の効率化や住民の利便性の向上を目指し、母子保健事業においても、更なるDXの推進や保健師など専門職の配置の見直しが必要と考えられる状況です。保健福祉センター業務の在り方とあわせて、子育て支援事業との連携について検討し、事業をより合理的に運営していくことで、市民サービスを維持しながら、リソースの適正化を図ってまいります。
 全ての人の人権が尊重され、多様な価値観やライフスタイルを互いに認め合うことができる共生社会を目指し、市民一人ひとりが気づきからアクションを起こすきっかけとなるよう、人権に関する教育・啓発に努めてまいります。
 令和3年4月からスタートした西宮市パートナーシップ宣誓証明制度の範囲を子と親に拡大するファミリーシップ宣誓証明制度を本年4月より導入するとともに、自治体間の連携についても拡大し、宣誓者の、連携する自治体間の転入転出時の事務手続きの簡素化を進めます。

4  都市の魅力・産業

 次に、基本計画の第4部「都市の魅力・産業」についてです。
 生涯学習は、学びと活動が好循環する持続可能な地域づくりの基盤として、全ての施策分野における市民との協働を進めるキーワードと位置づけ、全庁的な推進に努めてまいります。
 全庁的に進める上で、令和6年度から取り組むのが、施策推進と施設管理の分離です。本市では、公民館を各中学校区に配置し、早くから社会教育が各地域で活発に行われるとともに、大学交流センターや消費生活センターなど施策目的ごとに施設があり、個々の施策にあわせて施設の管理運用を行ってきました。これは本市の誇るべき歩みでもありますが、一方で、様々な社会問題が複雑化し絡み合う現代において、本市でも人口減少期に差し掛かっている中、今までどおりの枠組みや進め方が、必ずしも適切ではないと考えています。複数の施設をまとめて一体管理することや、親和性の高い施設を再編することにより、施設予約などの利便性向上や維持管理の効率化を図るとともに、施策の展開に注力できる組織体制を構築してまいります。
 施策については、具体的な取組を今後検討していくこととなりますが、先んじて進めたいと考えるのが、大学交流センターと市民交流センターの再編です。大学交流センターは設立から20年が経過し、大学のあるまちとして象徴的な活動を展開してまいりましたが、昨今の大学生を取り巻く環境の変化により、地域というフィールドで実体験を通じた学びを深めるニーズが年々高まっており、そうしたニーズと学校・自治会・社会福祉協議会等様々な地域をつなげる役割が、市に求められていると考えています。また、市民交流センターは平成14年よりNPO法人など市民活動団体の交流や活動の推進拠点として機能してきましたが、現在改正について検討を進めている「西宮市参画と協働の推進に関する条例」の考え方でもある、多様な主体との間での課題共有や連携・協働を推進する役割を担う施設であることを踏まえ、これら二つを令和7年度より効果的に再編したいと考えています。このようにして、既存事業の在り方をゼロベースで見直し、合理化を図るとともに、よりニーズに合った今後の施策展開に資するような、そうした再編につなげていきたいと思います。
 かねてより進めていた幾つかの事業については、コロナ禍を挟んで、ようやく形となってまいりました。
 地域の交流拠点として整備を進めている「(仮称)越木岩センター」は、令和8年度の供用開始に向け、解体・建設工事に着手するとともに、新たな施設が、地域の新しいエネルギーを生み出す機会となり、地域づくりの拠点として機能するようなソフト面の取組を並行して行ってまいります。
 中央運動公園及び中央体育館・陸上競技場等再整備については事業者が決定し、設計・解体工事に着手します。地域に開かれた公園を舞台に人と人をつなぐ運営を目指し、公園とスポーツ施設を一体的に整備してまいります。
 アミティ・ベイコムホールを含む市民会館は、本庁舎周辺公共施設の再整備による建替え更新を行うまでの間、その機能を維持できるよう、必要な改修を実施してまいります。

