このページの先頭です

令和2年度西宮市施政方針

更新日:2020年12月3日

ページ番号:84301169


令和2年度西宮市施政方針演説(令和2年2月19日)

目次

令和2年度西宮市施政方針

 本日ここに、西宮市議会第4回定例会の開会にあたり、新年度予算案をはじめ諸議案の提案とともに、私の施政方針を申し上げ、議員各位並びに市民の皆様のご理解とご支援を賜りたいと存じます。

はじめに

 今年の1月17日、阪神・淡路大震災から四半世紀となる25年を迎えました。改めて、亡くなられた1,146名の方々のご冥福をお祈り申し上げるとともに、本市がここまで復興し今の発展を迎えることができたことに、市民の皆様、そして本市の復興を応援していただいた皆様に感謝申し上げます。一方で、25年がたったとはいえ、今もなお癒えぬ傷を持つ人たちがいることを胸に刻んで、これからの市政運営に当たっていきたいと思います。

 昨年の西宮市役所は、大変多くの不祥事を起こしてしまいました。この場をお借りして、改めて市民の皆様にお詫び申し上げます。不祥事がこれだけ続いてしまうことは、個人の問題だけとは言い切れず、西宮市役所という組織の風土、慣習、仕組みと無縁ではないと感じています。そうした意味で、再発防止は当然のこと、組織そのものの問題点から目をそらさず、不祥事とは無縁で、市民の皆様に信頼いただける組織に再生させることこそが私の責務であると考えています。西宮市役所の再生に向けて、職員と一丸になって、全力で取り組んでまいります。

 令和2年度は、昨年10月に基本方針をお示しした行政経営改革に本格的に取り組む最初の年となります。市長就任からこの4月で2年を迎えますが、私一人でできることは限られており、職員はもとより、議会や市民の皆様から一層のお力添えをいただくことが、よりよいまちづくりに欠かせないという思いが、日に日に強くなるところです。この度、私が訴えている行政経営改革は、職員の力を引き出していくとともに、市民の皆様の力を生かしていくための改革であると考えています。
 行政経営改革を通じて目指す姿は、「市民と共に新たな価値を生み出す市役所改革」としています。この目標を実現するために、三つの視点、まず「OPEN」、市民に開かれた市役所へ、次に「SMART」、合理的で無駄のない市役所へ、そして「RELIABLE」、市民から信頼される市役所へ、を掲げ、行政経営改革に取り組みます。
 まず、「OPEN」である市役所とは、市の情報がしっかりと伝わり、市民とのコミュニケーションが図れていることを指します。こうした認識を職員と共有すべく、「広報広聴ガイドライン」の策定を進めています。そして、市民の皆様がそれぞれの立場や思いに沿って社会の一員としてまちづくりに参加していくことをより促していくためにも、シチズンシップの醸成に向けた取組を大きな柱に据えています。市役所自身も、職員だけで仕事をするのではなく、市民や企業、地域で活動する団体などとの連携を通じて、よりよいまちを共につくっていく、そのための仕組み、意識の変化を促すような「OPEN」を志向する改革を進めます。
 次に、「SMART」である市役所とは、市民にとっては最小限の労力と書類で手続きが済むようになることであり、市の業務についてはICTなどの技術を活用した効率的な事務執行が行われていることを指します。合理的で無駄のない市役所を実現することによって、今後ますます多様化する行政ニーズに適切に対応していくことができます。また、民間に委ねることが適切な業務は民間に委ね、市が保有するデータを政策決定に活用したり、オープンデータとして広く市民等に利用拡大することを目指します。時代の変化に適応する市役所へと昇華していく、「SMART」な市役所への改革を進めます。
 そして、「RELIABLE」である市役所とは、市役所が市民から信頼される存在であるとともに、職員にとっても風通しよく働きやすい、そんな職場であることを指します。職員のコンプライアンスの徹底はもちろん、職員自身が自己成長を意識し、やりがいを感じられるような職場となることで、市民から信頼される市役所となることを目指します。人事面での取組を通じて組織を活性化させ、「RELIABLE」な市役所への改革を進めます。
 このような視点に加え、財源捻出を意識した行政経営改革も重要であると認識しています。ただ、財源捻出が主目的となってしまうと、いわゆる“体質改善”に取り組む前に無理な削減ばかりが進んでしまい、結果として組織が疲弊し、意欲的な改革に手がつかない可能性があります。今の西宮市には、財源捻出を主眼に置いた改革ではなく、市民と共に新たな価値をつくるための、“筋肉質”な市役所へと脱皮を目指すための改革が必要であると考えています。
 具体的な取組の項目は、「行政経営改革実行計画」として示し、目指す姿に向けて取り組んでまいります。これらは、今日まで取り組んできたものもありますし、これから着手をしていくものもございます。今後、実行計画の進捗や成果については、年度ごとに取りまとめ、議会や市民の皆様にご報告してまいります。

