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2012年7月25日 第1393号

多文化共生を考える
フェスティバルを日常の活動に
こども教育宝仙大学教授 佐野通夫

「フェスティバル(お祭り)」に行くことだけで、人権状況が良くなるわけではありません。人権状況の改善のためには、日々の営みが必要です。

「ひょうご・ヒューマンフェスティバル2012inにしのみや=上記事参照」に演奏で出演する人たちを考えてみましょう。ジャズでもマンドリンでも合唱でも、日々の練習なしにすばらしい演奏ができるものでないことは皆さんお分かりだと思います。人権活動も、同じように日々の活動の積み重ねでできています。

昨年8月、私は甲山自然の家で開催された「コッキリの会サマーキャンプ」に参加しました。毎年開催されるキャンプは今年で26回目を迎えます。私が本紙1月25日号に記したように、日々の学校生活の中では、通名を使っているため、韓国・朝鮮籍とは気付かれていない子どもたちが、チャンゴ(民族楽器)の練習をしたり、民族衣装の試着をしたりしていました。 日々の暮らしの中で通名を使っているとき、韓国・朝鮮籍の子どもたち自身もお互いの姿が見えなくなっています。お互いの真の姿、自分の真の姿を確認し、自分の存在を肯定していくことは、とても大切なことです。

サマーキャンプは年に2日間だけですが、そこで出会った友達とは、一生友達でいることができます。

市内には、韓国・朝鮮籍者よりさらに少数で、まわりに同じ国の人を見ることのできない、そして日本に来てからの年数も少ない外国人もいます。日本語も不自由だとしたら、そのような人たちの日本での、西宮での生活への不安はどんなに大きいことでしょう。子どもたちは、学校の中の生活への不安だけでなく、勉強についていけるか、進学はどうなるのだろうということも不安になります。そのような不安を抱えた人たちにフェスティバルの中で開催される「外国人児童生徒等にかかわる教育相談」が進路実現への安心を与える場になればと思います。そして、このフェスティバルをきっかけに、さまざまな文化を持った人たちの交流の広場がひろがっていけばと願います。

特に日本語の読み書きのできない外国人には、このフェスティバルの情報がうまく届かないかも知れません。

皆さんの回りにそのような人はいませんか。もし自分の回りに、文化の違いで苦しんでいる人がいたら、その人を誘って一緒にフェスティバルに参加してみましょう。

兵庫に、西宮に、まだ知らなかったさまざまな文化が存在していることを知るきっかけになるかも知れません。

問合せは秘書・国際課(0798・35・3459)へ。

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