おおた先生のわくわくだより
更新日:2025年7月14日
ページ番号:66847807
おおた先生のプロフィール
太田 秀紀(おおた ひでき)
日本小児科学会認定小児科専門医
日本小児心身医学会認定子どもの心の専門医
【専門分野】発達障害、心身症、重症心身障害児医療
【趣味】音楽鑑賞(主に洋楽ロックなど)
第49回 「夏休みの過ごし方(2)」
以前、第16回のコラムで夏休みの過ごし方について紹介していました。
前回は不登校傾向の子どもを想定したお話でしたが、今回は二学期をできるだけスムーズに迎えるための、
「発達凸凹がある子向けの夏休み過ごし方」をご紹介したいと思います。
(1)「平凡な毎日」でよい
長期休みなのでお楽しみの外出やイベントも予定されておられるかと思います。
大切な思い出作りとして、たまの「お楽しみ」もあっていいと思います。
しかし、スケジュールを詰め込みすぎたり、あちこち頻繁にでかけることはあまりおすすめしません。
発達凸凹のある子はイレギュラーな生活が実は苦手です。
楽しいお出かけのつもりが、かえってストレスや疲労の原因になっている場合があります。
また出かけると見慣れない感覚刺激(知らない風景・人・音など)に振り回されることにもなり、
気持ちが休まらない子どももいます。
外出をやめる必要はなく、むしろ決まった時間に外の光を浴びたり適度な運動をすることは推奨されます。
その際、行き先は「いつもの公園」、「お決まりのスーパー」など定番の場所がおすすめです。
いつものお家、散歩コース、育成センター、放課後デイなどで「平凡な」日を中心に過ごしてみてください。
(2)ゲーム・メディアとの付き合い方
夏休みはお家時間が増えるため、ゲームやメディア視聴も増えてしまう危険な時期でもあります。
ゲーム等との付き合い方は第20回のコラムでも取り上げていますのでご参照ください。
ルールを決める、他の遊び方を忘れないように取り組む、
などの対策をこの時期特に心がけるのは言うまでもないですが、
ちょっと見方を変えた対応としては「大人も一緒にゲームをする・動画をみる」のも悪くないです。
ひとりで・あるいはオンラインでの子ども同士のゲームは、のめり込みやすく、やめにくいものです。
大人が自分の好きなユーチューバーに関心を持ってくれたり、
ゲームを一緒にやってくれるというのは子どもにとっては嬉しいことですし、
ゲームを通じてコミュニケーションが図れる、ゲーム友の大人との約束は守りやすい、などの利点があります。
ゲームを一緒にやっている時はゲーム批判はしないでください。
大人も楽しみ、面白さを子どもと共有できるといいと思います。
一緒にゲームをすることが困難でも、ゲーム自体を否定しない対応を心がけてみてください。
ただし、大人がゲームにハマってしまわないように!
(3)熱中症対策
最後に、体調管理について。
熱中症対策は皆さん十分留意されていると思いますが、発達凸凹の子どもは独特な感覚特性をもつため、
暑さに敏感だったり鈍感だったりします。
どちらの場合でも熱中症への対応はより注意が必要です。
敏感な子には我慢をさせず、室温管理などその子の感じ方に合わせて調整してあげましょう。
鈍感な子は元気そうに見えても気がついた時には重症だった、という事態があり得ます。
見た目や本人の言い分を鵜呑みにせず、こまめな水分・塩分補給を心がけましょう。
「この夏休みは、いつもの公園やデイに行ったり、ちょっとゲームしたり、なんだか平凡だったけど、
親子とも穏やかな日々だったなあ。(親の感想)」であれば、私はとてもいい夏休みだと思います。
子どもが心身の充電をしてスムーズに二学期を迎えるための工夫として、参考にしてみてください。