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西宮湯川記念事業

第28回 西宮湯川記念賞受賞者

更新日:
2017年1月25日
ID:
25988

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高柳先生と笠先生贈呈式年月日 2013年(平成25年)11月1日
 
〔受賞者〕
  高柳 匡 氏(たかやなぎ ただし)(写真上)
   京都大学基礎物理学研究所 教授
  
  笠 真生 氏(りゅう しんせい)(写真下)
   イリノイ大学アーバナ・シャンペーン校 准教授

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  受賞研究  
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 「ホログラフィック原理を用いた量子もつれの研究」

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  受賞理由  
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湯川秀樹による中間子論の提唱に始まった素粒子物理学は、2012年のヒッグス粒子の発見で大きな節目を迎えた。残された課題は、未知の暗黒物質や暗黒エネルギーの解明と重力と物質を統一的に扱う量子理論の構築である。その答えの有力候補の1つである超弦理論は、未だ時空そのものを量子的に扱うことができず、ブラックホールの情報喪失問題や時空の誕生といった難問に答えることはできていない。これらの難問を解く鍵の一つが、時空の背後にひそむ“量子もつれ”と考えられているが、その具体的な記述方法は見つかっていなかった。
高柳氏と笠氏は、超弦理論で発見されたホログラフィック原理を用いて、この問題に明快かつ一般的な解答を与えた。ホログラフィック原理とは、重力の無い時空中の場の量子論は、1つ次元の高い重力の理論の「影」のようなものだ、という驚くべき仮説である。場の量子論の状態は、その絡み合いの複雑さを表す“量子もつれ量”(エンタングルメント・エントロピー)という物理量をもつ。受賞者たちは、ホログラフィック原理を用いることで、この量子もつれ量が、重力理論での面積という単純な幾何学量と等価だという提案を行った。これにより、表面積で与えられるブラックホールのエントロピーは量子もつれ量と解釈でき、重力理論の本質の一面が明らかになった。逆に、強く結合する物質の量子もつれ量を幾何学的に表現することで、場の量子論の研究にも新しい方向性を与えた。このように、受賞研究は、“量子もつれ”と時空や重力を結びつける研究の先駆けとなり、周辺分野を巻き込みながら世界的に大きな研究の流れを引き起こしたものとして、高く評価される。
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