第3章 施策の展開  施策体系 目指す将来像 学び つながり ささえあうまち 〜文教住宅都市 にしのみや〜 基本視点 視点1:学び・人づくり・つながりづくり・地域づくりの循環の促進 視点2:学びを通じた持続可能なまちづくりの推進 基本方針(施策の柱)施策の展開 基本方針1:多様な学びの機会の提供 (1)生涯学習事業の体系化と情報提供の充実 (2)多様なニーズに応える学習機会 (3)社会的課題に応える学習機会の拡充 (4)大学・民間事業者等における学習の促進 基本方針2:誰もが参加できる学びの環境づくり (1)誰もが参加しやすい環境づくり (2)生涯学習関連施設の充実 基本方針3:つながりささえあう学習の促進 (1)学びの仲間づくり (2)学習成果を生かせる場や機会の充実 (3)様々な分野で活躍する人材の育成 基本方針4:生涯学習を通じた地域づくり・まちづくり (1)市民性をはぐくむ学習支援 (2)生涯学習による豊かな地域づくりの推進 (3)地域の多様な主体による連携体制の構築 (4)地域づくりをまちづくりに広げる取組みの展開  基本方針1:多様な学びの機会の提供 (1)生涯学習事業の体系化と情報提供の充実  現状と課題 ◇本市では様々な部局において、それぞれの分野の必要に応じ、市民を対象とした幅広い学習・啓発等の機会の提供に取り組んできました。一方で、それらが部局単位の取組みにとどまり、市全体でどのような生涯学習事業が展開されているか十分な管理ができているとは言い難い状況が続いてきました。 ◇市民の関心のある分野や希望する学習の水準、地域や社会の課題に応じた必要な学習等、様々な観点から本市の生涯学習事業を整理し、市民ニーズと学習機会のマッチング等を通じて、ニーズや課題に即した学習機会が提供されるよう取り組む必要があります。 ◇本市では「プレラにしのみや」4階に生涯学習情報コーナーを設置し、学習相談や民間情報を含めた学習情報の提供を行っています。親子での生涯学習のきっかけづくりを支援するコーナーの設置等にも取り組んでいます。 ◇市政モニター調査では、若い世代ほどインターネットやSNS※5を活用した情報収集を行っている人が多くなっており、こうした世代の生涯学習活動への参加を促進する上で、インターネットを活用した情報の発信と学習の機会は重要な課題となります。 ※5:social networking serviceの略語で、インターネット上の交流を通して社会的ネットワーク(ソーシャル・ネットワーク)を構築するサービス。 ◇施設調査・推進員会調査のいずれにおいても、施設・事業の認知度の向上が課題となっており、より多くの人の参加を得るために、本市の取組みを効果的に発信していくことが課題となっています。 タイトル名 あなたは普段学習活動に関する情報をどのようなところから得ていますか。(市政モニター調査 年代別)のグラフの内容を50歳未満、選択肢、50歳以上、選択肢の順で読み上げます。 50歳未満(N=200) 新聞・広告・雑誌 31.0% 市政ニュース 34.0% 家族・友人・知人 42.5% ホームページ 47.5% テレビやラジオ 19.0% 宮っ子(市の地域情報誌) 19.0% フェイスブック・ツイッター・ブログ等 37.0% ポスター・チラシ 12.5% 自治会の回覧 6.5% その他 5.5% 特にない 2.5% 無回答 0.0% 50歳以上(N=240) 新聞・広告・雑誌 60.4% 市政ニュース 55.0% 家族・友人・知人 40.0% ホームページ 25.4% テレビやラジオ 34.2% 宮っ子(市の地域情報誌) 33.8% フェイスブック・ツイッター・ブログ等 17.1% ポスター・チラシ 16.7% 自治会の回覧 18.8% その他 1.7% 特にない 3.8% 無回答 1.3%  施策の方向  @:全市的な学習事業の展開   ◆学習事業の体系化と整理・統合  本市の各部局が実施する学習事業を一元的に管理し、大学が実施する社会人向け講座等も含めて、本市において行われる生涯学習関連事業の情報を市のプラットフォームで体系化し整理・統合することで、本市の生涯学習事業の全体像を、市民や生涯学習関連施設・関連部局の職員がいつでも参照できる体制を整備します。また、SDGsに対応した体系化も目指します。   ◆学習事業のコーディネート  本市が実施している様々な学習事業について、課題分野、学習の水準等の観点から体系化し、重複している事業に関する資源を、不足している分野に振り向ける等、効果的・効率的な学習事業の提供に向けたコーディネートを行います。 今後の取組み:学びと活動のプラットフォーム 市内の学びの場や、学んだことを生かす場を分野別に整理し、ポータルサイトを立ち上げます。様々な部局において実施されている学習活動や人材養成に関する事業の情報を集約し、一元化して市民に提供するしくみとしての構築を図るものです。単なる情報発信にとどまるのではなく、将来的には市民団体や地域における先進的な取組みについての情報共有や、具体的な活動への参加に向けた情報発信など、市民や地域の自主的な活動を支える基盤となるような運営を目指します。  A:学習情報提供の充実   ◆多様な手段を用いた学習情報の発信  SNSやメール配信などのICTの効果的な活用を広げていくとともに、紙媒体等様々な手段を活用して、学習情報を発信します。また、「生涯学習情報コーナー」だけでなく、公民館・図書館等の生涯学習関連施設が積極的に窓口になり、学習情報の提供や周知に努めます。   ◆生涯学習情報のポータルサイト※6の設置 ※6:インターネットを使ってホームページを見るとき、最初に表示されるウェブサイトのこと。  市内の生涯学習関連情報を収集・整理したものを体系化し、市民が容易に必要とする学習情報を入手できるよう、西宮市のウェブサイト上に生涯学習情報のポータルサイトを設置します。また、インターネットを活用した情報ネットワークの普及を図ります。  B:学習相談の充実   ◆相談機能の充実  生涯学習情報コーナーにおける相談機能を充実し、生涯学習を新たに始めたい人への相談支援や、一人ひとりの状況に応じた学習・活動に関する情報提供が可能な体制づくりを進めます。   ◆関係施設との連携  生涯学習関連施設間の連携を強化し、必要に応じて市内の様々な施設・事業・機関等に関する情報を提供できる体制を整えるとともに、図書館のレファレンスサービス※7などと連携し、支援の質の向上を図ります。 ※7:司書が、利用者の研究や調査のために必要な情報・資料を提供したり、読書相談に応じて本を紹介するサービス。 コラム:知のインフラとしての図書館 図書館は、誰もが司書の支援を受けながら利用できる知のインフラとして、市民一人ひとりの主体的な学びを支える施設です。子育てや健康など身近なテーマのコーナーを設置することで、本や情報が探しやすくなるよう工夫しています。また、約300タイトルの雑誌の閲覧や貸出、法情報や新聞記事といった商用データベースの利用もできます。より専門的な資料を求められる方には、国立国会図書館や都道府県立図書館、大学図書館などの利用の窓口としても活用ができます。更に図書館では、音楽や落語のCDの貸出や視聴、館内で映画のDVD鑑賞、イベントに参加といった思い思いの過ごし方ができます。市民の多様なニーズを支える知の拠点であり、憩いの場所でもあるのが図書館です。 (2)多様なニーズに応える学習機会  現状と課題 ◇市政モニター調査結果によると、回答者の88.5%が過去1年間の間に何らかの方法で学習活動を行っており、調査方法が異なるため単純な比較はできませんが、内閣府が実施した全国の世論調査と比較しても、学習活動に取り組む人が多くなっています。 ◇新型コロナウイルス感染症の流行による公共施設の一時的な閉鎖や講座・イベントの中止は、市民の生涯学習にも影響を与えています。市民モニター調査では、58.0%が生涯学習の活動に何らかの制限を受けたと回答しています。今後、感染予防と学習活動を両立させるための取組みを検討していく必要があります。 ◇本市の中核的な生涯学習施設である公民館の利用者数は、年間およそ10万人前後で推移しています。一方で、利用者が高齢世代に偏っていることが課題となっており、幅広い世代に利用されるための取組みが求められています。 ◇「人生100年時代」を迎えた今日、一人ひとりの状況に応じた学習方法や学習内容、社会の変化の伴う学習、社会的な課題解決につながる学習等、市民ニーズへの的確な対応が求められます。 タイトル名 あなたはこの一年間に、どのような場所や形態で学習をしたことがありますか。のグラフの内容をR2西宮市市政モニター調査、選択肢、H30内閣府世論調査、選択肢の順で読み上げます。 令和2年度 西宮市市政モニター調査(N=443) 学習したことがある(小計) 88.5% 自宅での学習活動(書籍など) 45.8% インターネット 38.6% 職場の教育、研修 23.7% テレビやラジオ 22.8% 図書館・博物館・美術館 22.1% 民間の講座や教室、通信教育 20.8% 同好者が自主的に行っている集まり、サークル活動 17.2% 公民館や市民館など公的な機関における講座や教室 12.2% 学校の講座や教室 9.3% その他 3.2% 学習をしていない 11.7% わからない、なし 無回答 0.2% 平成30年度 内閣府世論調査(N=1,710) 学習したことがある(小計) 58.4% 自宅での学習活動(書籍など) 17.8% インターネット 22.6% 職場の教育、研修 21.5% テレビやラジオ 14.5% 図書館・博物館・美術館 13.8% 民間の講座や教室、通信教育 9.1% 同好者が自主的に行っている集まり、サークル活動 8.0% 公民館や市民館など公的な機関における講座や教室 10.4% 学校の講座や教室 6.7% その他 0.6% 学習をしていない 41.3% わからない 0.2% 無回答、なし  施策の方向  @:市民の生活上のニーズに応じた学習機会の提供   ◆子育てや家庭教育に関する学習  保護者等を対象とした学習面からの支援を行うとともに、乳幼児や親子が豊かな体験・交流の場を得られるよう取り組みます。ひとり親世帯の増加や、貧困家庭の子育てに応じた家庭教育の支援を図ります。   ◆青少年を対象とした学習・体験の場  学校・家庭・地域の連携を促進することや、青少年関係団体を育成することにより、青少年の興味・関心に応じた学習・体験の場を創出します。また、社会人になる前の高校生、大学生等を対象とした、コミュニケーション能力、課題解決能力といった社会で役立つ力を学ぶ体験・参加型セミナーを実施します。   ◆高齢者の学習・交流の場  「宮水学園※8」をはじめとする高齢者を対象とした学習・交流の場の充実を図ります。また、単身世帯の高齢者等の課題に応じた学習支援の方法を検討します。 ※8:60歳以上の西宮市民が、地域社会づくりに取り組む力を培い、健康で生きがいのある生活を創造するための学習と交流の場を、西宮市が生涯学習の一環として行っている。  A:社会の変化に対応した学習機会の提供   ◆就労に関する学習の支援  幅広い世代に対し、就職活動に資するセミナーなどを実施します。   ◆新しい知識・技術に関する学習の支援  ICT等に代表される新しい知識や技術を、仕事や生活の必要に応じ使いこなすことや、情報リテラシー※9に関する知見についての学習機会の提供に努めます。 ※9:情報を適切に利用、収集、整理、発信する能力。 コラム:一人の学びを社会の(みんなの)学びに 現在、学校では、新しい学習指導要領のもと、実際の社会や生活で生きて働く「知識及び技能」、未知の状況にも対応できる「思考力、判断力、表現力等」、学んだことを社会や人生に生かそうとする「学びに向かう力、人間性等」といった資質・能力の育成に取り組んでいます。また、このような資質・能力をはぐくむため「主体的・対話的で深い学び(アクティブ・ラーニング)」による質の高い学びの視点に立った授業改善にも取り組んでいます。これは周りの人たちとの対話により、自分の考えを広げ深め、新しい発見や豊かな発想が生まれることを目指した学びの姿ですが、子供だけではなく大人の学びにおいても、同じような学びの姿を実現し「一人の学びを社会の(みんなの)学び」に高めていきたいものです。 (3)社会的課題に応える学習機会の拡充  現状と課題 ◇性別・年齢・障害の有無等による偏見や差別は依然として存在しています。また、インターネットなどによる差別書き込み、新型コロナウイルス感染症に関する差別や誹謗中傷など新たな人権問題が生じています。人権意識を高め、誰もが個人として等しく尊重される人権文化を築き、全ての人の人権が尊重され、多様な価値観やライフスタイルを互いに認め合うことができるまちの実現を目指しています。 ◇市政モニター調査結果によると、過去1年間に学習に取り組んだ内容については、「ウォーキング・水泳などのスポーツ活動」が最も多く、次いで趣味的な学習や仕事のための学習、新しい技術や知識に関する学習等、個人のニーズに応える内容が多くなっており、「社会貢献活動、ボランティア活動」について学んだ人は12.6%と比較的少なくなっています。 ◇推進員会調査においては、講座の企画においては地域課題や社会問題への取組みも意識されている一方、市民のニーズとしては、文化・芸術をはじめとする個人の楽しみに資する講座のニーズが高いことが示されています。 ◇本市の様々な行政分野において、社会的な課題に対する市民の意識の向上や人材育成等を目的とした講座・イベントが実施されています。こうした取組みへの市民の関心を高め、社会的な課題について学び、行動する市民を増やしていくことは、本市の行政全体を通じた課題となります。 タイトル名 この一年間で次のような生涯学習をしましたかのグラフの内容を読み上げます。 令和2年度 西宮市市政モニター調査(N=443) ウォーキング・水泳などのスポーツ活動 39.3% 生け花・茶道・園芸・コーラス・楽器演奏・読書など 26.4% 仕事や資格・技能取得のための学習 26.4% パソコンやインターネットなど、新しい技術や知識 26.4% 歴史・文化・外国語などの学習 21.4% 政治・経済・環境などの学習 19.9% 音楽・美術などの芸術鑑賞 19.0% 料理や洋裁、育児などの家庭や日常生活に関わる学習 19.0% 社会貢献活動、ボランティア活動 12.6% よみかき、日本語など基礎的な知識の学習 3.8% その他 4.1% 特にない 16.0% 無回答 0.9%  施策の方向  @:共に生きる社会をつくるための学びの支援   ◆人権に関する学びの支援  誰もが排除されない社会をつくるために必要な、全ての人が有する権利や反差別への取組み、相互理解についての学びを支援します。また、多文化共生の観点から、様々な文化的背景を有する市民が自身の文化について学ぶ活動の支援や、障害のある人の個別のニーズに即した学習等、市民の多様性を踏まえた学習機会を提供します。   ◆男女共同参画に関する学びの支援  男女共同参画の推進に向け、生活のあらゆる場面におけるジェンダー平等に関する課題についての学びを支援するとともに、DVや性暴力の根絶に向けた学びを支援します。   ◆社会貢献活動・ボランティア養成講座の実施  高齢者の地域での生活を支える活動や、子育てを支援しその孤立を防ぐ活動、障害のある人の社会参加を支える活動等、社会的な課題の解決に取り組む活動への参加につながる学習機会を充実させ、市民の自発的な社会貢献活動の活性化を図ります。  A:市民生活の安心・安全のための学びの支援   ◆防災に関する学習  より多くの人が防災・減災に関して必要な知識を学び、日頃からその備えができるよう、学習機会を提供します。   ◆消費生活の安全に関する支援  消費生活センターでは、消費者被害を防止するとともに、消費行動を自ら判断・選択し、必要な時に必要な支援を求めることができる自立した消費者として、一人ひとりが消費生活に関する知識の習得と情報収集ができるよう支援します。   ◆健康増進に関する学びの支援  健康についての学びやスポーツ活動の支援、食育、要介護状態となることを防ぐ介護予防活動等、市民の健康増進に関する学びを支援します。   ◆環境に関する学びの支援  地球温暖化や生物多様性の喪失、ごみ問題などの環境問題は一人ひとりのライフスタイルと密接に関わる世代を超えた共通の課題となっています。そのため、市民一人ひとりが日々の暮らしと環境との接点に気づき、関連づけて理解することができるよう、環境に関する学びを支援します。 (4)大学・民間事業者等における学習の促進  現状と課題 ◇市政モニター調査結果によると、過去1年間に「民間の講座や教室、通信教育」で学んだことのある人は20.8%となっており、内閣府世論調査の2倍以上の実施率となっています(P.18の図参照)。また、「学校の講座や教室」と言う回答も内閣府世論調査を上回っており、市内に数多く存在する大学の公開講座等を受講している市民が多いことがうかがえます。 ◇「カレッジタウン西宮」構想※10を推進する拠点施設として、「西宮市大学交流センター」を設置し、市内大学との連携組織である西宮市大学交流協議会との協働により、公開講座や単位互換授業等、様々な事業を展開しています。 ※10:平成4年に策定された、市内にある9つの大学・短期大学を都市の貴重な文化資源と位置付け、大学・短期大学との連携を生かしたまちづくりを目指した構想。 ◇大学は本市の有する貴重な資源であり、今後拡大が求められているリカレント教育※11においても中心的な役割を担うことが期待されています。 ※11:一般に「社会人の学び直し」のことであり、大学、大学院への通学、通信制大学などの通信講座、書籍での学習、講演会・セミナーなど。 市民の旺盛な学習意欲にこたえる教育の場として、また社会人の学び直しや、知識・技術をより新しいものとする機会として、更なる連携・協働が求められます。  施策の方向  @:大学との連携・交流を活用した学習活動の促進   ◆大学等教育機関との連携  大学交流センターの市民対象講座や各大学の実施する公開講座、社会人向け大学院講座等、各大学が実施する事業への市民の参加の拡大を図ります。   ◆リカレント教育に向けた情報発信の強化  大学等における学び直しや社会人入学の促進に向け、市内大学の取組みや関連する事業について、一人ひとりのライフスタイルに応じたキャリア選択を支援するため、積極的な情報発信・情報提供を行います。  A:民間事業者等と連携した学習活動の促進   ◆民間事業者・NPOなどとの連携・協働  民間事業者や市民活動団体・NPOなどによる体験・学習事業等、様々な団体・組織の取組みとの相互協力を推進し、更なる連携・協働を推進します。  基本方針2:誰もが参加できる学びの環境づくり (1)誰もが参加しやすい環境づくり  現状と課題 ◇本市には、これまでに十分な学習機会を得られなかった人や、外国にルーツを持つ市民等を対象とした識字教室や日本語教室があります。教育機会確保法(平成29年施行)や日本語教育推進法(令和元年施行)も踏まえ、生涯学習の観点からも、こうした取組みを推進し、誰もが生涯学習や地域活動に参加できるよう、基礎的な学びを支援する必要があります。 ◇障害者差別解消法(平成28年施行)や障害者による文化芸術活動の推進に関する法律(平成30年施行)等を踏まえ、共生社会の実現に向けた生涯学習の充実が求められています。同時に、施設のバリアフリー化や多様な情報提供手段の活用等、必要な支援や合理的配慮を確保していくことも必要です。 ◇障害者の生涯学習についてのアンケートでは、市政モニター調査と比較して、読み書き、日本語などの基礎的な学習へのニーズが高く、また民間の講座を含む様々な学習のための手話通訳や要約筆記等の支援を求める意見が多くなっています。 ◇市政モニター調査では、インターネットを利用した学習や情報収集の経験がある市民は、若い世代を中心に多くなっており、新型コロナウイルス感染症の流行を受けて始めたいこととして、「インターネットを活用するための学習」という回答が最も多くなっています。ICT機器の活用については年齢や経済状況による格差も問題となっており、誰もがこれらを活用した学習に参加するための支援は、今後の生涯学習事業において重要なテーマとなります。 タイトル名 新しい生活様式に基づく行動が求められる中、これから始めたいと思うことはありますか。のグラフの内容を読み上げます。 令和2年度 西宮市市政モニター調査(N=443) インターネットを活用するための学習 38.1% 読書など在宅での学習 33.9% 感染症やその防止についての学習 22.6% 社会問題や政治についての学習 20.8% 家庭生活や家事についての学習 17.8% これまでと違う方法で学習や活動を継続したい 22.8% これまでより学習や活動を減らしたい 1.6% その他 2.0% 特にない 14.9% 無回答 1.4%  施策の方向  @:生涯学習への参加のための支援   ◆基礎的な学習の支援  様々な学習の基礎となる識字・日本語の学習機会が、全ての市民に保障されるよう、引き続き必要な事業を実施します。また、義務教育段階の基礎的な学習を十分に受けられなかった市民を対象とした学習機会の情報提供に努めます。   ◆障害のある人への合理的配慮の提供  障害のある人が生涯学習活動や文化活動に参加できるよう、手話通訳等の合理的配慮の提供の拡大に努めます。また、情報提供や参加の手続き等においても、障害の状況に応じた対応ができるよう、職員研修等を行います。   ◆施設のバリアフリー化の促進  計画的な施設の整備・改修を進める中で、生涯学習関連施設のバリアフリー化を促進します。また、施設整備や事業展開において、ユニバーサルデザイン※12の考え方を取り入れます。 ※12:調整をしなくても可能な限り全ての人が利用しやすい製品、サービス、環境等になるよう、当初から普遍的な機能を組み込んでおくという考え方。  A:ICTを活用した学習の推進   ◆新しい学習活動の展開  新型コロナウイルス感染症防止対策と学習活動の両立をきっかけに、物理的時間的制約のある人を含め幅広い市民に生涯学習への参加を広げる手法として、ICTを活用したオンライン講座の開催や、学習動画の配信等のオンデマンド型※13の発信など、新しい学習機会の創出について検討します。 ※13:時間や場所にとらわれず、自分が学びたいときにいつでもインターネットに接続して学べる方式の学習手段。   ◆デジタル・ディバイド(情報格差)解消のための取組み  ICT機器を利用できる者とできない者の格差(デジタル・ディバイド)の解消のため、学習機会の提供や公共施設の環境整備等を通じてインターネットを活用した学びを支援します。 今後の取組み:オンライン講座の開催について withコロナ時代の講座運営について、従前のリアル(集合イベント)開催とオンラインを融合させていくため、映像配信やインターネットを活用した講座運営に取り組みます。講座や講演を講師のいるメイン会場だけではなく、別会場にもインターネットを経由して映像配信をすることで、参加者が密となることを避けて学習活動を行えるような事業や、録画された講座・講演を市民が自宅でインターネットを経由して受講できるようなしくみづくりに取り組みます。 (2)生涯学習関連施設の充実  現状と課題 ◇市政モニター調査では、この1年間に利用したことのある生涯学習関連施設のうち、最も多かったのが図書館の45.4%、次いで公民館の28.0%となっています。いずれの施設も「知らない」は1割前後と他の施設と比べて低く、市民の多くに認知され、生涯学習において中心的な役割を担う施設と言えます。 ◇市政モニター調査では、生涯学習関連施設を利用しない、または利用しにくい理由として、「日程・時間帯が合わない」「利用方法が分からない」「利用しにくいイメージ・雰囲気がある」という回答がいずれも3割を超えており、利用促進のための適切な情報提供や運用の工夫が課題となっています。また、施設の防災機能の確保も求められています。 ◇施設調査においても、利用者の固定化や来館しにくい層への働きかけが課題として示されています。また新型コロナウイルス感染症への対策をきっかけとしてインターネットを活用した講座のニーズが高まっていることや、避難所機能としてもWi-Fiの整備が必要という意見が多くなっています。 ◇令和2年答申では、生涯学習推進体制をより効果的、包括的にしていく上で、生涯学習関連施設間の連携や、施設の複合化、ネットワーク化が重要であることが提起されており、今後の施設の整備・運用において実現が求められます。 タイトル名、この一年間に次の「生涯学習関連施設」を利用したことがありますか。また、利用しなかったが知っている施設はありますか。(市政モニター調査)のグラフの内容を公民館、選択肢、図書館、選択肢の順で読み上げます。 公民館(N=443) 利用したことがある 28.0% 利用しなかったが知っている 55.1% 知らない 13.8% 無回答 3.2% 図書館(N=443) 利用したことがある 45.4% 利用しなかったが知っている 45.4% 知らない 6.8% 無回答 2.5% タイトル名、生涯学習関連施設を利用しない、または利用しにくい理由があるとすればそれは何ですか。のグラフの内容を読み上げます。 令和2年度、西宮市市政モニター調査(N=443) 日程・時間帯が合わない 40.2% 利用方法が分からない 37.0% 利用しにくいイメージ・雰囲気 34.1% 学習や活動の情報がない 28.0% 利用手続きが面倒 15.8% 近くに学習施設がない 15.6% 個人で使用できない 11.5% 必要な設備が整っていない 4.1% 利用料金が高い 2.9% その他 10.6% 無回答 3.2%  施策の方向  @:生涯学習関連施設の有効活用と機能の充実   ◆施設・設備の整備・充実と情報発信  公民館や図書館、博物館等の社会教育施設をはじめとして、学校、各種の地域施設、運動施設、文化施設、その他学習関連施設等、多様な生涯学習関連施設が、市民にとってより使いやすく、つながりづくり、まちづくりにつながる多様な活動を支える場となるよう、整備・充実を図ります。また、各種施設の利用方法や事業等について市民への更なる周知を図ります。   ◆職員の専門性の確保  各施設において、市民ニーズを的確にとらえた事業展開や地域資源を有効に活用した運営が行われるよう、職員の専門性の向上に向けた研修機会を充実させます。   ◆新しい学びの形態に対応した環境整備  これまでの対面による学びだけでなく、今後増加が見込まれるオンラインによる学びの両方の学習活動に対応できるようインターネット環境の整備に努めます。  A:各生涯学習関連施設の充実   ◆公民館  公民館は、学習活動の拠点として、グループ・団体への活動の場の提供、公民館地域学習推進員会による地域課題解決に向けた講座等を中心に運営していますが、行政を含む様々な主体による学習活動を取り込みながら、幅広い世代が気軽に立ち寄り交流できる場となるよう取り組みます。市民館等の集会施設と連携し、地域づくりの総合拠点と位置付けます。更に、地産地消活動などの地場産業振興によるまちづくりの場としても位置付けます。   ◆図書館 市民の生涯学習を支える知のインフラ・情報拠点として、市民のニーズに応じた資料・情報の提供を行うとともに、これまで以上に司書の専門性を生かす体制を構築し、レファレンス機能の強化、子供読書活動の推進、生涯学習関連部局等との連携を、図書館事業計画に基づき進めます。また、障害の有無にかかわらず図書館を利用しやすい施設にするための環境整備とサービスの充実に取り組みます。   ◆博物館 市内に多数ある歴史・美術・文化・産業・自然科学等、多分野の公立・私立博物館施設、民間の研究機関との連携を強化し、高度な知識の習得や豊かな学びの機会の充実を図ります。郷土資料館は、西宮の歴史と文化財を学習する博物館として、貝類館は貝類を通じて様々なことを学ぶ博物館として、(公財)大谷記念美術館も市立美術館としての性格を有する博物館として、それぞれ資料の調査・研究に基づく企画展示や教育普及活動の充実に取り組みます。   ◆文化・スポーツ施設  市民会館をはじめとする各ホール、ギャラリーなどの文化施設は、市民の文化芸術の鑑賞や日頃の練習の場・発表の場として活用されています。今後はこれまで芸術に積極的に触れる機会が少なかった市民にも、芸術に興味・関心を持ってもらえるように、学校へのアウトリーチ※14事業やものづくり、ワークショップ※15に取り組むなど努めます。 ※14:福祉や教育において、直接現場に出向いて事業や支援を届ける手法。 ※15:体験型講座のこと。一方的に講座を受けるのではなく、参加者が実際に参加・体験することが大きな特徴である。  中央体育館ほか各地域の体育館は、健康づくりやスポーツを楽しむ場として中心的な役割を果たしてきました。市民がスポーツを楽しむ習慣をつくり、健康な生活を送れるように、一層スポーツ体験の機会を提供してまいります。  また、各施設は、「(公財)西宮市文化振興財団」、「(公財)西宮スポーツセンター」のほか、民間事業者による指定管理者制度を導入し効率的な運営をはかり、専門的な視点から独自事業も展開しています。今後も文化芸術やスポーツの新たな体験や交流の機会の充実に努めます。   ◆大学交流センター  市内大学と連携することにより、市民には大学が持つ知的資源に触れることのできる機会を、大学生には他大学との交流による多様な学びの機会を継続的に提供します。  また、大学と地域、市民がつながり交流が深まる場、市民が市民性をはぐくむ学習の場、学生の就職につながるキャリアデザイン※16支援の場となるよう、施設の活性化に取り組みます。 ※16:「どんな仕事をしたいか」「どのような働き方や家庭生活を送りたいか」といった人生の理想を描き、理想の実現に向けた計画を設計すること。  