 続いて、新年度に実施する主要な事業・施策について、第5次西宮市総合計画の体系に沿ってご説明いたします。

1 住環境・自然環境

 まず、基本計画の第1部「住環境・自然環境」についてです。
 既に、先人の努力によって、本市は良好な住宅都市として高く評価されています。文教住宅都市を宣言している本市にとって、住環境の充実、自然環境の保全は重要課題であり、住宅都市としての価値そのものと考えます。その価値を高め、未来に引き継ぐ取組を進めてまいります。
 公園については、子供の遊び場としての機能、シニア等多様な世代利用に対応するバリアフリー化や健康増進機能、防災・減災機能などを充実させていく必要があると考えており、老朽化した都市公園の再整備に着手いたします。
 また、魅力的な都市核や良好な市街地の形成を市が積極的に進める必要があると考えていることから、武庫川広田線の整備や、樋ノ口地区の土地区画整理事業などの事業を推進するとともに、阪神西宮駅北地区における民間活力の導入も含めたまちづくりの検討や、阪急武庫川新駅の設置に向けた関係者協議などを進めてまいります。

2 子供・教育

 次に、基本計画の第2部「子供・教育」についてです。
 子育て、教育に向き合ううえで基本的な考え方を市民の皆様と共有するために、「(仮称)幼児教育・保育ビジョン」の策定と、「教育大綱」の改定に取り組んでいるところです。そして、子供たちの育ちについては親や学校の先生など一部の大人だけが担うのではなく、社会全体で次の世代を担う子供たちを育む、こうしたコンセプトを明確に示してまいります。
 保育所等の待機児童対策については、昨年4月では保育所等を6園開設したことなどにより、待機児童数は5年ぶりに減少に転じました。しかし、保育所への申込者数は今後も増加する見込みであり、引き続き保育所受入れ枠の拡大に向けた取組を推進します。また、認可保育所等に入所ができず、やむを得ず認可外保育施設を利用される方への支援制度については、要件等の見直しを行い、認可保育所等を利用される方との経済的負担格差の是正に努めます。
 留守家庭児童育成センターについては、待機児童の解消や4年生受入れを図るため引き続き施設整備を進めるとともに、民設の放課後児童クラブの誘致に取り組みます。また、子供の居場所づくり事業の新たな方式として始めた放課後キッズルーム事業も実施校を拡大し、留守家庭児童育成センターの待機児童などの課題解消につなげてまいります。
 近年、子育て環境が変化し、養育困難な家庭が増えています。子供と家庭の問題は多様化・複雑化しており、子供家庭支援のニーズが高まっています。こうしたことから、全ての子供の命・権利を守るため、支援を必要としている子供やその家庭などに対して継続的な支援ができるよう、子ども家庭総合支援拠点の設置に向けて準備を進めるとともに、警察等、関係機関との連携強化を図ってまいります。
 学校教育においては、不登校児童生徒のための、あすなろ学級を増設するほか、障害のある子供に合理的配慮の提供ができるよう基礎的環境整備に引き続き取り組んでまいります。
 西宮浜小学校及び中学校は、4月に小中一貫校の「西宮市立総合教育センター付属西宮浜義務教育学校」として開校し、先進的な研究に取り組み、特色ある学校づくりを進めます。研究の一つの柱となるのが、ICTの活用です。一人1台のタブレットパソコンを活用した学びの個別化についての研究を進め、その成果を検証します。また、それぞれの児童生徒の学習履歴や心理状態などを記録したうえで、必要な対策を早期に講ずることができることを目指した研究を市内大学と連携して進めます。このほか、学校図書館の開館日数を増やし地域に開放するなど、地域拠点・地域づくりに貢献してまいります。
 学校施設については、老朽化や教室不足などの課題がある5校において引き続き校舎の改築等による教育環境の整備を進めるほか、予防保全型の改修による施設の長寿命化を進めるとともに、近年の夏季の猛暑を踏まえ、教育活動における熱中症対策及び災害時における避難所環境改善等の観点から、中学校全校の体育館に空調設備を設置します。
 保護者や地域住民などが当事者として学校運営に参画する学校運営協議会の活動と、地域学校協働活動を一体的に推進する西宮型コミュニティ・スクールの取組を、北夙川小学校、大社中学校など11校のパイロット校で進め、学校と地域の連携・協働を持続可能なものとし、「地域とともにある学校づくり」と「学校を核とした地域づくり」の実現を目指します。
 これらの子供・教育にかかる施策や事業の実施を通して、文教住宅都市を掲げる西宮市の豊かな環境で子供の育ちを応援するとともに、社会全体で子供を育てる環境づくりに取り組みます。

