多文化共生を考える
『人権文化の花咲くまち 西宮を目指して』 多様な視点から学ぼう!

【問合せ】秘書課(0798・35・3459)

1人のバングラデシュ人女性が、僕たちに大切な何かを届けてくれた。

イラスト:希望という名の橋のイメージ 愛の涙橋 星野ルネ

ある講演会の終盤、質疑応答の時間にその女性は会場内のある女性に感謝を伝えたいと立ち上がった。家庭の事情で来日したが、日本語が分からず、友人もできず悩んでいた。心ない態度や言葉を受けたこともあったそうだ。限界を感じていた時に出会ったのが、外国人向けに日本語学習の援助をしている団体だった。そこには彼女の様に日本語を必死に学ぶ外国人たちの姿があった。支援者の方々の誠実で温かい指導のもと、彼女の日本語は順調に上達していった。

彼女がそこで手に入れたもので最も尊いものは、日本の中の自分の居場所と仲間だった。会場の壇上にいた支援者の日本人女性に、彼女は涙ながらに感謝の言葉を繰り返した。涙ながらの礼をもらった支援者の女性がどう応じるか皆が注目したが、一言も発しなかった。もらい涙があふれ、言葉がつまり、何も言えなかった。会場の人々が温かく見守る中、2人はただ泣き続けた。

講演会の最中、こんな質問があがった。支援活動をしている中で、辛くてやめたくなってしまうことはなかったかと。壇上にいた3人の支援者は口をそろえて答えるのだった。一方的に支援しているわけでない。支援活動でふれあう中で、感謝の言葉をいただいたり、誰かの役に立てている充実感を得たり、自分の知らない世界のことを学んだりできる。色々なエネルギーをもらえるのだと。

「情けは人のためならず」という日本のことわざがある。誰でも、自分一人の力ではどうにもならない状況に陥ることがある。そんな時に手を差し伸べてくれる人がいる地域なら、その地域で暮らす人は日本人でも、外国人でも、誰でもきっと大好きになる。そして次は自分が誰かを助けようと思える。バングラデシュの女性と、日本人支援者の間で流れた涙の川に希望という名の橋がかかっているようだった。

写真:星野ルネさん

漫画家・タレント

星野ルネさん

1984年カメルーン生まれ。4歳の時に母の結婚に伴い来日し、姫路市で育つ。タレント活動の傍ら、ツイッター上で発表していた自分の日常のエッセイ漫画が話題となり2018年8月に『まんが アフリカ少年が日本で育った結果』(毎日新聞出版)として出版。毎日小学生新聞にて「アフリカ少年!毎日が冒険」連載中

このページのトップへ戻る