B:生涯学習関連施設の複合化・ネットワーク化の推進   ◆地域の拠点としての生涯学習関連施設の運営  生涯学習関連施設が学習活動の支援だけでなく、地域住民の居場所や交流の場としても機能し、地域の拠点としての役割を担えるよう、施設の整備・運用のあり方を検討します。   ◆施設の複合化の推進  地域の拠点としての役割や地域資源の有効活用の観点から、生涯学習関連施設の機能面での複合化を推進し、効果的な住民サービスと学習支援が行える施設に改めていきます。   ◆関連施設のネットワーク化の促進  各種の施設の機能を最大限に有効活用するべく、人材、資料、機材、情報等の共有を積極的に行うとともに、市民における幅広い参加や認知の向上に向け、施設間で連携した取組みを、情報ネットワークを活用して促進します。  基本方針3:つながりささえあう学習の促進 (1)学びの仲間づくり  現状と課題 ◇地域に重層的な人のつながりが存在することは、社会関係資本と呼ばれ、それが豊かであるほど公的な取組みの効果が高まると言われています。防災や子育て支援、介護予防等においても、社会関係資本が重要な役割を担うと期待されています。 ◇市政モニター調査では、この一年間に学習した場所や形態について、個人で行う学習が上位となっており、「講座・教室」や「グループ・サークル活動」という回答は比較的少なくなっています。(P.18の図参照) ◇生涯学習事業の効果を最大化していく上でも、講座や教室がその場限りの経験で終わるのではなく、グループ・サークルとして学習や活動が継続的に行われるよう、企画・運営についても見直していく必要があります。  施策の方向  @:学びの仲間づくりの支援   ◆講座・イベントなどを通じたつながりの支援  講座やイベントなどの実施にあたっては、学びを通して参加者同士の交流の機会や仲間づくりの場となるよう、つながりづくりを支援します。   ◆グループ・サークルと連携した取組みの促進  市内で生涯学習活動に取り組むグループ・サークルなどとの連携を深め、市民文化祭への参加団体を増やすなど、市民の自主的な活動の周知と活性化を図ります。    A:地域におけるグループ・サークルの活動支援   ◆グループ・サークル活動の場づくり  市民の自主的な学習活動や成果を発表する場の確保等の支援を通じて、地域における人のつながりの維持・発展を図ります。また、地域学校協働活動など、学習成果を地域や社会に貢献する活動として還元できるような取組みの拡大に努めます。   ◆情報発信や交流の支援  地域で活動するグループ・サークルの情報発信や交流を支援し、生涯学習を通じて地域の仲間づくりが促進するよう支援します。 (2)学習成果を生かせる場や機会の充実  現状と課題 ◇市民の有する様々な知識・技術や生涯学習の成果が、地域の課題の解決や新たな学びに役立つものとして還元され、生涯学習とまちづくりが有機的なつながりを持って展開されることが、目指すべき姿となります。 ◇市政モニター調査においては、学習した成果の生かし方として「自分の人生を豊かにすることに生かしている」「家庭や日常の生活に生かしている」「健康の維持・増進に生かしている」といった回答が多く、「地域や社会での活動に生かしている」は少ない状況です。学習成果の活用を個人の生活の範囲にとどめるのではなく、地域や社会のために生かすための働きかけが課題となっています。 ◇一方で、市政モニター調査では、市民の学習を支援する活動について、約4割が「参加してみたい」と回答しており、1割については「自分の経験や能力を生かした講座やプログラムがある」と回答しています。こうした市民の意欲を生かせる取組みを展開することで、学習成果の社会的な還元につながると期待されます。 タイトル名、あなたは学習した成果をどのように生かしていますか。あるいは、生かせると思いますか。のグラフの内容を読み上げます。 令和2年度、西宮市市政モニター調査(N=443) 自分の人生を豊かにすることに生かしている 63.7% 家庭や日常の生活に生かしている 48.5% 健康の維持・増進に生かしている 48.1% 仕事や就職の上で生かしている 43.1% 地域や社会での活動に生かしている 15.6% 生かしていない 1.6% その他 1.6% 特にない 2.9% 無回答 1.4% タイトル名 あなたは生涯学習に関する市民向け講座の企画やプログラムづくりなど、市民の学習を支援する活動に参加してみたいと思いますか。のグラフの内容を読み上げます。 令和2年度、西宮市市政モニター調査(N=443) 自分の経験や能力を生かした講座やプログラムがあるので参加したい 9.9% 今のところ企画したい講座やプログラムはないが参加してみたい 32.1% どちらともいえない 42.4% 参加したいと思わない 12.9% 無回答 2.7%  施策の方向  @:学習成果の還元の取組み   ◆成果の活用を視野に入れた講座等の展開  講座・教室等が学習のみで終わるのではなく、学習成果を活用した次の活動につなげることまでを一体的な取組みとして視野に入れた学習事業の展開を図ります。  発表会などの社会的交流の機会、ボランティア活動や専門的な興味の向上、講座修了書の発行、プレゼンテーション機会の提供等について検討していきます。   ◆市民の知識・技術や生涯学習の成果の活用の促進  市民の知識・技術や学習成果を積極的に活用し向上するしくみづくりとして、市民講師人材の登録・情報提供等や、公民館を利用して創意工夫に富んだ催しを開催できる「公民館活用促進プロジェクト」等の取組みを進めます。     A:市民参加型の学習事業の展開   ◆生涯学習支援人材の育成・発掘  公民館地域学習推進員や市民講師のように、市民の学習の支援に主体的に携わり、生涯学習を通じた仲間づくりや継続的な活動に貢献できる、知識・技術と意欲を有する人材の育成・発掘に取り組みます。   ◆市民・学習グループなどと協働した事業展開  市民やグループ、NPOなど団体による企画講座や、学習事業を実施する上での協働等、市民参加型の生涯学習事業の展開を図ります。     B:つながりささえあう関係づくりをコーディネートする職員等の育成  学習事業の企画・運営に関わる職員やスタッフ等が、学習活動を通じた人間関係の構築、学習成果の活用や新たな企画の展開までのサイクルを視野に入れたコーディネートができるよう、職員やスタッフ等の人材の育成や研修の充実を図ります。 コラム:公民館地域学習推進員研修会(講師プレゼンテーション) 地域課題の掘り起こしとその自主的解決を図ることを目的として、地域住民が主体的に講座の企画・運営を行う公民館地域学習推進員会。 研修会では2年に1度、新規講座を企画する参考とするため、講師の講座内容のプレゼンテーション会を開催しています。応募のあった講師の講座内容を冊子にして推進員に配布し、その中から希望の多かった講師のプレゼンテーションを受けます。直接講師に質問するコーナーや資料展示コーナーもあり、新たな講座を企画するきっかけとなっています。 (3)様々な分野で活躍する人材の育成  現状と課題 ◇本市においては健康づくり、環境学習、子育て支援、高齢者支援、障害者支援、読書活動、学校支援等、幅広い分野においてボランティア活動を行う市民の育成に取り組んでいます。 ◇また、地域学校協働活動推進員や公民館地域学習推進員のように、市民主体の地域における活動がより良いものとなるよう、事業の企画やボランティアのマッチング、関係団体・機関との連携・調整等を行うコーディネーター的な役割を担う市民も活躍しています。 ◇こうしたそれぞれの分野で必要とされる人材を育成していくことは、本市のまちづくりの重要な課題となっています。