5  環境・都市基盤、安全・安心

 次に、基本計画の第5部「環境・都市基盤、安全・安心」についてです。
 令和3年に表明した「2050ゼロカーボンシティにしのみや」の実現に向け、全庁的な課題として環境問題への取組を進めているところです。この取組を加速するため、国の交付金も活用し、再生可能エネルギーの公共施設への導入や公用車への電動車の計画的な導入など二酸化炭素排出量削減に資する事業を順次開始してまいります。
 また、東部及び西部総合処理センターの廃棄物発電の地産地消の拡大や、公共施設の照明設備を蛍光灯からLED照明に置き換えることによる電力使用量の削減と、これに伴うコストの削減を引き続き進めてまいります。
 令和5年度には「西宮市環境基本計画」の中間見直しを行いました。見直しのポイントは、昨年の施政方針で申し上げました環境学習のバージョンアップです。現在の地球規模での気候変動を考えた時、市民、事業者、行政がともに考え、自発的に行動することで、今の環境を次の世代につないでいくことが我々の責任であり、バージョンアップした環境学習がその原動力となると考えています。新年度は、小学生が中心となっている環境学習の取組に中高生向けのプログラムを加えるとともに、生涯学習事業との連携を進めることで、資源循環型社会、脱炭素社会の形成に資する自発的な行動に結びつくよう環境学習のバージョンアップに取り組んでまいります。
 更新時期を迎えるごみ処理施設についての建替えを進めてまいります。東部総合処理センターに建設する新たな破砕選別施設は令和8年度の稼働開始を目指して建設工事を進めてまいります。また、令和8年度のごみ分別区分の見直し時に合わせて現在行っているその他プラスチックの分別回収に製品プラスチックも一括して回収し資源化を実施すべく、事業者選定に着手いたします。さらに、西部総合処理センター焼却施設については、東部総合処理センターと集約する計画を進めてまいります。
 上下水道事業については、料金収入の減少、電気料金の高騰等により厳しい経営状況が見込まれる中、老朽化が進む施設への対応、発生確率が高まる南海トラフ地震や局地的な豪雨等の様々な災害に備えていく必要があります。そのため、更なる経営改善に努めながら、施設の長寿命化や計画的な改築更新を行うとともに管路や処理場等の耐震化と治水安全度を向上させるための雨水浸水対策などに取り組んでまいります。
 道路については、橋梁などの施設において長寿命化対策などの維持管理に努めるとともに、幹線道路等の整備を進めてまいります。北部地域においては、国道176号(名塩道路)の全線開通に向けて、引き続き国への働きかけを行ってまいります。また、南部地域では、山手幹線の道路整備や小曽根線などの道路改良を着実に進めてまいります。
 令和7年は、阪神・淡路大震災の発生から30年を迎えます。この節目の年に当たり、改めて震災に関する情報発信等により、当時の記憶・教訓を継承し、一人ひとりの防災意識の向上が図られる契機としてまいります。
 また、本市の防災目標である「災害から市民の生命と財産を守る。」を実現するため、「地域防災力の向上」、「防災体制の充実」を推進してまいります。
 消防体制の強化については、より迅速的確な消防活動を推進するため、西宮消防署に指揮隊を配置するとともに、市立中央病院と県立西宮病院の統合再編にあわせて、消防と医療機関の連携拠点となる救急ワークステーションの整備を進めてまいります。

