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西宮湯川記念事業

第16回 西宮湯川記念賞受賞者

更新日:
2017年1月25日
ID:
26565

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杉山直先生贈呈式年月日 2001年(平成13年)11月1日

〔受賞者〕
 杉山 直(すぎやま なおし)
  国立天文台理論天文学研究系 教授

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  受賞研究  
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 「宇宙マイクロ波背景放射ゆらぎの研究」

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  受賞理由  
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宇宙の全方向から一様に降り注いでくる絶対温度3度の電磁波-宇宙マイクロ波背景放射(CMB)-の存在は、誕生直後の宇宙が熱かったことを意味し、ビッグバン宇宙論の重要な証拠となった。

宇宙初期には、銀河や銀河団などの宇宙の大規模構造の種となる物質の濃淡(物質密度の空間的なゆらぎ)があり、それが膨張する宇宙の中でCMBの温度に小さなゆらぎを引き起こすことが知られていた。

杉山直氏は、このCMBの温度ゆらぎと宇宙初期の物質密度のゆらぎの関係を世界で初めて非常に精度良く解析した。そして、温度ゆらぎには、この宇宙にどれだけの物質や暗黒物質が含まれているか、宇宙項は存在するのか、という宇宙論の基礎パラメーターに関する重要な情報が含まれていることを系統的に明らかにし、現在「CMB物理」と呼ばれる分野のパイオニアとなった。

杉山氏はその後、Wayne Hu 氏(現シカゴ大学)とともに、空間が開いているのか閉じているのか平坦なのかという宇宙の幾何構造や、宇宙の物質密度や膨張速度などの情報が、CMBの温度ゆらぎのパターンにどのように反映するのかを明快に解きほぐし、その後のCMBの温度ゆらぎの観測計画に大きな影響を与えた。

特に、温度ゆらぎのスペクトルに現れるピークの位置から宇宙の幾何構造が決まることを指摘した仕事は、最近の気球観測による空間の平坦さの測定に決定的な役割を果たした。

また、最近打ち上げられたMAP衛星や、数年後に打ち上げが予定されているPLANCK衛星は、温度ゆらぎのパターンの精密な測定から宇宙論パラメータを決定することを目標としているが、彼らの仕事はこれらの観測計画を推進する大きな動機ともなった。
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