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第34回 西宮湯川記念賞贈呈式が開催されました

更新日:2020年3月26日

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西宮湯川記念賞の実施内容

 西宮市では、理論物理学分野における研究者を奨励するため、若手研究者(40歳未満)の顕著な研究業績に対して、西宮湯川記念賞を贈呈しています。
 令和元年度は全国から16件の推薦がありました。
 西宮湯川記念賞選考委員会(委員長:古崎昭 理化学研究所・主任研究員)および西宮湯川記念事業運営委員会(委員長:川上則雄 京都大学大学院理学研究科・教授)での審査の結果、村瀬孔大氏が受賞者に選ばれました。
 12月7日(土曜日)13時00分よりフレンテホールにて、記念賞贈呈式が開催されました。会場には多くの市民の皆様にお越しいただき、記念品贈呈のほか、受賞者決定の選考経過報告や、受賞者による受賞研究についての講演などが行われました。

【受賞者】

村瀬 孔大(むらせ こうた)氏
 ペンシルベニア州立大学物理学科 助教授

(受賞者写真の無断使用を禁じます)

【受賞研究】

「高エネルギーニュートリノを軸にしたマルチメッセンジャー観測に基づく宇宙粒子物理学の先駆的研究」

【受賞理由】

 高エネルギー宇宙線は、宇宙空間を飛び交う高いエネルギーの粒子だが、起源(どこで作られるのか)と加速機構(どのように高エネルギーになるのか)は発見以来100年経った現在でも未解明のままで、物理学における大きな謎である。従来は、宇宙線と電磁波の観測結果から起源と加速機構が推測されていたが、2010年に完成した南極のIceCube実験で高エネルギーニュートリノが観測されたことで状況は一変した。宇宙線や電磁波にニュートリノも加えたマルチメッセンジャー観測が可能になり、その結果を総合的に用いて高エネルギー宇宙線の謎に迫る道が拓かれたからである。
 村瀬氏は、IceCubeの観測以前から高エネルギーニュートリノに注目し、それを軸に宇宙線と電磁波の観測情報を組み合わせて高エネルギー宇宙線の起源や加速機構に迫る先駆的な研究を行い、マルチメッセンジャー宇宙粒子物理学(astroparticle physics)と呼ぶべき理論研究を牽引してきた。その理論は、高エネルギー宇宙線の起源天体解明の土台を提供している。特に、ガンマ線背景放射とニュートリノの観測結果を組み合わせて、高エネルギーニュートリノの起源天体に対する必要条件を世界に先駆けて求めた。これはモデルの詳細に依存しない一般的な制限で、今後の観測戦略へも大きな影響を与えている。また、村瀬氏が提案した、活動銀河を含む銀河団などを起源天体とする「宇宙線貯蔵庫」タイプのモデルは、ニュートリノ、ガンマ線、高エネルギー宇宙線に対する観測結果を包括的に説明できる現段階では唯一の大統一モデルであり、世界的な評価も高い。その他にも、超新星爆発やガンマ線バーストなど高エネルギーニュートリノ源に関する研究成果の質と量で世界的に突出しており、宇宙粒子物理学の発展に多大な貢献をしている。
 
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