3 福祉・健康・共生

 次に、基本計画の第3部「福祉・健康・共生」についてです。
 全国的に少子高齢化が進む状況は、本市も例外ではありません。また、人生100年時代とも言われています。全ての人が元気に活躍し続け、安心して暮らすことのできるまちをつくるためには、地域の絆を強めて、地域共生社会を目指した取組を進めていかなければならないと考えています。
 障害のある人への理解を促進する取組として、昨年の10月から「あいサポート運動」を開始しています。本市は障害福祉施策の取組を進めるうえで「ともに生き ともに支えあう 共生のまち 西宮」を目指す将来像としており、今定例会において「障害を理由とする差別の解消及び誰もが暮らしやすいまちづくりの推進に関する条例」を提案し、障害の有無にかかわらず誰もが暮らしやすいまちづくりを推進してまいります。
 また、共生型地域交流拠点の設置を進めるほか、認知症の初期における対応を支援するための支援チームの体制強化や、地域で暮らす高齢者の総合相談支援機関である地域包括支援センターの職員の増員を行い、高齢者人口の増加に対応してまいります。
 高齢者交通助成事業については、近年、事業を取り巻く環境が大きく変化しているなか、現在のスキームでの継続が困難な状況となっています。早急に、本制度の本来の趣旨に沿った施策、つまり高齢者の外出促進や健康増進を促す施策への転換を図る必要があり、令和2年度中に事業を見直し、3年度から実施できるよう検討を進めてまいります。
 市立中央病院と県立西宮病院の統合については、統合再編新病院の基本設計・実施設計を進めます。また、中央病院の跡地については、引き続き活用方法の検討を進めます。一方、中央病院は統合するまでの間は、引き続き、地域医療支援病院として市民の命と健康を守る役割を果たします。そのためには、経営改善は不可欠であり、統合を踏まえた「経営改革プラン」の見直しを行い、その達成に向け一層努力してまいります。
 健康増進・公衆衛生の取組では、4月からの改正健康増進法及び兵庫県受動喫煙の防止等に関する条例の完全施行にあわせて、禁煙外来治療に対する助成や受動喫煙防止の啓発などを実施してまいります。
 また、産後うつの予防や新生児への虐待予防等のため、産後間もない時期における産婦健康診査の助成を行い、産後ケア事業等につなげることで、産後の初期段階における支援の強化を図ります。
 そのほか、骨髄・末梢血幹細胞移植では、ドナー個人に休業による収入減などの経済的な負担が発生し、提供辞退となる場合があります。このような骨髄等の提供辞退者を減らすため、ドナーに対し助成金を交付します。
 「誰もが性別にとらわれることなく、互いに尊重し合い、一人ひとりの力を生かすことができる社会の実現」を目指し、市民講座や職員研修などを通じて性の多様性を尊重することの大切さを啓発するとともに、新たな取組として、パートナーシップの宣誓を証明する制度の導入を検討し、性的マイノリティへの支援を進めてまいります。

