西宮の狩野派「勝部如春斎展」
圧巻の金屏風・襖絵 郷土の画人、美術館初の展覧会

18世紀摂津の画人列伝

勝部如春斎(かつべ・じょしゅんさい)は江戸時代中期に、西宮の裕福な造り酒屋に生まれました。大坂で狩野派を学びますが、前半生の詳しい経歴は分かっていません。
三十代後半から数年の間に、妻や子供を相次いで失うという不幸に見舞われた如春斎は、その頃から一層画業に精進します。亡き妻の追善のために東福寺にある明兆作の「三十三観音図」を模写して市内の茂松寺に納めた、三十三幅もの大作が今も伝えられています。その後、左大臣九条尚実に「如春斎」の号を賜わり、以降如春斎は作品に「台賜如春斎」の落款を入れるようになりました。現在知られている如春斎の作品のほとんどは、如春斎と号するようになった後に、描かれたものです。
残された作品にみる如春斎の画風は、ときに豪華であっても繊細で可憐(かれん)、上質な雰囲気のにじみ出たもので、狩野派の手法にのっとった手堅い技量が発揮されています。
今回の展覧会では、郷土の画人の主要な作品50点余りを一堂に会し、その画業を美術館で初めて紹介します。また弟子といわれている森狙仙や大岡春卜など摂津を中心に活躍した同時代の画人の作品もあわせて展観します。如春斎の生きた18世紀の、豊かな文化的雰囲気を味わってください。
写真:勝部如春斎「小袖屏風虫干図巻(部分)」大阪市立美術館蔵

勝部如春斎「小袖屏風虫干図巻(部分)」大阪市立美術館蔵…6メートルある巻物の全図を展示。細密描写が素晴らしく、小さな画面の中で何点もの作品を目の当たりにしているようです。この一作だけで、如春斎の実力を充分に知ることができます。

写真:勝部如春斎「三十三観音図 大自在天身」茂松寺蔵

勝部如春斎「三十三観音図 大自在天身」茂松寺蔵…如春斎が亡くなった妻の為に描き、奉納した掛け軸で、題名のように全部で三十三幅ある大作です。
※会期中、半分ずつ展示

写真:勝部如春斎「松桜に孔雀図」弘誓寺(池田市)蔵

勝部如春斎「松桜に孔雀図」弘誓寺(池田市)蔵…如春斎と縁が深い池田市などの3つの寺院の襖(ふすま)絵を展示。大画面にも腕を奮った如春斎の、豪華絢爛(けんらん)でありながらも上品な作風を知ることができます。


《交通》阪神電車「香櫨園」駅下車徒歩6分。
香櫨園小学校西隣

西宮市大谷記念美術館
4月1日(土)ー5月7日(日)


開館時間:10時〜17時(入館は16時半まで)。
水曜休館(5月3日は開館)
※会期中に展示替えあり。
前期:4月1日〜18日
後期:4月20日〜5月7日
2回目以降の入館料が安くなる「リピーター割引」をご利用ください
入館料:800円/高校・大学生600円 小・中学生400円
  • リピーター割引:本展チケット半券の呈示で、会期中2回目以降の入館料が200円引き
  • 西宮市在住65歳以上は400円
  • ココロンカード・のびのびパスポートを呈示の小・中学生、心身に障害のある人および介助者1人は無料
    ※いずれも要証明書
0798・33・0164
中浜町4-38【HP】http://otanimuseum.jp/home/

イベント いずれも要入館料

記念講演会 木村重圭氏「勝部如春斎と大坂画壇について」
【日時】
4月1日(土)午後2時から
【定員】
100人。当日先着順(受付は1時半から)
ギャラリートーク
【日時】
4月8日(土)・22日(土)の午後2時から
【内容】
担当学芸員による作品解説
【申込】
不要
連続講座
【日時・内容】
いずれも日曜午後2時から
  • 4月9日…勝部如春斎について
  • 16日…18世紀の池田文化と担い手たち〜画人を中心に
  • 3日…18世紀の西宮〜勝部如春斎を生んだ社会
  • 30日…「天下の台所」における大坂画壇〜江戸中期の大坂絵画史
【定員】
各日50人。当日先着順(受付は1時半から)
内田美苗ピアノコンサート〜オータニミュージアムコンサート
【日時】
4月29日(土・祝)午後2時から 
【対象】
小学生以上
【定員】
100人。先着順
【申込】
3月30日午前9時から電話で同館

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