日本の自殺死亡率は先進諸国と比較して高い水準にあり、特に、バブル崩壊後の平成10年以降は3万人を超えていました。平成22年以降は減少を続けていますが、いまだ2万人を超える人が自殺で亡くなっており非常事態が続いています。日本では平成18年6月に自殺対策基本法が成立、平成19年6月に自殺総合対策大綱が閣議決定され、国を挙げて総合的な取り組みが実施されています。平成28年4月には自殺対策基本法が一部改正され市町村にも自殺対策計画の策定が義務付けられました。西宮市では「新・にしのみや健康づくり21(第2次)西宮市健康増進計画」の中に自殺対策計画を包含し、基本指針に自殺対策に取り組むことを設定し、様々な取り組みを行っております。また、平成29年7月には新たな自殺総合対策大綱が閣議決定され「誰も自殺に追い込まれることのない社会の実現を目指して」自殺対策への取り組みが続けられています。
自殺に至った人の多くは、様々な悩みにより心理的に追い詰められた結果、うつ病等の精神疾患を発症し、正常な判断を行うことができない状態にあることが明らかになってきました。
また、『「声なき声」に耳を傾ける自殺実態1000人調査」』(NPO法人ライフリンク)から、自殺の背景には「平均3.9個の危機要因」があり、うつ病は、自殺の一歩手前の要因であると同時に、他の様々な要因によって引き起こされた「結果」であることが見えてきました。
自殺は、個人の自由な意思や選択の結果ではなく、「自殺は、その多くが追い込まれた末の死」なのです。
失業、倒産、多重債務、長時間労働等の社会的要因については、制度・慣行の見直しや相談・支援体制の整備など社会的な取り組みを、うつ病などの精神疾患については、適切な治療により、自殺を防ぐことができると考えられています。
自殺の危機にある人は「生きたい気持ち」と「死にたい気持ち」の間で激しく揺れ動いています。その中で、不眠や原因不明の体調不良など自殺のサインを発していることが多くあります。家族や職場の同僚など身近な方はそのようなサインに気がつきやすいものです。早期に自殺のサインに気がつき、専門機関につなげることが自殺を防ぐ上で重要です。