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第33回 「発達障害に合併しやすい症状3 ゲーム症」(令和3年6月分)

更新日:2021年8月11日

ページ番号:60045541

「ゲーム症」とはいわゆるゲーム依存のことですが、近年正式に治療を要する疾患として認定されました。
ゲームにのめりこみ、睡眠や食事などの日常生活に影響を及ぼす、
もしくは不登校の原因になっているような場合にゲーム症の可能性があります。
特徴としては約90%が男性、約70%が未成年、90%以上がオンラインゲームへの依存といわれています。
 
過去のコラムでもしばしばゲームとの付き合い方について言及しましたが、
発達障害をもつ子どもはゲーム症を発症するリスクが高いといわれています。
 
注意欠如多動症(ADHD)の特徴のひとつに、「報酬系の障害」といわれるものがあります。
分かりやすく言いますと
「将来の大きなメリットより、目の前の小さなメリットを優先する」傾向が強いということです。
 
「先に宿題を済ませてからゲームする」「翌朝起きられるようゲームを終了する」などが非常に困難で、
目の前のゲームにとにかく飛びつき、やめられません。
 
自閉スペクトラム症(ASD)の子どもはこだわりが強く視覚刺激に翻弄されやすいため、
ゲームにはまりやすく付き合い方を制御できにくいと考えられています。
 
今回はゲームとの付き合い方・ゲーム症への対応についてあらためて考えてみましょう。
 
まず家庭環境や親の認識が重要です。子どものゲームデビューはできる限り遅らせましょう。
今どき小学生にもなればゲームを避けて通ることはできませんが、
幼児期は家庭でゲームに触れる機会は意識的に減らしてください。
 
親がゲーム好き(ゲーム症かもしれませんよ)だと、子のゲーム症リスクは当然上がります。
お手本をみせてほしいところですが、せめて子どもの前ではゲームはやらないことです。
 
子どもがゲームをやり始めた際は、親はゲームの楽しさを認めつつ
(親がゲームに関心をもつ・どんな内容かなどを知っておくのは良いと思います)、
扱い方を間違うと危険であることをしっかり伝えましょう。
 
ルールを守ってゲームをするのが望ましいのですが、
これがとても難しいことで外来でもよく相談を受けます。
 
私の経験上お伝えできることをまとめてみました。
1.「一日〇分ね。」という口約束はうまくいかない場合が多い。
  時間制限を導入する場合は規定時間で電源が切れるかネット環境がオフになるよう設定する。
  ただしこの方法はゲームをこれから始める方のみ有効。
2.「〇〇ができたら残り時間はしていいよ。」(ご褒美制)
  「〇時(就寝前)には終了。」(終わりを決めておく)というルールが比較的有効である。
3.約束が守れた日が続いたら「週末に30分追加OK」などのボーナスも設け、
  前向きにルールを守ろうとするよう促す。
4.ルールは厳格すぎるのもよくない。現実をみて柔軟に変更する。
  特に既にゲーム症気味な段階であれば急に厳しいルールは守れないので、
  本人の希望も聞き親がある程度譲歩したルールから始める。
 
ルールは親からの押し付けでなく、
子どもと話し合いお互いの同意のもとで導入されるのが望ましく、うまくいきやすいと思います。
 
また、ゲーム以外の好きな活動をもつことは重要です。
外遊びや音楽、絵を描くなどの趣味・楽しみの選択肢が複数あることで、
「ゲーム一択」ではない日常生活が維持しやすくなります。
 
ゲームへの依存とともに発達障害の特性が強くでていると思われるケースでは、
発達障害への対応を行うことでゲーム依存も改善する場合がありますので、
かかりつけ医や専門機関にご相談ください。
 
※こども未来センター診療所の開所状況はホームページ、公式twitterで随時お知らせしております。引き続きご参照ください。

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