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第17回「発達障害と学習」(令和元年9月)

更新日:2019年10月18日

ページ番号:23722780

前回のコラムでは夏休みの過ごし方、宿題への取り組みについて少しお話しました。
2学期に入り、授業も本格化していることでしょう。
今回は発達障害と学習の関係についてお話します。
 
発達障害、あるいはその傾向をもつ子どものほとんどが学習の困難を抱えています。
ごく一部、非常に成績優秀なケースもありますがそのような天才タイプも
「特定の教科に限って」「授業は聞いていない」「周囲のペースとは合わない」
などの理由からいわゆる学校のお勉強は苦手です。
 
発達障害の分類のひとつに「学習障害(特異的学習症)Learning Disorder=LD」というものがあります。
知的な遅れがなく本人も努力しているものの学習困難がある状態を指し、
その中核は「読み書き障害(発達性ディスレキシア)」といわれる障害です。
 
しかし「読み書き障害」以外にも様々な理由で学習に困難を生じている子どもたちがいます。
 
例えばADHD(注意欠如多動症)の子どもは注意散漫なために
黒板の字に注目したり先生の話を聞くことができません。
一点集中ができないため文字を追って読むことや丁寧に字を書くことも苦手です。
 
ASD(自閉スペクトラム症)の子どもは真意を読み取ることの困難から文章題が解けません。
コミュニケーションや想像性の困難から作文・感想文などの宿題は
何を書いていいのか分からず苦痛でしかありません。
 
このように原因は様々ですがこれらのケースも結果的に「読み書き障害」と同じ状態を呈します。
 
また、知的な遅れがないため見た目や普段の生活は問題ないことが多く、
学習に対するしんどさに周囲から気づいてもらえにくいことも特徴的です。
 
では、「学習困難な子どもたち」へどう支援すればよいのでしょう。それは、

  • 子どもに見合った学力向上への支援の実施
  • 子どもに見合った目標設定と環境調整

この二本立てで支援します。
 
例えば前述のADHDの子どもであれば、
1.『マス目の大きいノートの使用・読むべき部分に定規をあてて見やすくする工夫』といった本人向け支援
2.『教室での席順は前方にしつつ、掲示物等も最小限にして黒板に集中しやすくする』などの環境調整
また、書く作業にとてもエネルギーを使っていますので『宿題の量への配慮』など、個別の目標設定を行います。
 
ちなみにやってはいけないことは、
「100回書いたら書けるようになる。」に代表される「努力を強要すること」です。
子どもたちは既に十分努力しています。学習への意欲をさらに無くさせるような対応は避けましょう。
 
支援の考え方の根底に、「将来自立して社会で活躍できるひとになってほしい」という思いがあります。
やっても効果のない学習は自信を失うだけです。
自分なりのやり方や工夫で学べることを知れれば、子ども自身が前向きに学習に取り組むことができます。
 
子どもが学習に苦戦しているとき、まずは親(あるいは教員)が気づくことが大切です。
単に怠けているだけと決めつけないでください。
 
学習困難の原因のアセスメントはこども未来センターをはじめ、専門機関で行うことができます。
その子に応じた支援策についてはまずは学校の先生と相談されるとよいでしょう。
こども未来センターも学校と連携し一緒に支援策を考えていくことができます。

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