生涯学習

西宮湯川記念事業

第20回 西宮湯川記念賞 白水 徹也

更新日:
2017年1月25日
ID:
26586

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○受賞研究について
自然界には電磁気力、弱い力、強い力、重力の4つの力が存在することが知られています。
一方で現在の宇宙の観測によれば、私たちの宇宙は膨張することがわかっています。これは過去に向かうと宇宙ですら素粒子ほどの小さなサイズになることを意味します。そこでは4つの力は区別がなくなると考えられ、自然界を記述する美しい理論が存在すると物理学者は考えています。その理論の有力候補が超弦理論です。
この理論の進展に伴って21世紀に入ってから、私たちの宇宙は高次元時空の中を運動する薄い膜のようなものであると考えるのが自然だと考えられます。これが膜宇宙論です。時間1つ、空間3つの4次元以外に余分な次元が6つ存在するのです。

このような新しい宇宙論が登場するにあたって問題が生じました。膜宇宙を記述する基礎的な方程式がなかったのです。そこで私たちは高次元時空を膜宇宙に投影するという視点を採用することで、膜上で成り立つ方程式の導出に成功しました。この方程式を解けば、膜宇宙の世界がわかるのです。4次元時空のアインシュタイン方程式に対応するもので、膜宇宙を理解するのに大きな役割を果たしました。


○プロフィール
高校生のときに物理で0点をとってしまい、それをきっかけに勉強を始めたところ、暗記する内容が少ないことに感動し、それ以来物理に没頭するようになりました。
その後、大学4年生のころ車いすの天才と言われたホーキングの宇宙の創成理論に惹かれ、宇宙の研究を志すようになりました。そして1991年に運よく佐藤文隆先生率いる京都大学の研究室に大学院生として所属できました。
その後1996年にインフレーション理論で高名な当時東京大学の佐藤勝彦先生の研究室、1998年から2年間イギリスのケンブリッジ大学のホーキング博士の研究室、2002年から東京工業大学、そして現在古巣の京都大学の研究室に戻っています。

趣味はひたすら歩くことです。いろんな発見があって楽しいです。


○近況
超弦理論は高次元時空を予言するわけですが、そこで重要な役割を果たすのがブラックホールです。しかし、20世紀まで高次元時空におけるブラックホールはあまり調べられていませんでした。
21世紀に入ってから、超弦理論の進展もあって高次元時空やブラックホールそのものの性質を明らかにすることが重要な課題の一つとなっています。興味深いことにその名前に反して、リング状の解が21世紀初めに発見されました。その他にも様々な形のものが発見されました。

私はこの多様な解の分類という観点から研究を行っています。例えば、回転がないブラックホール時空は1つに決まることを示すことに成功しました。しかし、まだまだ解決していないことが山積みですので、是非皆さんにも興味を持っていただき私たちの研究を助けてくれたらうれしいです。

(2012年1月)

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