多文化共生を考える

8月は「人権文化をすすめる県民運動」の推進強調月間です。この機会に多文化共生について考えてみませんか。以下の文章は、「感染症と多文化共生」をテーマにしています。

新型コロナウイルスと多文化共生
同志社女子大学特任教授 藤原孝章

もう3カ月も前になりますが、日本赤十字社の「ウイルスの次にやってくるもの」の動画は心に響きました。

《ウイルスへの感染は、手洗いをすることで防げるけど、心の中の恐怖というウイルスは、暗いニュースや間違った情報をたくさん食べて増殖し、不安やいらだちを人に向けさせる。誰かを標的にし、攻撃し、傷つけ、分断をする》と伝えます。そして、そんな恐怖から身を守るものは、《暗いニュースばかりを見過ぎない、うのみにしない、距離を置く、そして、食べて、寝て、家族や友人と話をする、つまり笑顔と日常を大切にしよう。恐怖は、誰の心の中にもいる。だから励ましあおう。応援しあおう。人は、団結すれば、恐怖よりも強く、賢い》と訴えています(一部要約して引用)。

新型コロナウイルスの感染拡大の状況は、世界各国で、取組や医療体制の違いによって、地域差や社会階層差があり、安心はできない状況です。そして、適切な治療薬とワクチンがないことから、密閉・密集・密接を避けるため、外出規制や公共施設、飲食店などの営業自粛が要請されました。中国や欧米などでは、もっと厳しい「ロックダウン」といわれる都市封鎖も行われました。

私たちは、心の中にコロナ疲れやストレスからくる、もやもや感やいらだち感などがたまってくることも経験しました。「みんなが頑張ってやっているのに、あの人たちはどうして?」とか「あの人たちが身近にいるけど大丈夫?」といったような、まさに「ウイルスの次にやってくるもの」が指し示しているものでした。

私たちは、この間、行き過ぎた正義感が人を傷つけたり、分断したりすることがあることも学びました。正しいことは大事です。しかし、正しいことは、どこかに独立してあるわけではなく、人との関係、社会との関わりの中で、正しいとか正しくないとかが判断されるのではないでしょうか。

ウイルスへの恐怖は、外国人や異なるものへの「恐怖」と根がつながるような気がします。普段からいろんな人と顔を合わせ、語らい、交流するという日常を私たちが大切にすることが、恐怖に打ち勝つ共生の力となるのではないでしょうか。
新型コロナウイルス感染症に関連する人権への配慮については、市のホームページ(新型コロナウイルス感染症に関連する人権への配慮について)に掲載しています

【問合せ】秘書課(0798・35・3459)

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