また、地域においては様々な活動の担い手の不足や高齢化が深刻化しており、こうした人材の育成も今後の課題となります。  施策の方向  @:各種ボランティア・コーディネーターの育成  本市の様々な分野において、支援を必要とする人への支援や地域づくり・まちづくりに必要とされ、活躍するボランティアやコーディネーターの育成に向け、学習機会の提供と、活動を支援します。    A:地域活動の担い手の育成・支援  持続可能なコミュニティを形成していくため、地域の様々な活動の担い手の育成に向けた学習活動を積極的に実施するとともに、地域での活動に直接つながるような支援の充実を図ります。   コラム:図書館ボランティア 図書館はボランティア活動の場でもあります。子供たちへの絵本の読み聞かせや視覚に障害のある方への対面朗読、傷んだ本の修理など、多くの方々が集い、様々な活動で本市の図書館を支えてくださっています。  基本方針4:生涯学習を通じた地域づくり・まちづくり (1)市民性をはぐくむ学習支援  現状と課題 ◇高齢化と人口減少の進む日本社会においては、人びとの生活を支えるために必要な支援の全てを行政が提供することは難しく、自助※17・共助※18・公助※19を組み合わせながら、地域や市民の活動と連携・協働していくことが不可欠となっています。 ※17:自分で教養を高めたり、積極的に人のつながりをもつこと。 ※18:家族・企業や地域コミュニティで共に助け合うこと。 ※19:行政が援助すること。 ◇地域コミュニティの活性化や支え合う人のつながりづくりがこれまで以上に重要な課題となっている中、市民の意識や行動に変容をもたらす生涯学習は、行政の様々な分野に関わる取組みです。市民としての役割を担い課題解決や地域づくりに取り組む市民性(シチズンシップ※20)の醸成が求められます。 ※20:市民としての役割や責任を自覚し、社会に貢献しようとする心構え。 ◇行政課題に関わる市民の自主的な活動が盛んになることや、地域活動の担い手の育成、社会的課題の解決への市民参加は、行政分野を越えた本市の課題となっています。  施策の方向  @:市民性(シチズンシップ)の醸成   ◆市民性をはぐくむ学習の推進  市民一人ひとりが、社会の担い手としての権利と役割を自覚し、積極的に地域活動に取り組むきっかけとなるよう市民性をはぐくむ基礎講座の実施を検討します。また、地域を軸として様々な主体や団体が関わりながら、消費者教育、環境問題、貧困化、インクルーシブな社会、SNSやICT利用の弊害など、本市特有の課題だけではなく、国際的な課題を含む課題認識やその解決について学び行動する場づくりに取り組みます。   ◆まちづくり人材の育成と活躍の場づくり  各分野で実施されている各種の人材養成講座をとりまとめ、新たに「(仮称)西宮シチズンカレッジ」として再編し、持続可能なまちづくりを担う人材の育成を目指します。また、育成した人材がそれぞれの学習・関心に応じた活動にスムーズに移行できるようなしくみづくりを進めます。  A:地域課題への取組みの活性化   ◆地域課題解決型学習の支援  地域住民自身によって企画される地域課題に即した学習が促進されるよう、地域課題に取り組む人材の育成と、研修、情報提供等による活動支援の充実に取り組みます。   ◆市民参画のしくみづくり  各地域で活動する地域住民、地域団体、行政分野の職員等、幅広い分野で活動する人々が、学習や交流を通じて、地域の活性化に向けた課題や方向性を共有するとともに、共に活動するための場づくり、しくみづくりに取り組みます。 今後の取組み:分野横断・住民参加型ワークショップ 新たに策定した生涯学習推進計画の理念や方向性を周知するとともに、「学びと活動の好循環」のしくみづくりに向けて、各地域で地域活動団体、地域住民、行政分野の地域担当職員等をつなぐワークショップを各公民館で開催する予定です。住民・各種団体・行政職員等、立場の異なる者同士が地域を軸として、分野を越えて地域の課題について話し合い、交流する場を設けます。 ワークショップは、本市の生涯学習施策が目指す方向性を幅広い分野で活動する人々と共有するとともに、学習を通じた地域の活性化に向けた課題や求められる取組みの方向性について、各地域で把握・共有する場として実施します。 こうした活動を通じて、様々な社会問題や地域課題に関心のある人を発掘し、今後の活動へのきっかけをつくり、学習コミュニティを形成していくことが重要です。 また、関心や課題意識を共有する多様な主体が意見を出し合い、地域づくりについて話し合い、共に活動するための場づくり、しくみづくり(地域円卓会議)に向け、公民館等の生涯学習施設が、地域における協働の拠点として機能するような取組みの創出を進めます。 (2)生涯学習による豊かな地域づくりの推進  現状と課題 ◇地域の生涯学習の拠点として活用されてきた公民館ですが、利用者の固定化や子育て世代・若年世代の参加の少なさといった問題が顕在化しています。生涯学習と地域課題の解決が結びつき、学習を通じて地域コミュニティの活性化がもたらされるような取組みが求められています。 ◇推進員会調査においては、地域課題の把握に難しさを感じている公民館地域学習推進員会が多いことが示されており、課題解決に役立つ事業を企画・立案する際の情報が不足していることが課題となっています。 ◇市政モニター調査では、地域や社会での活動への参加希望について、何らかの活動への参加を希望している人が7割を超えており、参加の意欲は市民の間に広く存在していることがうかがえる結果となっています。 ◇また、多くの人が地域や社会での活動に参加するようになるために必要なことについては、情報提供やきっかけづくりといった回答が、社会的に評価されることや必要経費の支援といった回答を大きく上回っており、何らかの情報やきっかけがあれば、地域や社会での活動に参加する可能性のある市民が多くいることが示されています。 ◇令和2年(2020年)6月に、本市を含む近隣5市の申請による『「伊丹諸白」と「灘の生一本」下り酒が生んだ銘醸地、伊丹と灘五郷』が日本遺産に認定されました。このような地域の歴史・文化資源を生かした学習機会の拡大と展開が今後の課題です。 タイトル名 あなたは地域や社会でどのような活動に参加してみたいと思いますか。のグラフの内容を読み上げます。 令和2年度、西宮市市政モニター調査(N=443)  スポーツ・文化活動 32.5% 地域の子供のための活動 19.9%  子育て・育児を支援する活動 19.0% 地元の観光や産業の活性化 18.1%  地域や学校と協働する活動 16.3% 国際交流に関する活動 14.7%  地域の伝統行事や歴史の継承 14.2% 地域の環境保全に関する活動 13.1%  障害者や高齢者、外国人住民等の支援 12.0% 防犯・防災活動 10.8%  参加したいとは思わない 2.7%  その他 3.2% 特にない 13.8%  わからない 6.5%  無回答 3.2% タイトル名 多くの人が地域や社会での活動に参加するようになるためには、どのようなことが必要だと思いますか。のグラフの内容を読み上げます。 令和2年度、西宮市市政モニター調査(N=443) 地域や社会での活動に関する情報提供 60.3% 活動への参加につながるようなきっかけづくり 50.3% 活動を支える人的体制や活動の拠点が整っていること 42.2% 交通費などの必要経費の支援 28.9% 活動の成果が社会的に評価されること 22.1% その他 6.1% 特にない 1.8% わからない 3.8% 無回答 2.9% 施策の方向  @:地域での学びを支える体制づくり   ◆地域づくりの拠点としての公民館機能の再構築   地域と行政が共に地域課題を解決する拠点として、公民館の機能を再構築していきます。