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第31回 西宮湯川記念賞受賞者

更新日:2017年1月25日

ページ番号:55069677

受賞について

【記念賞贈呈式年月日】

 平成28(2016)年12月3日(土曜)

【受賞者(2名)】

※受賞者写真の無断使用を禁じます
日高 義将(ひだか よしまさ)氏
 理化学研究所仁科加速器研究センター 専任研究員

 日高義将氏


渡邉 悠樹(わたなべ はるき)氏
 東京大学大学院工学系研究科物理工学専攻 講師
 渡邉悠樹氏

【受賞研究】

 「一般化された南部・ゴールドストーンの定理の確立」

【受賞理由】

 2008年にノーベル賞を受賞した南部陽一郎博士の重要な業績の一つに、南部・ゴールドストーンの定理と呼ばれる物理学の基本的な定理がある。これは、物理系の持つ対称性が外部からの擾乱なしに自発的に破れると、南部・ゴールドストーンボゾンと呼ばれる質量を持たない粒子が現れ、その破れた対称性の数と質量を持たない粒子の数が等しくなるという内容である。この定理は、相互作用の詳細によらず対称性の観点だけから物理現象を解明する道筋を与える強力な手段となっている。例えば湯川秀樹博士がその存在を予言したパイ中間子は質量がとても軽いが、その理由もこの定理から理解することができる。この南部・ゴールドストーンの定理は真空中では成り立つが、物質が存在する場合は一般には成り立たないことが知られていた。半世紀にわたり、定理を一般化する多くの試みがなされてきたが、破れた対称性の数と質量のない粒子の数の間に成り立つ普遍的な関係式を導くことはできていなかった。
 日高氏と渡邉氏は、この永年の難問に対して同じ時期に独立に取り組み、全く異なる方法を用いて上記の関係式を導くことに成功し、一般化された南部・ゴールドストーンの定理を確立した。日高氏は「射影演算子法」を用いて、一方、渡邉氏は「有効ラグランジアン法」を用いて証明を行った。この成果は、対称性の自発的破れという重要な物理現象の学問的基礎を深めるだけでなく、物理学の広範な分野における低エネルギー現象を対称性の観点から理解する礎となるものであり、物理学全体に大きな波及効果を持つものとして高く評価される。

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