生涯学習

西宮湯川記念事業

第8回 西宮湯川記念賞 筒井 泉・原田 恒司

更新日:
2017年1月25日
ID:
26596

印刷

○受賞研究について
まず、「対称性」と「量子論」について説明します。

対称性とは、何かの変換の下で不変である性質をいいます。例えば、図形が線対称というのは、図形を与えられた線に対して反対側に移しても、それ自身と重なり変らないという性質です。物理法則が対称性を持つというのは、多くの場合、観測者の視点を変える(という変換を行なった)とき、同じ法則が成り立つことを意味します。例えば(ある場所にいる)観測者が向きを変えても同じ法則が成り立つのなら、その法則は(その場所に関する)回転対称性を持つといいます。

私たちが日常的に経験する力学は、ニュートンの運動法則に従います。この力学を古典力学といいます。一方、原子レベル以下の微小な世界では、おもしろいことに古典力学の仕組みとはまるで違う法則が成り立っています。このまるで違う仕組みを量子論といいます。原子が安定に存在できることも古典力学では説明できず、量子論の仕組みが重要です。私たちの世界を形作る最も基本的な粒子である素粒子は、量子論によって記述されています。

私たちの研究は、「量子異常」に関するものです。どんな対称性も量子論として可能だというわけではなく、対称性が失なわれることもあります。量子異常とはこのように対称性が量子論的に失なわれる現象です。素粒子の相互作用はゲージ対称性と呼ばれる非常に大きな対称性を持っています。この対称性が量子論で成立しない場合があることが知られています。そのような場合、ふつう、その理論は「ダメな理論」として扱われます。私たちの研究は、この「ダメな理論」をどうやったら救ってやることができるのか、というものでした。残念ながらどんな理論も救済できたわけではありませんが、いくつか簡単な理論はちゃんとした理論にすることができました。


○プロフィール
(原田氏)
受賞研究では、対称性のような理論の「枠組み」の研究を行ないましたが、その後、対称性だけではわからないような「中身」(ダイナミクス)に関する興味が湧いて、現在では非摂動論的繰り込み群という手法を用いて、有効場理論の「中身」の研究を行なっています。


○近況
(原田氏)
いつも「趣味は読書」と答えているのですが、よく考えてみると、あまり小説とかは読んでませんね。いろいろな分野の本を興味の趣くまま読みちらかしています。

(2011年12月)

ページのトップへ