6 政策推進

 最後に、基本計画の第6部「政策推進」についてです。
 ライフスタイルの変化や長期間にわたった感染症対策などの影響で、市民が求める地域社会や地域活動の姿は多様化しており、地域活動や地域行政の在り方についても様々な課題に直面しています。持続可能な地域社会や地域活動の実現に向け、地域と協働する関係部署が連携し、どうすれば活動しやすくなるのかを市民の皆様とともに考え、市が果たすべき役割について検証し、地域の実情等に応じた様々な地域活動を支援できるよう、地域行政の在り方の見直しに取り組んでまいります。また、地域で活躍される市民や事業者等の皆様と市が協働する基盤となる「参画と協働の推進に関する条例」の検証結果を踏まえ、条例の改正や運用の見直しを進めるなど、市民社会を支える、市民のボランタリーな活動を後押しする市役所を目指してまいります。
 財政構造改善基本方針に基づいて、総人件費の抑制を進めなくてはなりません。事務事業の見直し、ICT技術の導入やシステムの最適化など業務の効率化とともに市全体の仕事総量を減らしていくことを意識して進め、このほどお示しする「西宮市定員管理計画」などに沿って、職員数の抑制と適正な人員配置を行い、多様化・複雑化する行政ニーズに対応できる体制を確立してまいります。給与水準の適正化などについても内外に丁寧に理解を得ながら着実に進めていくことが必要と考えています。
 職員の働き方改革として、時間外勤務の削減やワーク・ライフ・バランスに配慮した職場環境づくりなどを進めてまいります。また、人事評価制度については、これまで以上に評価の信頼性と納得性を高め、職員の意欲と公務能率の向上につながるよう制度の熟度を高めてまいります。
 行政経営改革本部の専門部会である公共施設マネジメント推進部会において、施設総量の縮減に向けて推進体制の構築を図ってまいります。また、用途廃止後の公共施設の跡地や未利用となっている市有地についても、条件整理を行った上で、早期に売却や貸付などの有効活用が図られるよう努めてまいります。
 江上町の市有地については、旧江上庁舎と旧保健所庁舎の解体工事に着手するとともに、跡地活用について、地域課題の解消と財源の確保を目指した民間事業者の公募の手続きを進めてまいります。
 「西宮市DX推進指針」に基づき、市の窓口手続きや内部事務のDXを進めます。具体的には、コンビニ交付の利用促進に加え、マイナンバーカード関連手続き専用窓口における「申請書自動作成システム」の導入や、小規模開発事業や建設予定地の調査を含む各種手続きへの「にしのみやスマート申請」の導入を通じて、市民や市内事業者の更なる利便性向上を図ります。このほかにも、審議会等におけるタブレットの導入や生成AIの活用を通じて、内部事務の更なる効率化を図ります。
 こうしたDXを伴う取組を進めた上で、市民の利用実態にあわせて、窓口体制の最適化を図ってまいります。本庁をはじめ各窓口の17時閉庁のほか、支所等の行政機能について窓口での行政サービスの提供から地域振興活動の拠点へと役割転換を検討することとし、そのモデルとして瓦木支所管内で検討してまいります。
 広報については、「市民に本当に届く情報伝達とは何か」、そうした視点に立つ市職員を育成したいとの思いから、これまでに「広報広聴ガイドライン」を策定し、効果的な広報が実施できるよう取り組んでまいりました。
 現在、市政ニュースやホームページのほか、SNS、コミュニティFM、ケーブルテレビなど、印刷物だけでなく多様な媒体を通じて情報発信をしていますが、その中で、ホームページについては昨年に全体リニューアルを行い、市民にとってより見やすく情報を探しやすいものへと、バージョンアップできたと考えています。さらには、外部アドバイザーを全国から公募し、各媒体でのスキルを高めるなど、市の広報力強化に向けて意欲的に取り組んでいるところです。こうした取組を今後も継続・展開してまいりますが、とりわけ市政ニュースについては、財政構造改善の取組や情報化の急激な進展の観点から、発行や配布コストの問題を含んだ紙媒体の在り方にまで踏み込んだ議論・改革に取り組まなければならない時期を迎えていると考えています。紙媒体の良さと情報量や即時性の限界などを踏まえつつ、持続可能な在り方について、検討を進めてまいります。こういったことから、新年度では、外部有識者からの意見も取り入れながら、庁内で検討を重ね、市の広報戦略となる大きな方針を策定できるよう取り組んでまいります。
 広聴については、昨年6月より開設いたしました総合コールセンターにおいてFAQサイトの充実を図ることで、市民の皆様がより簡便に自己解決を図れるよう取り組むとともに、にしのみや市民の声公開サイトの充実を図ることで、市の様々な施策や取組をより広く知っていただくことにつなげてまいります。

予算

 次に、令和6年度予算について概要をご説明いたします。
 厳しい財政状況の中、財政構造改善の取組により経費削減を図りつつ、歳出では、ゼロカーボンシティ実現に向けた取組や公共施設の老朽化対策、まちづくりへの投資に資する事業などを重視した予算編成を行いました。
 歳入では、根幹となる市税収入については、新年度実施予定の定額減税による減収分について地方特例交付金で措置される分も含めますと増収となる見込みです。市有地の売り払いや市債の活用も積極的に進めておりますが、喫緊の行政課題への対応に必要となる財源の確保が難しいため、不足する額については、財政・減債基金から繰り入れることとしました。
 
 このように編成いたしました新年度予算は、 
 一般会計  2,032億 975万8千円 前年度比 4.1%増
 特別会計   944億3,949万1千円 前年度比 4.2%増
 企業会計   463億8,743万7千円 前年度比 2.5%増
 合  計  3,440億3,668万6千円 前年度比 3.9%増

 となっております。
 
 以上、新年度の市政に臨む私の決意と施策の大要を申し上げました。
 議員各位並びに市民の皆様のご支援をお願い申し上げますとともに、予算案をはじめとする諸議案にご賛同賜りますようお願いいたします。

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お問い合わせ先

政策推進課

西宮市六湛寺町10-3 西宮市役所本庁舎 4階

電話番号:0798-35-3427

ファックス:0798-23-3084

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