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西宮湯川記念事業

第27回 西宮湯川記念賞受賞者

更新日:
2017年1月25日
ID:
21965

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第27回受賞者 福嶋 健二 氏贈呈式年月日 2012年(平成24年)11月6日
 
〔受賞者〕
 福嶋 健二 氏(ふくしま けんじ)
  慶應義塾大学理工学部物理学科 准教授 

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  受賞研究  
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 「ハドロン物質からクォーク物質への相転移の理論的研究」

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  受賞理由  
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原子核は陽子と中性子から構成されている。陽子や中性子を束縛している力は強い相互作用とよばれ、湯川秀樹博士の理論を基礎に研究が進展してきた。さらに陽子や中性子などのハドロンは、クォークとそれを結び付けるグルーオンという素粒子からできている。クォークはグルーオンが媒介する力によってハドロン中に「閉じ込め」られ、単独で飛び出してくることができない。一方、ハドロンの中にあるクォークに大きな質量を与えるメカニズムは、南部陽一郎博士による「自発的対称性の破れ」である。このように我々の住む通常の世界では、クォークはハドロン中に閉じ込められているとともに、質量を獲得し重くなった状態にある。しかし、原子核を高エネルギーで衝突させる最近の実験結果からは、非常な高温・高密度条件下では、クォークが閉じ込めから解放されて「自由」なクォーク物質の状態をとるとともに、質量を失い軽くなることが判ってきた。このようなクォークのとる異なった状態間の変化(相転移)の研究は、現在の原子核物理学の中心課題になっている。

福嶋氏は、この相転移現象に関する理論的研究で、独創的なアイディアをいくつも提案して世界をリードする研究を進めてきた。とりわけ南部博士の提唱に基づくクォークの質量生成の機構に、新たに閉じ込めの効果をとり入れたモデルを構築した。そして、この新たなモデルに基づいた解析により、本来全く異なる現象である閉じ込めの相転移と質量生成の相転移が協調して起き得ることを明らかにするとともに、有限温度・密度でのハドロン物質の状態相図を解析する一般的な枠組みを与えることに成功した。この福嶋氏の研究は、宇宙初期や高密度天体中でのハドロン物質が示す多彩な相構造の解明の理解に画期をもたらすものと、高く評価される。

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