生涯学習

西宮湯川記念事業

第25回 西宮湯川記念賞 小松 英一郎

更新日:
2017年1月25日
ID:
26583

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○受賞研究について
僕の専門分野は「宇宙論」で、宇宙そのものが研究対象です。
僕が特に力を入れているのは、宇宙の始まりに関する研究です。というと、理屈や想像のみの研究のように聞こえるかもしれませんが、今や、宇宙の始まりは観測可能、つまり「目で見える」研究分野になりつつあります。
光の速さには限りがあるので、遠くの光を見ると、宇宙の昔の姿を見る事ができます。宇宙マイクロ波背景輻射とは、人類が目にする事のできる最遠の光、すなわち宇宙最古の光で、まさに「ビッグバンの残光」と言うべきものです。僕たちは、WMAPという宇宙望遠鏡を用いてこの宇宙マイクロ波背景輻射の写真を撮り、その写真を詳細に調べる事で、宇宙がどのように産まれたのか、どのように発展してきたのか、宇宙には何が詰まっているのか、ひいては現在の宇宙は何歳か、というような、基本的な疑問に対する答えを得る事ができました。
おそらくは、古来から人々が抱いてきたと思われるこのような疑問に対し、科学的な答えを得る事ができたのは驚くべき事です。今でも、研究の合間にふと我にかえって自分のやっている事を振り返った時、宇宙の始まりにまで迫る事のできる科学の力に素直に驚かされます。


○プロフィール
西宮市の産婦人科で産まれて、お隣の宝塚市で育ちました。そんなわけで、西宮湯川記念賞は僕にとって故郷からいただく賞で、本当に嬉しく、誇りに思っています。
偶然にも、父は生前、湯川先生の記念碑がある苦楽園小学校で教頭を勤めていて、湯川先生の話は父から良く聞かされたものでした。授賞式の後、久しぶりに苦楽園小学校を訪れました。賞を頂いた時には父はすでに他界していましたが、父もびっくりすると同時に喜んでくれていると思います。


○近況
東北大学の大学院で修士号を取った後、プリンストン大学のWMAPチームで宇宙論の研究がしたくて渡米したのが1999年の事でした。WMAP宇宙望遠鏡は2010年に運用を停止し、2012年に最後の論文を出してこのプロジェクトは終了します。そんな折、2012年からドイツのミュンヘン郊外にあるマックスプランク宇宙物理学研究所に移る事になりました。13年間の僕のアメリカ生活は、まさにWMAPと共に始まり、WMAPと共に終わる事になります。偶然とは言え、感慨深いものがあります。とりあえず、ドイツ語の勉強をしなくては!

(2012年1月)

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