そのため、地域と行政の橋渡しや、地域活動団体間の協働の推進など、コーディネート機能を強化し、学習活動を通して地域づくりを支援できるよう職員の育成とスキルアップのための研修を充実します。   ◆地域住民による課題解決講座の運営の充実  地域住民がその地域の課題を共有し、市民自らが課題の解決につなげていくことができるよう、身近な施設で学習に取り組める環境を整備するとともに、その充実を図ります。また必要に応じて行政の出前講座等とのマッチングを行い、地域課題解決を支援します。   ◆地域の多様な団体が参画しやすい環境づくり   地域で活動するNPOや市民活動団体・企業市民など、多様な団体の活動成果が地域で生かされるよう取り組みます。    A:地域をよりよく知るための学習の支援   ◆地域の歴史や文化についての学習の推進  地域のよさの再発見やよりよいまちづくりのきっかけとなることが期待される、本市の歴史や文化についての学習機会の充実を図ります。観光分野と文化財分野が連携し、日本遺産をはじめ本市の歴史・文化資源の活用を積極的に推進します。 コラム:「西宮歴史調査団」の活動 西宮歴史調査団は、平成18年度(2006年度)から活動している市民主体の文化財調査ボランティアです。郷土資料館学芸員に調査方法の指導を受けながら、西宮市内にある歴史・文化資源を一つ一つ拾い上げて記録しています。現在「橋梁班」「石造物班」「古文書班」「竜吐水班」があります。 活動の成果は、展示・講座・現地解説会や報告書の刊行等、積極的に発信されています。 ■学びを通した地域づくりの拠点イメージ  生涯学習社会を基盤とした持続可能なまちづくりを進める上で、学びを通した地域づくりの拠点が必要となります。拠点に求められる機能は、概ね次の通りで、「人づくり・つながりづくり・地域づくり」を具体化するための様々な機能を備えて行く必要があります。 地域づくり ◇地域課題解決型学習の推進 啓発講座、ワークショップの開催、地域住民による主体的な学習活動の実施 ◇多世代交流の促進  様々な地域行事が行われるとともに、特定の目的がなくても立ち寄り、学んだり、人と交流したり、休憩したりできる居場所の提供 ◇地域課題集約と行政との連携  各地域団体が取り組む地域課題を集約し、市役所とつなぐ役割 ◇地域円卓会議の開催  関心や課題意識を共有する多様な主体が地域づくりについて話し合い、活動するため場づくり 人づくり ◇人材養成講座の実施  (仮称)西宮シチズンカレッジ・基礎講座等 ◇市役所と連携した啓発事業の実施  環境、防災、消費生活、人権学習、まちづくり等 ◇子育て支援  宮水ジュニア事業、子育て地域サロン、移動児童館など青少年健全育成に向けた活動 ◇文化的行事の開催  文化振興財団との連携行事(音楽、舞台芸術会等) つながりづくり ◇地域における多様な主体の連携推進  NPO、市民グループ、学校、大学、事業者(生協、信用金庫、福祉施設、医療施設、商店街、農業者等)との連携構築 ◇民間事業者による地域貢献の支援 民間事業者(市内企業、福祉施設等)による社会貢献事業を通じた地域づくりへの支援 ◇グループ活動の支援  グループ活動の場及び発表の場の確保、講座への参加を契機とした仲間づくりの支援等 ◇共生のまちづくりとの連携  ボランティアセンター、まちカフェなど、福祉目的で行われる活動との連携・協働  B:よりよい地域やまちをつくっていくための学習・活動の充実   ◆持続可能な社会の担い手の育成  将来の世代が必要とするものを損なうことなく、現在の世代が快適に生活するための手段である「持続可能な開発」は、単に環境に関する問題への取組みだけでなく、各個人ができることを考え、実践することで課題解決につなげていくことが必要です。そのような社会の担い手をはぐくむ取組みを全市的に推進します。   ◆環境学習と生涯学習の一体的推進  平成15年(2003年)に「環境学習都市宣言」を行った本市では、独自の環境学習システム(エコカード・エコスタンプシステム)を導入し、学びあうまちのしくみづくりや環境学習の機会の創出などに取り組んできました。環境学習都市としての蓄積を次代に引き継ぐ環境学習の取組みの更なる充実を図るとともに、こうした環境学習事業の蓄積と、生涯学習事業との連携を強化し、一体的推進に努めます。  エコカード・エコスタンプシステム 環境に関する学習や活動を行った際に、カードにスタンプを押してもらえる西宮市オリジナルの環境学習のしくみです。カードの種類は「就学前の幼児」を対象とした「ちきゅうとなかよしカード」、「小学生」を対象としたエコカード、「中学生以上の市民」を対象とした「市民活動カード」と世代に応じて大きく3つに分かれています。スタンプは学校、保育所、地域、文具店や量販店などで押してもらうことができ、学校、地域、お店のそれぞれがこのシステムを支えるサポーターになっています。 小学生は、カードに一定数のスタンプを集めると「アースレンジャー(地球を守る人)」に認定されます。このしくみを通じて、人と人との新たな交流を生み出し、個々の活動を社会的な活動へ広げるとともに、まち全体が「学びの場」となっていくことを目指しています。 コラム:持続可能な開発のための教育(ESD) 「持続可能な開発のための教育」(Education for Sustainable Development)とは、現代社会の課題を自らの問題として捉え、身近なところから取り組む(think globally, act locally)ことで、各課題の解決につながる新たな価値観や行動を生み出し、持続可能な社会の創造を目指す学習や活動です。ESDは持続可能な社会づくりの担い手を育む教育といえます。このESDの実施には、特に次の2つの観点が必要とされます。 ○人格の発達や、自律心、判断力、責任感などの人間性を育むこと ○他人との関係性、社会との関係性、自然環境との関係性を認識し、「関わり」、「つながり」を尊重できる個人を育むこと そのため、環境、平和や人権等のESDの対象となる様々な課題への取組をベースにしつつ、環境、経済、社会、文化の各側面からの学際的かつ総合的な取り組みが求められます。 特に、その目標として、次の3つが考えられています。 ○全ての人が質の高い教育の恩恵を享受すること ○持続可能な開発のために求められる原則、価値観及び行動が、あらゆる教育や学びの場に取り込まれること ○環境、経済、社会の面において持続可能な将来が実現できるような価値観と行動の変革をもたらすこと この目標達成のために、生涯学習の場でも、環境教育や開発教育を始め平和、人権等のESDの対象となる課題について学んでいくことが求められます。 参考:『我が国における「国連持続可能な開発のための教育の10年」実施計画』平成23年   ◆防災・減災のための学習機会の充実  災害への備えとして、既存の防災講座等の取組みに加えて、防災に関する情報や知識をいつでも得たり学べる取組みを進めます。  防災マップでは、具体的な防災行動に結びつく情報を充実させるとともに、市ホームページの防災関連情報が、より伝わりやすくなるよう改修し、いつでも情報を得て活用できる環境を提供するなどして、市民一人ひとりの防災意識の向上を図ります。   ◆災害に強い地域づくり  地域における人のつながりを強める取組みとして、自主防災組織の活動を支援します。その一例として、自主防災組織が主体となり、住民が協力して作成する地域版防災マップや地区防災計画作りを推進するなど、災害時の対応や危機管理に関する地域の合意形成を支援します。このような住民相互の学び合いによる“つながり”を生み、災害に強い地域づくりを目指します。   ◆地域共生社会の実現に向けた生涯学習の推進  地域福祉を推進していくためには、市民主体の福祉活動が重要な基盤となります。西宮市社会福祉協議会とも連携し、地域を構成する市民一人ひとりや団体・組織などが主体的に関わり、お互いを認め合い、つながり、支え合いながら、生活・福祉課題を解決するしくみづくりを支援します。  また、学校教育をはじめとする様々な場・機会を通じた福祉学習の推進及び情報提供をすることにより地域福祉への関心・理解につなげ、地域共生社会の実現に向けた生涯学習の推進に努めます。   ◆青少年の健全育成を通じた地域づくり  青少年に対して多彩な地域活動の場や家族とのふれあいの機会を提供することや、青少年の安全・安心につながる活動を行っている、各地区青少年愛護協議会等の青少年関係団体に対して、その自主性を尊重しながら活動を支援することで、青少年健全育成を通じた地域づくりを促進します。   (3)地域の多様な主体による連携体制の構築  現状と課題 ◇本市においてはこれまで、様々な分野における住民主体のコミュニティ活動が展開されてきましたが、それぞれが個別に活動し、横の連携が十分ではないという問題も指摘されています。 ◇平成30年答申では、市内で活動する地域活動団体の調査を踏まえ、専門的な知識と技術、技能を有するコーディネーターの存在により、多様な主体が連携・協働することができ、今後のリーダーの育成にも大きな役割を果たすこと、他団体との連携が安定的に継続するためには、お互いにメリットを感じられることも大切であることを指摘しています。 ◇令和2年度(2020年度)より市内12の小・中・義務教育学校でコミュニティ・スクール制度の導入が進められており、今後全市的に拡大していく計画となっています。地域と学校との連携の充実は本市の地域づくりにおける今後の重要な課題であり、学校を核とした教育コミュニティにおいて積極的に活動できる人材の育成・発掘も求められています。  施策の方向  @:地域団体等の連携・協力体制の充実   ◆地域団体の連携の推進  各地域では、自治会、社会福祉協議会、青少年愛護協議会、コミュニティ協会、老人クラブ、スポーツクラブ21などの様々な地域団体が活動しており、その多くが公民館運営協議会にも参画しています。今後、公民館に、学びを通してまちづくりを支援する機能を付加し、地域づくりの拠点として明確に位置付けることで、同協議会における熟議を通して、地域のことは地域で解決していこうという機運を醸成します。  また、同協議会など、主体的に地域課題に取組む各団体が一堂に会する会議体を基に地域コミュニティのネットワーク化を図り、各団体や課題意識を持った地域住民・企業市民等とともに、目標を共有し、連携・協力するための話し合いの場づくり(地域円卓会議)を、地域の実情を踏まえながら進めていきます。 ■地域の多様な主体によるネットワークづくり 地域力の総合化 エココミュニティ会議 地域コミュニティ懇談会(コミュニティ協会) 学校運営協議会 地域ネットワーク会議(社会福祉協議会) 公民館運営協議会 青少年愛護協議会 関心をもつ地域住民、地元企業、NPOなど、多様な主体が参画 ※上記に掲載した会議体以外にも様々な団体が活動しています。  ◆学校を核とした地域づくり(コミュニティ・スクール)の推進  学校の教育課程を地域に開かれたものとするとともに、地域の住民が教育の支援や学校経営に参画するための熟議を行う学校運営協議会を設置するコミュニティ・スクールを推進します。またそこで活動する地域学校協働活動推進員等の人材の育成・発掘を進めます。 今後の取組み:コミュニティ・スクールと地域学校協働活動の一体的推進 複雑化・多様化している学校現場の課題等を解決し、子供たちの教育環境を充実させるため、保護者、地域住民等の協力を得て社会総がかりで教育の実現を図っていくことが重要との考えから、「地域とともにある学校」の理念のもと、本市では全ての公立学校(幼稚園を除く)において学校運営協議会の設置を進めています。 ここで重要となるのが、新たに配置される地域学校協働活動推進員をはじめとする、地域の様々な人材の参画であり、子供も大人もともに学び合う地域づくりです。学校を核として地域のコミュニティの自発的な活動を活性化させていくためには、これまで公民館等を中心に行われてきた地域の学習活動との連携が不可欠です。学校と公民館それぞれが核となる活動を連携させ、生涯学習での学びが学校支援活動につながり、学び続ける地域づくりを推進することで、西宮市らしいコミュニティ・スクールの実現を目指します。 西宮型コミュニティ・スクール 「地域とともにある学校づくり」を目指し「育てたい子供像」「目指すべき教育」のビジョンを保護者や地域と共有し、目標の実現に向けて熟議し、ともに協働していく仕組みが「コミュニティ・スクール」です。  A:地域の多様な主体との連携・協力の充実 ◆多様なNPOなど団体・民間事業者との連携  本市においては多様なNPOや市民活動団体・企業市民が、それぞれの課題意識をもって活動しています。こうした多様な主体による自主的な活動が公民館等で更に活発に行われるよう、施設使用にあたって側面から支援する「(仮称)地域づくりパートナーシップ制度」を創設し、地産地消のような経済的な側面を有する活動を含め、魅力ある楽しい活動を軸とした緩やかなネットワークをつくり、社会の参加の輪を拡げていきます。 (4)地域づくりをまちづくりに広げる取組みの展開  現状と課題 ◇それぞれの地域で行われる地域づくりのための学習・活動が、より活発に継続して取り組まれるようになるためには、中心となって活動する人々が孤立することなく、自らも学習を深めながらコーディネートの質を高めていくことが重要となります。 ◇地域における活動の担い手が、他地域や他分野で活躍する市民とのつながりを深め、情報や効果的な取組み事例を交流しながら学び合うコミュニティとして、自律的・継続的な取組みを進めていくことで、それぞれの地域づくりの活動が市内全域に広がり、まち全体をよりよいものとしていくことが期待されます。 ◇本市においては、公民館地域学習推進員会講座のように、各地域で活動する市民が定期的に集まり学ぶ機会を持つことはありましたが、他地域、他分野で活躍する市民相互の交流や学び合いは必ずしも活発とは言えない状況であり、今後こうした取組みを推進していくことが求められます。  施策の方向  @:地域づくりの担い手の交流・学び合いの促進   ◆交流・学習の場の提供  実践交流会や研修等、それぞれの地域における先進的な活動について知り、地域における活動の質を高めていけるような交流・学び合いの場づくりに取り組みます。また、継続的な活動に向け、担い手相互の人間関係づくりも視野に入れた取組みの充実を図ります。    A:生涯学習推進体制の整備   ◆行政内部の連携強化  全庁的に生涯学習事業を把握、コーディネートする部署を設置し、行政内部における関係部署間相互のネットワークを構築します。また、生涯学習推進本部の下、庁内関係組織間の連携を強化するとともに、効率的・効果的な事業展開を図ります。