多文化共生社会を考える

SDGs(エス・ディー・ジーズ)と多文化共生
同志社女子大学特任教授 藤原 孝章

最近、SDGs(注)(持続可能な開発目標)という言葉やロゴを目にします。国連総会で2015年に採択された、2030年までに達成すべき17の目標のことです。「誰ひとり取り残さない」という掛け声のもとに設けられたグローバルな共通目標です。その17の目標のなかに、「平和と公正をすべての人に」と「住み続けられるまちづくりを」があります。多文化共生はこのような目標と関わっているのではないでしょうか。
例えば、SDGsの「平和と公正をすべての人に」に関して、今年6月に日本語教育推進法が施行されましたが、いま学校の教室には、外国にルーツがあり、日本語の指導が必要な子供が小・中学校、高校合わせて約4万4千人います。学力が十分に育たず、誰もが公平に持っている教育を受ける権利が危うくなっています。

また、今年4月に出入国管理法が改正されて海外から働きに来る人々が増えることが予想されます。現在、外国人は在留カードを持って市役所などに住民として登録することになっています。住民サービスを受けるだけでなく、地域の交流イベントなどに参加する機会も出てきました。一方、日常生活において、ごみ出しのルールの違いなどによるトラブルも生じています。まさに、誰もが“住み続けられるまちづくり”への課題が生じています。

多文化共生社会を創っていくためには、まちづくりに関わる具体的な課題を通した住民同士の話し合いが必要です。お互いが対話し、対立する立場を乗り越えて、“住み続けられるまちづくり”というゴールへ向けてどうするのかを判断し、合意していくことが大切です。
しかし、現実の課題となると当事者によって立場や考え方、利害が違っています。私が薦めるのは、対立する立場や考え方を体験するためのロールプレイです。
例えば、ごみ出しのルールについても、「話し合い」の場を仮に想定して、立場の違う当事者の「住民」になりきって、その主張の違いを体験してみることです。そうすることで、話し合いや議論のスキルが高まり、合意に向け、より現実的に話し合うための気づきが得られるのではないでしょうか。

(注)SDGs(Sustainable Development Goals)について詳しくは国連広報センターのホームページ(国際連合広報センターのホームページ)をご覧ください

【問合せ】秘書課(0798・35・3459)

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