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第25回 「おすすめの書籍」(令和2年6月)

更新日:2020年7月31日

ページ番号:12414808

少しずつですが、外出できる機会が増えてきました。学校や催しなども再開しつつあります。
外の空気・陽の光を感じること、他者と交流できることのありがたさを感じる日々ではないでしょうか。
 
さて、今回は最近読んだ本の中から個人的におすすめしたい3冊をご紹介したいと思います。
 
■「不登校・ひきこもりを生きる」 高岡健 青灯社
 
不登校やひきこもりの臨床経験豊富な児童精神科医が、子どもが不登校に至る背景や、
その必要性(!)について解説します。
前半は中学生や当事者家族向けに行われた講演記録のまとめ、
後半は講演後に受けた質問をまとめたもの(100の質問に答える形式)で、
親の心構え・対応についても言及されています。
 
10年ほど前に出版されたものですが、本書は不登校問題の本質を突いており、
今現在当事者であるこどもたち、保護者にとって理解を深める一冊になると思います。
 
以下本文より引用。
 
Q 不登校の小学生と中学生とでは、支援法に違いがあるのでしょうか?
 
高岡:ありません。あえて堅苦しい言い方をするなら、学校へ行かない権利を保障することだけが大人の任務です
 
  
■「ケーキの切れない非行少年たち」 宮口幸治 新潮新書
 
非行や犯罪を繰り返す子どもによく認められる発達上の特徴について、
医療少年院で多くの非行少年と接してきた児童精神科医が解説します。
 
ただし、「こういう特徴があると非行少年になる」と不安を煽るのが本書の趣旨ではなく
(何も手を打たなければ最悪そういう事態もあり得るよ、と警鐘されているとは思います)、
「境界知能」とよばれるタイプの子どもに対し家庭や学校でできることを
分かりやすく提示し彼らの困難を軽減させる手法が書かれています。
 
「褒めて伸ばす」・「とにかく自信をつけさせる」は、
定番の指導法だが対症療法的で根本的な問題解決にはならない、という筆者の主張も考えさせられました。
ただいい気持ちにさせるだけでなく、
子どもたち自身が成長を手ごたえとして実感できる支援を施すことの重要性が説かれています。
 
本書を原案としたコミックも発売されるそうです。
 
 
■「ゲームのやりすぎを心配するとき」 岡崎勝(編著) ジャパンマシニスト社
 
ゲーム依存・ゲーム障害に関する書籍は、
ゲームを「いかに脳に悪いか」「ひきこもりの元凶」のように扱うものが多いですが、
本書はベテラン教師とゲーム好きの児童精神科医、ゲーム好き当事者が語り合うスタイルで構成されています。
ゲームの魅力と魔力?を整理し、うまく付き合う方法を議論されています。
明確な結論がでない部分をもどかしく感じるかもしれませんが、
読みやすく、巷の家庭目線で対処法についても現実的に書かれています。
 
単にゲームを悪者にしても意味がないように感じている、
できるだけ子どもの気持ちを否定しないで対応したい、とお考えの方にはおすすめの一冊です。
 
 
3冊とも「これが正解」と押し付けるハウツー本ではないですし、
100%同意できない内容もあるかと思いますが、
こどもの発達や困りごとについての考え方の幅を広げる一助にはなるかと思います。
ご興味があれば参考にしてみてください。
 
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