性的マイノリティ当事者×市長対談
多様性を認め合うまちへ

写真:対談の様子1
昨年11月、石井市長と性的マイノリティ当事者の大学生との対談が行われました。当事者の3人は自身のSOGI(ソジ)に違和感を覚えながらも、自分らしく生きることができる社会を願い、性的マイノリティへの理解を深めてもらおうと活動しています。

【問合せ】男女共同参画推進課(0798・64・9495)

対談者紹介

【A】
大学4年生。趣味はゲーム。社会福祉士、精神保健福祉士を目指している
【B】
大学3年生。趣味は読書。会計士を目指している
【C】
大学3年生。日本文学が好き。就職は一般企業を希望

セクシュアリティによって差別されない社会であってほしい

【市長】 市は4月から、性の多様性に関する取組を進めていくのですが、一人ひとりが抱える生きづらさを緩和していきたいと思っています。今日は率直な意見をお聞かせください。

性への違和感
写真:対談の様子2

【市長】 私自身、ジェンダーやセクシュアリティ(性)の問題を考え始めたのは30歳を過ぎてから。皆さんはいつ頃から自身のセクシュアリティについて意識し始めたのですか?


【A】 私の性自認は「Xジェンダー()です」。中学・高校を女子校で過ごしたのですが、女子のコミュニティに全くなじめなくて…。いわゆる女性が好きな物事の話が合わない。昼は学校に行き、夜は男性ばかりのゲームサークルで過ごし、自分にはそちらが合っていると感じていました。
学校で「性同一性障害」という言葉を習ってはいたのですが、ピンと来なかったです。男性になりたいとは思っていないし、朝は女性の気分でそういう服装でも、夕方になってそれが嫌になることもあるので、私はそれには当てはまらないと思います。
(注) Xジェンダー:出生時の性別に違和感はあるが、女性か男性どちらかのみを選ぶこともできない・したくないという性自認の在り方


【B】 私は、バイセクシュアルで、中学くらいから徐々に違和感を感じ始めました。女性と付き合ったこともあったのですが、男性が好きなのかもと思いだして…。大学に入り、同じような性的マイノリティの人たちに出会ったことで意識が強くなりました。今は女性には興味がないです。もしかしたら今後変わっていくことがあるのかもしれませんが…。LGBTなどで分けられるものではないと思います。


【C】 私は大学に入ってから自分のセクシュアリティに違和感を感じるようになりました。セクシュアリティを決めていません。中学・高校では、地元の友達は男女分け隔てなく接してくれていました。それまで特に意識していなかったけれど、大学に入ってから、男女の枠にはまった見方をされるようになって、男性として扱われることに違和感を覚えました。


【市長】 なるほど。一人ひとりセクシュアリティは多様なのですね。

カミングアウト
写真:対談の様子3

【市長】 ところで、自身について皆さんの親や友達には打ち明けているのですか?


【A】 ある程度信頼関係を築かないとカミングアウトしません。親には理解してほしいとは思っていなかったのですが、このコロナ禍でカミングアウトせざるを得ない状況があり、打ち明けました。親には「アウティング(他人に本人の同意なく勝手に伝えること)しないでほしい」と伝えました。


【B】 カミングアウトは多くしている方だと思うけれど、親にはしていません。中学・高校の友達など信頼できる人を選んで言いました。言わないことで友達を裏切っているような気持ちになることはあります。


【C】 親には言ってません。関係が近い友達には言いました。


【市長】 その時、友達はどんな反応でしたか?


【C】 打ち明けた友達が、これまでと変わらない接し方で、温かい反応をしてくれて安心しました。


【A】 カミングアウトされた場合は、本人の気持ちを尊重してほしいです。

就職
写真:対談の様子4

【市長】 就職についてはどうですか?


【C】 就職活動中ですが、髪を短く切ったり、スーツを着用したり、性別で服装や髪型のルールが厳しい会社だと困ります。あと、男性が多いコミュニティが苦手なので、男女の比率が気になります。


【B】 私は、教師になりたかったのですが、自分の性的指向が周りの人に伝わったときにどう対処すればいいか分からないし、どんな将来があるのかとても不安で…。今は教師の夢は諦めて、会計士を目指しています。手に職をつけていれば、同性婚などの制度が整っている海外でも生活できる可能性もあるので…。


【A】 私は社会福祉士や精神保健福祉士を目指しています。元々福祉分野には興味がありましたが、資格を取ろうと思ったのは、自分自身がXジェンダーであることが少なからず影響しています。でも、自分が性的マイノリティだからこそ、福祉分野で生かせることがあるのではないかと思っています。


【市長】 性の多様性への理解が社会に浸透していないことが、職業選択に影響を与えている側面があるかもしれないですね。

悩みを抱える中高生へ
写真:対談の様子5

【市長】 では、今まさに悩んでいる渦中の、性的マイノリティ当事者である中高生に伝えたいことはありますか?


【A】 大学・社会人は性的マイノリティのグループがあるけれど、18歳未満のグループは無くて、あっても親同伴が多いです。今が辛いのであれば、思い切って大人のグループに連絡をとってみてもいいかもしれません。そこからつながりが生まれ、自分に合う心地良いところが見つかると思います。


【C】 私は性に関して、本を読んだり、勉強することで生きづらさを解消することができました。調べることで救われることもあると思います。


【B】 今は孤独を感じることが多いけれど、君たちは1人じゃない。広い世界に出るとそうではないと分かる。SNSを使って情報を得てみてもいいかもしれません。

行政や社会に対して

【市長】 行政や社会に対して思うことはありますか?


【C】 充実した性教育をしてほしいです。中高生から教育を広めていけば社会にも広がると思います。


【B】 私もそう思います。中学や高校で講演をすることがあり、講演を聞いたことがある子供とそうでない子供では認識の違いが大きく、知識に差があると感じました。あとは、日本でも同性婚の制度を早急に進めてほしいです。


【A】 「セクシュアリティによって差別されない社会」、「性別で押し付けない社会」であってほしいです。公立学校だけでも制服の選択をできるようにしてほしい。性的マイノリティだからといって、他の人と何かが違うわけではないので、特別視せず、身構えずに接してほしいです。


【市長】 一人ひとりのあるがままを認め合っていくことが重要だということですね。

西宮市は「全ての人の人権が尊重され、多様な価値観やライフスタイルを互いに認め合うことができるまち」を目指します
対談の全容は、市のホームページ(性の多様性に関する取組)をご覧ください

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