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西宮湯川記念事業

第26回 西宮湯川記念賞受賞者

更新日:
2017年1月25日
ID:
17497

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第26回受賞者 古澤 力 氏贈呈式年月日 2011年(平成23年)11月7日
 
〔受賞者〕
 古澤 力 氏(ふるさわ ちから)
  大阪大学大学院情報科学研究科 准教授
  理化学研究所生命システム研究センター チームリーダー

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  受賞研究  
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 「カオス力学系モデルによる細胞分化の理論的研究」

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  受賞理由  
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生物の発生過程では、1つの受精卵が次々に分裂し、それぞれが異なった機能を持った多様なタイプの細胞へ分化することによって、複雑な生命体としての個体が形成されます。いろいろな機能発現の可能性をもつ発生初期の細胞が、その多能性を失っていく分化過程の解明は、生物発生の基礎的課題であり、また近年、興味をもたれているiPS 細胞のように再生医療にもつながる重要性があります。細胞分化を司る遺伝子やタンパク質等の構成要素は次々に同定されていますが、ネットワークとしての細胞集団全体の動力学の解明は、未解決問題として残されています。

古澤氏はこの細胞分化の問題に対し、統計物理学と力学系理論の視点から動力学的モデルを構築し、その膨大な数値計算を通して新たな理論を提唱しました。まず、多能性をもつ細胞において多種類の遺伝子が細胞ごとにばらついて発現し、いわゆるカオスとよばれる不規則な振動を伴った時間変化を起こすと、細胞分裂と細胞間相互作用を通して自発的な分化が生じることを示しました。また、一連の細胞分化過程では、細胞間の相互作用によって細胞集団が自律的に制御された安定性を獲得することを示しました。最近では、幹細胞での遺伝子の多様性と時間的振動は実験的にも観測されています。古澤氏は、モデルの構築と数値計算、理論解析の全てにおいて主導的な役割を果たすとともに、実験にも参画し、細胞分化の物理という新しい研究分野の開拓に大きな貢献をしました。
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