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賃貸住宅契約のトラブルを防ぐために

更新日:2019年6月28日

ページ番号:71982706

 入居契約時の注意点 | 退去時の注意点 | 賃貸契約書の特約について

 | 原状回復義務について | 少額訴訟制度について | 

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 借主・貸主双方立会いで物件の状況を確認しましょう。室内の点検を行い、傷などがあれば確認し、原状写真を撮って保管することも有効です。

(2) 契約書の内容を十分チェックしましょう。賃貸借契約書や重要事項説明書をもらい、原状回復や敷金の返還について内容をよく確認し、疑問点は納得できるまで説明を受けましょう。契約書の中には、特約条項として通常の損耗・経年変化によるものまで借主の負担とされているものも見受けられますので注意が必要です。

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 入居時と同様、貸主・借主の立会いのうえ、原状回復が必要な箇所について内容や費用を確認しましょう。この原状回復をめぐって、通常の損耗・経年変化か借主の過失等かの見解の相違によるトラブルが多く発生しています。過失による破損のみならず自然損耗によるものまで借主の敷金によって修復させようとする場合があることから、敷金返還の問題が後を絶ちません。

(2) 敷金とは、借主の賃料滞納や不注意による物件の損傷・破損などに対する修復費用を担保するために、貸主に預け入れしたものです。ですから、借主に滞納賃料や不注意による破損などの債務がない限り、預けた敷金は返還されることになります。敷金返還について納得できないときは、貸主と話し合って自分の考えを主張することが大切です。話し合いで解決できないときは、少額訴訟制度を利用する方法もあります。

 契約書の中には、通常は貸主が負担すべきとされているようなものが、特約条項として借主の負担とされているものも見受けられますので注意が必要です。民法では「契約自由の原則」が基本とされているため、契約内容は原則として当事者間で自由に決めることができますが、特約がすべて認められるわけではありません。国土交通省が作成した「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」によれば、特約が有効となるためには、特約の必要性があり、暴利的でないこと、また借主がその内容を理解し、合意していることが必要です。特約がトラブルの原因となった場合は、それが有効か無効かは、最終的には裁判によって判断されることになります。
通常の使用による損耗を借主負担とする特約は、消費者契約法第10条※により無効になる判例もあります。

※消費者契約法(第10条):
消費者と事業者間の情報格差を起因とする消費者被害の解決などをめざす消費者保護のための法律で、労働契約を除くすべての契約に適用する民事ルール。事業者の不当な契約条項などによって消費者の権利を制限したり、消費者の義務を加重するなど消費者の利益を一方的に害する条項は無効と規定されています。

賃貸住宅の原状回復義務とは、借りた住宅を入居時の状態に戻すということではありません。通常の使用による損耗や経年変化で生じる損耗に対しては、原則として借主に原状回復・費用負担義務はないとされています。これは自然な損耗分の原状回復費用は減価償却費として賃料に含まれていると考えられるからです。

 国土交通省が、作成した「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」〔平成23年8月改訂〕では、トラブルの未然防止と円滑な解決のために、借主・貸主の負担割合などの一般的な基準が示されています。原則は契約書が有効ですが、契約書の条文があいまいな場合や、契約締結時に何らかの問題がある場合は、ガイドラインが参考になります。(下の表(賃貸人・賃借人の修繕負担)やリンクを参照ください)

賃貸人・賃借人の修繕負担表(国土交通省作成『原状回復をめぐるトラブルとガイドライン』から抜粋)

賃貸人の負担となるもの賃借人の負担となるもの
  • 畳の裏返し、表替え(特に破損していないが、次の入居者確保のために行うもの)
  • 家具の設置による床、カーペットのへこみ、設置跡
  • テレビ、冷蔵庫等の後部壁面の黒ずみ(いわゆる電気ヤケ)
  • 壁等の画鋲、ピン等の穴(下地ボードの張り替えは不要な程度のもの)
  • 専門業者による全体のハウスクリーニング(賃借人が通常の清掃を実施している場合)
  • 引越作業等で生じた引っかきキズ
  • 賃借人が結露を放置したことで拡大したカビ・シミ(賃貸人に通知もせず、かつ、ふき取るなどの手入れを怠り、壁等を腐食させた場合)
  • タバコ等のヤニ・臭い(喫煙等によりクロス等が変色したり、臭いが付着している場合)
  • 飼育ペットによる柱等のキズ・臭い(ペットによる柱、クロス等にキズが付いたり臭いが付着している場合)
  • 鍵の紛失または破損による取り替え

リンク:国土交通省のウェブサイト「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン(再改訂版)」平成23年8月(外部サイト)新規ウインドウで開きます。

ダウンロード:ファイルダウンロードのリンク 新規ウインドウで開きます。「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン(再改訂版)」(PDF:1,670KB)

 話し合いが行き詰ってしまったらあきらめるのではなく、簡易裁判所を活用することも検討してみましょう。一般に裁判には多くの時間と費用がかかるものですが、少額訴訟制度は、60万円以下の金銭の支払いを求める訴えについて、原則として1回の審理で双方の口頭弁論を行いその日のうちに判決がでるというものです。
利用するには
※60万円以下の金銭の支払いを求める訴えに限られます。
※原則として一日で審理を終えるため、契約書、領収書、写真などすべての証拠を準備しておく必要があります。
※費用は原則手数料と書類の郵送料で、自分で手続きをすれば訴訟費用は安くつきます。手数料は紛争の対象になっている額によって異なりますが、例えば60万円なら6000円です。書類送達等のための郵便切手が3000~5000円程度必要となります。

【参考】 裁判所のウェブサイト「簡易裁判所の民事事件Q&A少額訴訟手続」(外部サイト)新規ウインドウで開きます。

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