【浜分署】暑熱順化で熱中症予防
更新日:2025年7月2日
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暑熱順化とは
ここ数年、暑熱順化という言葉がメディアに取り上げられるようになりましたが、それが何かを知っている人は余り多くないように感じます。暑熱順化という言葉が使われだしたのは、2010年の夏頃で、この年は厳しい暑さが続き、熱中症という言葉が有名になった年でもありました。暑さ予防の方法は様々ですが、暑熱順化は家庭でもできる範囲で汗をかく習慣を身に付け、体を暑い環境に徐々に慣れさせるために推奨されている方法です。消防における暑熱順化は、消防隊員が過酷な環境下での活動に備え、暑さに体を慣れさせるための訓練のことです。具体的には、防火衣や空気呼吸器を着用した状態での消防訓練や筋力トレーニングなどを実施し、熱中症のリスクを軽減し、より安全で迅速な現場活動を目指します。今回は、家庭で行う暑熱順化と浜分署が取り組んでいる暑熱順化について紹介したいと思います。
暑熱順化の効果とは
人は運動や仕事などで体を動かすと、体内で熱が作られて体温が上昇します。体温が上がった時は汗をかくこと(発汗)による気化熱や、心拍数の上昇や皮膚血管拡張によって体の表面から空気中に熱を逃がす熱放散で、体温を調節しています。この体温の調節がうまくできなくなると、体の中に熱がたまって体温が上昇し、熱中症のリスクが高まります。暑熱順化を行うことで、発汗量や皮膚血流量が増加し、発汗による気化熱や体の表面から熱を逃がす熱放散がしやすくなり、体温調整機能が改善され、体が熱中症になりにくい状態になっていきます。
暑熱順化はいつやるのか
暑さが本格的になる梅雨明け後までに実施するのが好ましいため、4月から6月の期間で実施するよう推奨されています。しかし、この期間はあくまで目安のため、今からでも遅くはありません。推奨期間が過ぎても継続的に運動を実施することで、暑熱順化の効果を持続することができます。よって自分に合った運動時間や内容を無理なく設定し、継続することがとても重要です。
どれぐらいの期間行うか
暑熱順化は約2週間続けると効果があると言われています。運動を行う頻度については、屋外で実施する種目としては、1回15分のジョギングもしくは、30分のウォーキングであれば週5回程度、1回30分のサイクリングでは、週3回程度と推奨されています。屋内では、1回30分の筋トレやストレッチを週5回から毎日実施することが推奨されています。運動が苦手な方には、2日に1回程度のペースで入浴することにより、汗をかく習慣を身に付けることができると言われています。入浴の際には適度な入浴時間の設定と十分な水分補給を宜しくお願いします。なお、運動をせず、涼しい環境で数日過ごすと暑熱順化の効果は失われるため、注意が必要です。
消防の暑熱順化はどのような訓練やトレーニングを行うのか
西宮市消防局では、火災現場などで着用する防火衣を着用し、20分のランニングを行うよう推奨されています。浜分署ではそれに加え、現場活動に近い装備や高負荷の体力トレーニングを行っています。推奨されている運動量を遥かに超えている訓練も中にはありますが、その中で各隊員の運動量を把握することができ、また、資器材などの重量物を持って走ることが苦手であったり、空気呼吸器の顔面を覆うマスクを付けた状態での呼吸のコントロールが苦手であったりといった活動中の弱点を把握することで、実際の現場活動や訓練において、お互いが弱点をカバーし合えるようになっています。また、体の代謝機能も上がり、サラサラの汗をかくことで熱放散がスムーズに行われ、熱中症になりにくい体作りにつながっています。
最後に
近年の気温上昇に伴い、暑さに関する救急出動が急増しています。救急車の台数には限りがあるため、すぐに現場へ到着できないことが少なからずあるのが現状です。今回紹介しました暑熱順化も暑さ対策の方法のひとつですが、暑さが厳しい日には、不必要な外出をしないことやエアコンなどを使用し適切な室温管理を行ってください。また、外出する際は、こまめな水分補給、塩分補給、日傘の使用などの暑さ対策を万全に行うようお願い致します。
防火衣を着装した状態
空気呼吸器(顔面を覆うマスク)を着装しホースを持った状態
空気呼吸器(顔面を覆うマスク)を着装しランニングしている様子
訓練後の様子