4 都市の魅力・産業

 次に、基本計画の第4部「都市の魅力・産業」についてです。
 令和初となる1月13日の成人式は、阪神甲子園球場において開催いたしました。高校野球の聖地である甲子園球場は、野球少年だけでなく、宮っ子にとって特別な存在です。これから未来へはばたく若者にとって、ふるさと・西宮を感じ、挑戦する勇気を持ってもらうべく、印象的な式典ができたと考えています。こうした西宮のよき財産を今まで以上に生かしながら、市民と共にまちづくりを進めてまいります。
 この甲子園エリアの地域資源を活用した取組として、市と阪神電鉄、関連事業者などで構成する協議会を設置し、甲子園周辺のスポーツ関連資源のPRやイベントの実施、スポーツ関連ビジネスが展開しやすい環境づくりを進め、地域の活性化につなげてまいります。
 本年は、東京2020オリンピック・パラリンピックが開催されます。本市では、オリンピック、パラリンピックの聖火リレーを実施することが決定しており、この機会にスポーツに触れる機運を高め、市民のライフスタイルにスポーツを取り込む機会を創出するため、各種イベントを実施します。
 現在計画を進めています中央運動公園及び中央体育館・陸上競技場等の再整備事業については、事業者の選定を行い、設計に着手してまいります。
 生涯学習の取組については、生涯学習を推進するための新たな組織体制のもと、「生涯学習推進計画」の策定や、関連施設のあり方の検討を進めます。さらに、生涯学習社会を基盤とする持続可能な地域社会の実現に向け、生涯学習施策と地域づくりを推進するコミュニティ施策が連携できる体制づくりについて引き続き検討してまいります。
 図書館は市民の読書活動や生涯学習を支える基本的な学習施設として利用されていますが、幅広い世代の多様なニーズに応えられる情報拠点としての機能の強化が求められています。そのため、図書館業務の効率化を図り、業務委託を拡大することにより、司書がより専門性の高い業務を行えるよう運営体制を見直し、レファレンス機能や学校図書館への支援を充実させてまいります。また、図書の返却用ポストを増設して利便性を高め、市民の読書振興に努めます。
 卸売市場の再生整備については、新卸売市場の開設に向けた運営計画の策定などの支援を、公設市場と統合した民設市場開設者に対して行うとともに、市街地再開発事業による卸売市場の施設更新を図り、にぎわいのあるまちづくりへの取組を進めてまいります。
 都市部に欠かせない緑地空間である生産緑地の大半は、令和4年に指定後30年を迎え、宅地化される農地が急増する恐れがあります。そのため、生産緑地の買取り申出が可能となる期日を10年延長できる特定生産緑地の指定について、所有者等へ周知を図るとともに、公園等の公共用地として活用するための仕組みづくりを検討するなど、生産緑地の保全・活用に向けた取組を進めてまいります。
 また、都市農地の活用を進めるため、農地貸借のマッチングや就農などを支援する都市農地活用サポート事業を実施するほか、市民農園の開設を希望する個人や団体に対し、開設費用の助成を行います。

