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西宮湯川記念事業

第17回 西宮湯川記念賞受賞者

更新日:
2017年1月25日
ID:
26566

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村山斉先生贈呈式年月日 2002年(平成14年)10月31日

〔受賞者〕
 村山 斉(むらやま ひとし)
  カリフォルニア大学バークレー校物理学 教授

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  受賞研究  
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 「超共形不変性の量子異常によるゲージーノ質量生成機構」

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  受賞理由  
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素粒子の標準模型は非常な成功を収めているが、理論的に不満足な点があり、より基本的な理論の探求が素粒子物理学の重要なテーマである。こうした「標準模型を越える」理論の最有力候補として、超対称統一ゲージ理論がある。

しかしながら、超対称性が予言する、電荷や質量が同じでスピンの違う粒子は、現実には存在しておらず、超対称性を何らかの機構で破る必要がある。超対称統一ゲージ理論の性質はこの超対称性の破れの機構に根本的に依存する。

従来の代表的な超対称性の破れの機構としては、超重力相互作用を媒介役とするもの、ゲージ相互作用を媒介役とするものがあったが、フレーバーを変える中性カレント過程の頻度を自然に抑制出来なかったり、ゲージ粒子の超対称性パートナーの粒子であるゲージーノの質量が極端に小さくなってしまう、といった問題点が指摘されていた。

村山氏を中心とするグループの人々は、基本的に超重力理論に立脚しながらも、超対称理論に特有な共形不変性と超対称性の破れの間の密接な関係に着目し、今まで見落とされていた超共形不変性の量子異常の効果による全く新しい超対称性の破れの機構を提唱した。特にこの超対称性の破れによって生じるゲージーノ質量を予言し、従来の困難が回避できる事を示した。

共形対称性の量子異常はゲージ結合定数のベータ関数にが反映されるため、ゲージーノ質量はベータ関数によって完全に決定され、特徴的なゲージーノ質量の間の関係を予言する。この議論は、模型の詳細に依らない普遍的な効果を取り出した、というだけでなく、摂動の全次数で成り立つという著しい特徴があり、予言能力の高いものである。高度に理論的、技術的な側面と現象論的側面との見事な融合が成し遂げられていると言える。

提唱されたこの機構は、現在では“anomaly mediated supersymmetry breaking” と呼ばれ、超対称ゲージ理論の分野で大きな潮流を成している。村山氏には、この仕事の他にも多くの優れた業績があり、分野をリードする研究者である。
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