5 環境・都市基盤、安全・安心

 次に、基本計画の第5部「環境・都市基盤、安全・安心」についてです。
 環境政策は、持続可能な社会を構築していくうえでの根幹となる政策分野であり、一部局にとどまる課題ではありません。全庁的に取り組む体制を整え、市をあげての環境施策を検討してまいります。そして、環境学習都市と名乗るにふさわしい西宮市にしていきたいと考えています。
 本市のごみ排出量は、他都市と比べても決して少ないとは言えず、改善の余地が大いにあると認識しています。一方で、既存施設の更新時期も迫りつつあるなかで、本年は東部総合処理センター破砕選別施設の整備に向けた基本計画の策定や生活環境影響調査を実施いたします。この機会をとらえ、分別区分などのごみ処理体制を見直し、市民・事業者への啓発強化も含め、ごみ減量とさらなる再資源化に向けた取組を進めてまいります。
 また、増加傾向にあるごみステーションにおけるカラス被害の防止対策として、折り畳み式ネットボックス等の購入費用の一部を補助します。
 芦屋市とのごみ処理広域化については引き続き協議を進めます。単にコスト削減による財政的な効果だけではなく、施設の統合による効率的なエネルギーの回収や温室効果ガスの削減など地球環境問題にも通じるメリットがあると認識をしています。
 また、市民の皆様と共に地球温暖化対策を進めていくために、家庭における省エネ行動を推進する省エネチャレンジ事業を実施いたします。
 近年、社会的関心が高まっているアスベスト飛散防止対策事業にも取り組みます。具体的には、解体工事現場への立入検査の強化・拡充などを通じて、実効的な飛散防止対策の推進を図ります。
 市民の皆様からご要望の声が多く寄せられていました合葬式墓地の整備については、実施設計を行うこととし、実現に向けて具体的に動き出します。
 水道事業では、今後も給水人口の減少や節水機器の普及などにより収益が減少していくことが見込まれることから、経費の削減をさらに進めるとともに、施設の長寿命化や老朽管路の更新を重要度に応じて計画的に行うことで費用の縮減や平準化を図りつつ、近隣水道事業体との広域化・共同化の研究を進めるなど、必要な施策を推進してまいります。  
 下水道事業では、多発する局地的な豪雨等に対応するため、国が進める国土強靭化の方針に沿って治水安全度を向上させるための雨水浸水対策事業を進めています。新年度の主な事業としては、JR神戸線以南地区での雨水貯留施設や鳴尾浜での雨水排水施設の整備などを実施します。
 道路の整備については、門戸仁川線や小曽根線の予備設計などに着手するとともに、今津西線については事業化に向けて調査を行います。また、国道176号名塩道路の全線供用が早期に実現するよう、引き続き国に対する積極的な要望を続けてまいります。
 安全で安心して暮らせるまちづくり、地域社会の構築に向けて、様々な取組を進めます。
 防災力をさらに高めるために、市の防災危機管理の指針である「地域防災計画」の改定に向けて引き続き取り組むとともに、国土強靭化に関する施策を総合的かつ計画的に推進するため「国土強靭化地域計画」の策定にも取り組んでまいります。
 危機管理監については、これを条例上の役職として位置づけを明確にするとともに、災害対応などの市長が指定する事務において局長等を指揮監督する権限を付与し、危機事案に備えた体制の強化を図ります。
 また、令和3年度の運用開始に向け建設中の第二庁舎(危機管理センター)での災害対応が効果的に機能するよう、各種訓練や検証を行うほか、企業の優れた専門能力や組織力を市全体の防災力強化に生かすため、応援協定の締結を進めてまいります。
 地域での防災力を高めるためには、防災活動を推進するリーダーの役割が重要となります。引き続き、防災士資格の取得を支援するなど、地域防災の人材育成に取り組むとともに、地域版防災マップや地区防災計画の作成など、地域の自主的な取組を支援してまいります。
 このほか、市民一人ひとりの防災意識が高まるよう様々な年齢層の方が参加できる防災イベントを企画するとともに、市政ニュースや出前講座などの機会を通じて、いざというときに命を守る備え等について啓発してまいります。
 消防体制の強化については、現在の西宮消防署が抱える耐震性などの課題を解決すると同時に本市の基幹消防署としてふさわしい規模と機能を備えた新たな消防活動拠点にするため、西宮消防署の建替工事に着手します。また、消防車両等の計画的な更新を進めるほか、消防団車庫の建替えも順次進めてまいります。
 地域防犯の推進に向けて、これまで通学路を中心に設置してきました防犯カメラの効果検証を行うほか、警察との意見交換をもとに新たに防犯カメラの設置を行い、安全で安心なまちづくりをさらに進めてまいります。
 交通安全の推進については、現在策定を進めている「自転車利用環境改善計画」を踏まえて、自転車通行位置の明示などのハード対策と、事故に対する意識を高めるための効果的な自転車安全教室の実施などソフト対策の充実により、自転車利用の安全意識向上を図ってまいります。

6 政策推進

 最後に、基本計画の第6部「政策推進」についてです。
 内部の政策立案、推進力を高めることを図り、長期的な展望に立った、持続可能な行政運営を意識した取組を進めます。
 まず、組織体制を見直します。政策局、総務局の2局を政策局、総務局、財務局の3局に再編します。これにより、政策の企画立案、人事・組織管理、及び財務の、それぞれの事務についての権限を明確化し、効率的な事務執行体制と第5次西宮市総合計画の推進体制を構築します。また、防災危機管理局と総務局を統合し、一般危機管理、内部統制、防災・減災、災害時対応といった、平常時から危機発生時等の対応まで、総合的に対応できる組織体制とします。
 このほか、人口減少社会のなかにおいて持続可能な組織づくりを達成するため、本市における女性職員が働きやすい職場環境の実現に向けた研究、取組を進め、ワーク・ライフ・バランスの推進や女性の活躍促進を図ってまいります。
 こうした体制を通じて、冒頭に述べました行政経営改革を着実に進めてまいります。そのなかで、重要な役割を果たすのが監査の強化と内部統制の取組です。
 内部統制については、監査の充実・強化とともに、本市の適正かつ効率的な事務執行を目指すうえで重要な取組です。私を本部長とする内部統制推進本部を設置し、リスク評価の試行実施により内部統制制度の一部運用を始めます。また、これまで、監査委員監査に主に委ねていた事務処理チェックなどを行政部局内で自ら管理できるように、財務事務の標準化と可視化を進め、マニュアルを整備するとともに業務改善を進めます。
 また、条例改正により、議選監査委員1名を6月定例会以降に識見監査委員に変更させていただくこととなりました。このことも踏まえ、監査委員がこれまでの監査に加え、組織やコンプライアンスのチェック、また、経済性、効率性、有効性の3Eの視点に立った監査を進めることができるよう、内部統制環境を整えてまいります。
 そして、契約・検査については、入札情報の漏えいリスクを低減させるため、入札価格の平均額により最低制限価格を算定する「変動型最低制限価格」を一定額以上の案件で試行実施し、課題等の検証を行ったうえで、適用範囲の拡大について検討します。
 高度経済成長期に建設された施設が次々に大規模修繕や建替え更新の時期を迎えるなど、今後、公共施設の維持・管理には長期にわたって多大な費用負担が見込まれています。
 このため、公共施設マネジメントでは、事業費の平準化やトータルコストの縮減を図るため、策定済みの学校園及び市営住宅等を除く建築系公共施設について、施設の特性に応じた保全・再編計画を策定するほか、引き続き、未利用地等公的不動産の有効活用による財源確保に努めます。
 また、アミティホールの更新をはじめ、本庁舎周辺公共施設の再整備については、まちづくりと連動した施設の再配置を効率的・効果的に進めるため、阪神西宮駅北側を含むエリアの長期ビジョンと再整備構想を取りまとめ、民間活力を適正に誘導しながら、市民に開かれたシビックセンターとして、公民連携による中心市街地の再生に向けた取組を進めます。
 合理的で無駄のない市役所の実現に向けた取組の一つとして、現在、情報発信で活用しているLINEを、行政手続きの受付や問い合わせ、アンケートの実施などにも活用することを検討します。令和2年度は粗大ごみの収集申込みと、ごみに関する問い合わせ対応の機能を導入するとともに、不法投棄や道路等の不具合の通報にも活用してまいります。
 市民・来庁者の利便性の向上や避難所における通信確保を図るため、公共施設にフリーWi-Fi環境を整備し、その仕組みを活用して市民啓発に関する情報発信を行います。当初は15箇所程度において実証を行い、その結果を踏まえて設置箇所の再検討を進めてまいります。
 震災後、大きく増加した市債残高も臨時財政対策債を除き震災前の水準となりました。これからは魅力あるまちづくりに必要な投資も行いながら、市制100周年となる令和7年、さらにはその先を見据えた施策を講じていかねばなりません。
 ハードの整備はもちろん、SDGsを踏まえた施策やAI・RPAなどの新技術の導入、Society5.0など最先端の概念も検討しながら行政課題の解決に向けた意欲的で先進的な取組について積極的に進めてまいります。

予算

 次に、令和2年度予算について概要をご説明いたします。
 歳出では、幼児教育・保育の無償化や保育所等の待機児童対策などの子育て支援関係、第二庁舎や学校施設など公共施設の更新にかかる予算が大幅に増となりました。
 一方、歳入においては、アサヒビール西宮工場跡地購入にかかる土地開発公社貸付金の返還のほか、根幹となる市税収入の増収を見込んでいますが、臨時財政対策債を含む実質的な地方交付税については減となっています。老朽化が進んでいる公共施設の建替えや改修を進めるための財源として、市債の活用や市有地の売却等も積極的に進めていますが、増大する行政ニーズや喫緊の行政課題に対応するために必要な財源の確保が厳しいため、不足する額につきましては、財政・減債基金から繰り入れることとしました。

 このように編成いたしました新年度予算は、
一般会計 1,930億8,056万2千円 前年度比 4.9%増
特別会計 886億4,166万2千円 前年度比 1.2%増
企業会計 474億2,227万3千円 前年度比 0.1%減
合計 3,291億4,449万7千円 前年度比 3.1%増
となっています。

 以上、新年度の市政に臨む私の決意と施策の大要を申し上げました。
 議員各位並びに市民の皆様のご支援をお願い申し上げますとともに、予算案をはじめとする諸議案にご賛同賜りますようお願いいたします。

ダウンロード(PDF版)

PDF形式のファイルを開くには、Adobe Acrobat Readerが必要です。
お持ちでない方は、Adobe社から無償でダウンロードできます。
Get Adobe Acrobat Reader(新規ウインドウで開きます。)

お問い合わせ先

政策推進課

西宮市六湛寺町10-3 西宮市役所本庁舎 4階

電話番号:0798-35-3427

ファックス:0798-23-3084

お問合せメールフォーム

本文ここまで